表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

誰かは知っている

作者: 河原真宙



雨が降れば最上階は見えなかった。

いつも工場の煙りに全体は霞んでいた。

子供の頃にはなかったビルだけど

なぜか赤ん坊の時には建っていた気がする。


ビルが建つ前に父は何処かに逃げた。

完成してから代わりに人が居なくなった。

みんなが望んだ未来だけど

なにも期待しなくなっていた。


雨に煙るビルの上から見渡す世界の終わり。

誰からも見えなくなるけど、

俺も何も見えなかった。


雲の先はまだ遠く

見えない事を知れただけ。


雨がいつまでも降っていた。

止まない雨なのかもしれなかった。


永遠に最上階は見えなかった。

最上階からこの場所も見えないのだろう。


誰も見えない世界から

何も見えない世界に行こう。

今、僕の事を

この世界の誰かが知っているだろうか

僕は

少なくともあなたの事は知らない。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ