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第一話 フェイクの成功者
南雲 透は、カメラの前で、完乾な笑顔を作った。
「本日のテーマは自分の失敗談です」
軽快なBGMが流れ、画面にはテロップが飾られる。数分後編集済みの動画は瞬く間にタイムラインを圧巻し、コメント欄には【元気が出た/透くんみたいに笑い飛ばしたい/笑顔最高/いつもありがとう】など、称賛を受けていた。
しかし、部屋の照明を落とした瞬間、透の表情は一気に色が消える。
机の端には、スポンサーから届いた依頼・メモ『もっと刺激的に 視聴者が驚く告白を…』
彼が披露した"コンプレックス"の大半は演出された嘘だった。
本当の透は、鏡を見るたびに劣等感を抱えていた。子供の頃「お前の顔作り物みたで気持ち悪い」と言われた記憶は、共存ウィルスのように、今だに胸を刺す。それを隠すため、笑顔を「大好物」とし、武器に替えたのだ。
もっと大きな事柄を落さなきゃ、次はバズらない、誰もいない部屋で呟いた声は、疲れに染まっていた。
通知音が鳴り、画面には美咲から未読メッセージが光る。
「最近の透、なんか、無理していない?」
透は一瞬返信を打ち、途中で指を止め、代わりに新しい"告白のネタ"の台本を書き始める。
バズのための嘘が更に嘘を呼び寄せる。彼はまだ、自分のコンプレックスを本当にさらけ出す勇気は持ち揃えていなかったのだ。




