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第一話

 俺は地球と言う星の、日本に住む普通の日本人だった。

 が、死んでこの剣と魔法のファンタジー世界に転生した。

 なんで死んだのかは覚えていない。

 でも、まだ高校二年生だったのは覚えている。


 そんな俺は、普通の家に生まれた。

 貴族でも、元貴族でも、とても貧乏なわけでもない、城下町にある極普通な家。

 別に嫌なわけではない。

 寧ろ嬉しい位だ。

 面倒なことは起きないのが一番良い。


 この世界は、魔法が存在し、魔物が存在し、冒険者が存在する。

 そんなファンタジーな世界に転生した俺は、自分にチート補正があるとすこーしだけ思っていた。

 いや、訂正。

 普通にあるもんだと思ってました。


 魔力は人並み。

 その詠唱の言語も日本語なんかではない。

 子供時代に魔力を使っても増える魔力量は微々たるもの。

 剣術も才能があるわけではないし、ステータスが見えたりするわけでもなかった。

 髪の色は普通に紺色で一般的だし、特別な魔法が使えるわけでもない。


 ……俺は諦めた。

 同時に、『そんなもの』に期待していた自分に苛立った。

 俺は馬鹿だ。

 因みに3歳の出来事だ。


 俺はその日から、努力した。

 魔法は、レベルの高いものを使おうとせず、低いものを使いこなせるようにした。

 剣術も、体づくりから始める。

 木刀を振るのはまだ早い。

 って言うよりまず重くて振れない。


 師匠は自分の両親だった。

 母さんは元冒険者の魔術師で、父さんは現騎士団員だ。

 二人からそれぞれ、魔法、剣術を教わった。


 努力することは前世から好きだった。

 だから、途中で投げ出すなんてことは絶対にしなかった。

 両親には誉められたけど、調子には乗らない。

 確かに嬉しいけど、自重することが俺は大切だと思っている。

 調子に乗って自滅なんて馬鹿なことはしたくないたのだ。


 そうして生活していたら、8歳の時、両親に学園に行くことを勧められた。

 貴族が集まる所だが、試験に合格すれば、庶民でも行けるらしい。

 さらに、そこを卒業すると、騎士団からの勧誘がくる可能性もあるそうだ。

 生徒は10歳以上20歳未満。

 最低でも三年勉強し、それ以上は個人の自由らしい。

 年数は、長い程良い、と言うわけではないそうだ。

 在学中でも優秀であれば勧誘を受ける場合があり、それがきてさっさと入団するのも手だそうだ。

 まあ、それは本当に優秀な人だけらしいけど。


 俺は十歳になったら、その学園に受験した。

 優秀な人しか入れないらしいから緊張したけれど、見事合格した。

 ……一位で。


 まあ、前世の記憶を持っているのだから、そうでないと逆に困る。

 こっちは精神年齢25歳を越えているんだ。

 十代になんて負けられない。


 そんな俺は、学園に入学した時、寮に入った。

 家から学園まで結構な距離があるから仕方がなかった。

 ただ、入学するのも寮に入るのも相当な金がいるから、申し訳なかった。


 クラスは、貴族と庶民は分けられていた。

 扱い方が違うのだから、当然だろう。

 因みに獣人族や長耳族と呼ばれる人族ではない種族は当然庶民のクラスの方に来る。


 学園生活は、特に問題は起こらなかった。

 自分は天才などではない。

 だから、天才には抜かれた。

 が、全てにおいて才能がある奴なんていないから、俺は天才に抜かれても、他の分野で勝とうと努力した。


 結果、俺は突出したものを持たない者になった。

 剣術の大会……魔術を使わないトーナメント形式の大会では、良くて準決勝出場。

 魔力量なんて一般より少ない位だ。

 勉学だって、幼少時代から家庭教師を付けていた才能のある貴族にも負ける。

 が、全て努力でカバーし、総合では一位の座は譲らなかった。


 そして十三歳。

 騎士団からの勧誘がきた。


 試験に合格した庶民が集まる俺のクラス。

 殆どは騎士団目当て。

 つまり、勧誘がくるまで学園にいるのが普通で、その普通は大抵五年以上かかる。

 つまり、俺はクラスの皆が学園に残る中、卒業する形になった。


 しかし一人ではなかった。

 もう一人、同じ年で勧誘を受けるた人がいた。

 しかも女子だ。


 彼女は、剣術の才能があった。

 大会では毎年優勝、これで魔術もそれなりに使えるときた。

 まあ、魔術は俺が軽くアドバイスをしたのがあるかもしれないけど。

 いや、俺は調子に乗らない。

 あれも彼女の才能だ。


 俺は憧れの騎士団に入団し、とても興奮した。

 そう、憧れだったのだ。

 銀色の鎧を着るなんて本当にカッコ良いと思った。

 当然、父さんの影響もある。


 俺は共に入団した彼女と共に、頑張った。

 目指すは騎士団長とか言った時もある。

 城下町の警備を一緒にしていたら、迷いかけたこともある。

 副団長に勝負を挑んで、ボコボコにされたこともある。

 でも、楽しかった。


 家は城下町にあるから充分通える距離にあるが、俺は彼女と共に城に住むことにした、

 父さんは家から通ってるけど。


 そして十五歳の頃、魔物の動きが活性化した。

 どうやら、魔王が現れたようだ。

 出現の原因は不明だ。

 その影響で、簡単に町と町を行き来できなくなってしまった。

 それだけじゃない。

 冒険者たちでも簡単に倒せない魔物が増えたのだ。

 つまり外にある素材が取れなくなったということだ。

 国は大混乱だった。


 そんな中、魔王の手下──魔族は魔物を連れて国に攻めてきた。

 俺達騎士団はすぐに出動する。

 俺と彼女は既に、一部隊を任される程に出世していた。

 しかしまだまだ。

 目標は騎士団長だ。


 そして始まった戦争。

 悲惨だった。

 何とか国は守れたが、騎士団長は魔族と相打ちになって死に、副団長も重態。

 死傷者は数知れなかった。

 俺も彼女も傷が酷かった。


 しかし。

 それよりも。


 父さんが、死んだのだ。

 戦死だ。


 俺は泣いた。

 泣いたのは俺だけじゃない。

 大切な人を失ったの人は、沢山いた。


 そして騎士団長の死。

 必然的に、副団長が団長になるが、副団長は後遺症が残ったことが理由で、騎士団を抜けた。

 そして俺たちは悩んだ。

 どうすればいいのか。


 騎士団長の決定は、王様直々に行った。

 混乱を避ける為、そうなった。




 俺は、副団長になった。




 王様直々に、俺は選ばれた。

 こんな十五歳の若造が選ばれるなんて、思ってもいなかった。

 しかし騎士団の皆は、納得していた。

 それがまた、嬉しかった。


 そしてその二年後、魔王を倒すため、勇者召喚を行った。

 俺はその召喚の瞬間を、副団長だった為、見届けることが出来た。


「……へ?」


 魔法陣から現れた勇者

 彼らは──





 ──前世での俺のクラスメートだった。



 ……え?

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