脱植民地作戦:第19部隊主格会議にて
ここイルア国は、30年前に敗北した。
イルア国は、森と人口のバランスが取れており、自国のみで国として成り立たせていた。農民たちは日々働き、兵士たちは農民を危険から守る。国王が優しかったためか、イルア国は平和な国となり、100年間内戦は起こらなかったと言われている。一方、ガロ帝国は、日々食糧の調達に苦戦し、1日1日を生き抜くことで精一杯だった。そこでガロ帝国はある策を思いついた。我々地球人が侵した過ち、戦争だ。ガロ帝国の兵士たちは、突然戦争を起こすと言われ、戸惑ってはいたが、だんだんと意識が戦争に向かっていったのだという。『ここで勝たねばどうせ死ぬ。ならば最後は、祖国のために死のうじゃないか!』こう言ったプロパガンダもあったと言う。死に物狂いで戦うガロ帝国の兵士たち。周りの国は戦争を警戒していなかったため、瞬く間にガロ帝国は領地を広げた。戦力も上昇し、領地も増え、支持するものも増えた。だが、大きな問題が起きた。食料問題だ。今まで植民地としてきた国がどう頑張ったとしても、ガロ帝国の国民全員の食料を確保することはできない。そこで目をつけられたのがイルア国である。平和ボケしていたイルア国は、何も抵抗できぬまま、ガロ帝国に敗北した。
俺は今、第19部隊の幹部を集め会議を開いている。
「皆さんはご存知の通り、私たち第19部隊は戦争を未然に防ぐ及び、自国を勝利に導くと言うことを目標として活動しています。」
30代半ばといったところだろうか、眼鏡をかけた男性はいった。
「私たちに求められるのは戦闘を行わず解決する。と言うものである!」
その男はキッパリいった。だが…
「ちょっと良いか?」
手を挙げたのは、この俺、アスラータだった。
「お前らに質問だが、本当に未然に防ぐことが目的と思っているのか?もしそうだとしたら、そいつは無能だ。俺たちは表向きは第19部隊だが、本当の組織は何だ?第0部隊だろ?戦争を未然に防ぐ、それは表向きの、第19部隊の仕事だ。じゃあよく思い出せ。俺たちはなんて言われた?『未然に防げ』と、『自国を勝利へ導け』と言われたわずだ。後者は第0部隊の働きを表している。よって導き出される結論は、第0部隊はどこよりも早く戦場に赴き、相手を葬り、去る。これが仕事だ。」
「…」
会場が静まり返った。どうやら無能ばかりのようだ。そんな中、一人の男が言った。
「つまり、敵を倒せってことだろ?」
俺は今、前世でもあまりお目にかかれなかった天然を目撃した。いや、天然ではなくただの馬鹿かもな。
ここから動き出すアスラータの戦闘記。次回からをお楽しみに