表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/98

こーてーさんのおしごと

 帝都、帝城、謁見の間――


「陛下」


「なんだ」


「陛下は、人の成長を読む力をお持ちなのですか?」


「ん? 何を言っているのだ、お前は」


「いえ、以前言ってたじゃないですか、お前はもう十分に強い、って、あれは隣の国の勇者でしたか?」


「ああ、そんな事もあったな、それと成長を読む力とかいうのとどう関係あるのだ?」


「玉座に座る、一国の王には不思議な力が備わって、人の成長を読むことが出来ると聞きます。次のレベルまでいくつだとか」


(レベル? レベルってなんだ?)


「むしろ、この力がなければ王とすらいえないとも聞きます」


(えっ、そうなの?)


「当然、陛下もこの力お持ちですよね?」


「う、うむ……」

(初耳なんだけど、そんな力。 魔法? 魔法なの? )


「やはり、だからユウさんの力も即座に見抜いたというわけですね! 先代の皇帝陛下もユウさんの姿には最初驚いておられましたが、やはりすぐにその力量を見抜いて冷や汗を流したと聞きます」


(ええっ、そうだったの!?)


「人の力を見抜く能力、代々一国の主に備わる能力、時折宰相や大臣にも身につくといわれておりますが、不肖私めにはその才能は備わっておらず……」


「う、うむ、良いのだ、お前は政治的手腕に長けているから、助かっている」


「ありがたきお言葉に存じます。 しかしながら、やはり私めにもそういう能力があれば、陛下をさらに助ける事ができましょうに……時に、ユウさんはどれほどのものであったのですか?」


「え……」


「自分の伴侶になさりたい、というのはその力故とも思ったのですが」


「え、ええと……」


「そういえば、騎士団長や冒険者ギルドのマスターの力量等も気になりますね」


「そ、それはだな……」


「……ああ、やはり人のプライバシーにかかわる部分ですから、極秘、ということでしょうか?」


「う、うむ」


「流石ですね、でも私だけには教えてくれてもいいんじゃないでしょうか?」


「えっ」


「何せ、先ほど政治的手腕に助けられている、と陛下直々にお褒め下さったのですから、そういった情報をいただければよりよい国づくりを――」


「いやいやいやいやいや、ほ、ほら、国のトップシークレットだからね? おいそれと」


「私めもそのトップの一人という認識だったのですが、どうやら先ほどのお褒めの言葉はお世辞だったようですね」


「いやいやいやいやいや、違う、本当にお前には助けられている!」


「ならば!」


「いや、でも」


「いいじゃないですか、減るもんでも無いし」


「へ、減るよ! この能力は、人に言うと減るよ!」


「どのように?」


「どっ!? どのって、その、こうすぅーっと」


「すぅーっと、何が減るんです?」


「た、たましい!」


「魂! なるほど、陛下の魂が減っては私めも困ります。失礼いたしました」


「う、うむ、わかればいいのだ、わかれば」


「はい」


「………………」


「……………………」


「嘘だろ?」


「は? いや、能力を見る力、という部分は本当ですよ?」


「え、ほ、ほんと?」


「はい、そういう能力を持った人間はまれに現れます」


「はぁ……あ! お前謀ったな!?」


「ようやくお気づきですか」


「くそ……何故だ!」


「いや、暇なんで」


「は?」


「あと、陛下を弄ると丁度良い暇つぶしになるので」


「えー!?」



 帝都は今日も平和です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ