表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

本当の自分

掲載日:2026/05/08

短編です


 俺はどうやら記憶喪失になったらしい。気が付いた時にはすでに病院にいて、医師から、車にはねられ、救急車でこの病院に運ばれてきたと告げられた。しかしそんな記憶がない。何なら自分の名前もわからない。

 看護師が、俺が持っていた荷物を渡してくれた。財布の中の免許証で、名前と住所を確認した。上着のポケットをまさぐって、鍵を発見した。キャラクターもののキーホルダーがついているものと、もう一つ、透明なプラスチックのような物でできた鍵。

 キーホルダーの方はどう考えても家の鍵だろうけど、このプラスチックの方は、何でできているんだろう。この鍵はどこの鍵なんだろうか。

「お夕飯の時間です~」

 看護師さんがベッドに夕飯を運んできてくれた。ついでに退院の日取りが決まったと教えてくれた。目を覚ましてから二週間、ようやく薄味の病院食ともお別れだ。

 病院を出て、タクシーに乗り込んで、免許証の住所に向かうよう頼んだ。

 見慣れない街、見慣れない風景。記憶がないからか、何も懐かしくもない。医者には、自分に関わる場所や人に会って、脳を刺激するように言われたけど、今のところ自分の名前にすらしっくり来ていないのに、いったい何を探せばよいのやら。

 タクシーを降りて、ドアにキーホルダーの方の鍵を刺した。案の定開いた。この安アパートが俺の家かぁ。豪邸だったらよかったのに。

 ちょっとした出来心で、プラスチックの方の鍵も差し込んでみると、どうやらこの家の鍵のようだ。合鍵にしてはおしゃれなカギだなぁ。手作りか?俺、もしかして泥棒だったりして~。

 家に入ると、締めきっていたせいか何だか変なにおいがする。とりあえず窓を開けて、部屋を見回した。

 テーブルの上に大きなゲーム用のPCが置いてあって、後はベッドだけ、という簡素な部屋。俺ミニマリストだったのかな。でもそれにしては、のこぎりとか、大きなバケツみたいなゴミ箱とか、手袋とか、何に使おうとしていたのかさっぱりわからないものが置いてあった。事故に遭う前、俺はDIYでもしようとしてたんだろうか?ミニマリストなのに?うーむ、自分のことながら謎が深まるばかりだ。

 一旦家の外に出て、周辺を見て回るか。見知らぬ土地ではあるけど、記憶のきっかけにはなるかもしれない。その前に服を着替えようかな。

 クローゼットを開けると、でっぷりと太った裸の男が、覆いかぶさるように倒れてきた。

「ぎ、ぎゃぁぁ!!」

 驚いて大きな声を出してしまった。が、独り身なので、案じて誰かが出てきてくれるわけでもない。

 部屋の異臭はコレが原因だったみたいだ。匂いがすごい。

 素っ裸の男は、どうやら死んでいるようで、ピクリとも動かない。

 俺、死体って初めて見た・・・たぶん。

 どうしよう、とりあえず救急車、いや警察か?でも俺が疑われるかも、あ、でも俺記憶ないんだった。

 とりあえず警察に通報をするかと、スマホを探しているとクローゼットの中にキーホルダーと同じキャラクターのグッズが沢山押し込まれていて、その中からカードが一枚落ちてきた。拾い上げると免許証の様で、写真には俺の写真が映っていたけど、名前が違う。ん?俺、免許証持ってるよな?財布の中の免許証を確認すると、俺と同じ顔の写真に、違う名前が書いてある。

 ど、どういうことだ!?

 俺はいったい誰なんだ!?この家は俺の家じゃないのか?こいつはいったい、誰なんだ!?



——誰か教えてくれぇ!——

本当の俺はいったい何者なんだ!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ