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現代ダンジョン冒険譚  作者: 冬空
パーティー編*名前変わるかも?
32/32

イレギュラー

ふっかーーーーーつッ!!(約半年ぶり)

久しぶりに書くと色々わすれますねー。

辿りついたボス部屋。俺たちを待ち構えていたのは――ボスの死骸だった。


「うそ……でしょ……」


ゆうの震えた声。

全員の視線が一点に集中する。ボスの死骸―――などではない。そこに立つ、一体の異形に。

ひさしが押し殺した声でいう。


「クソッ!! どうしてここにゴブリンファイターがいるんだよ……!!」


――ゴブリンファイター。

ゴブリンやチビゴブリンの上位種。役職持ちと言われるゴブリンの一種だ。その特徴は言わずもがな、鍛え上げられた肉体。

筋肉が浮き出るほどに引き締まった肉体から繰り出される一撃は、頑強な大楯をも砕くという。

本来30階層以降に出現する魔物が、こんな浅瀬にいる異常。その特徴をもつ存在を俺は知っている。


「―――イレギュラー……!」


本来の階層を飛び出し動き回る魔物たちの総称。

その強さは通常種を上回り、特殊な力を持つ個体もいるという。並の冒険者が勝てるような相手ではない。

気圧(けお)される俺たちの前で、ゴブリンスライダーの死骸が溶け消えてアイテムへと変わる。

その光景を眺めていたゴブリンファイターは、興味を失ったように俺たちへと視線を向ける。


「ッ!!」


勝てない。

目を合わせただけ、たったそれだけで、彼我の差を突きつけられる。

誰かの喉がゴクリと鳴り、その音がわずかに現実へと戻す。

頭のなかでは常に逃げる方法を模索するが、今の実力ではなにをやっても焼石に水。目を逸らすこともできない。逸らした瞬間に殺されるかも知れない。

そんな思いが常に心を占める。一向に変化のない硬直状態。の変わってほしいとも変わらないでほしいとも願う、相反する気持ち。

冷たい汗が頬を伝い、顎まで流れ、地面へと落ちる。


「―――逃げるぞ!!」


ひさしの叫ぶ声。危険だとか怖いだとか考える猶予も与えず、本能が“その声に従え”と指示を下す。

後ろを振り返り、先をゆくひさしの後を追いかける。ペースを考えない走り、息が切れ、呼気は荒くなる。それでもなお、その足を止めることはない。

少しでも遠くに、追いかけてこれない距離まで。

ただその一心で走るのだ。

あとになってみれば、この時の俺は本能に支配された“獣”だったのだろう。

だがそのおかげで、無事に逃げ切ることに成功した。幸い、誰も欠けることもなく、また追いかけてくる様子もなく、俺たちは五体満足で生還を果たした。

とはいっても、まだここはダンジョンの中。いつ魔物が襲ってきてもおかしくはない。油断できない状況ではあるが、少しばかり休んでも大丈夫だろう。

壁に寄りかかるようにして座り込む。大の字で寝そべったひさしが、「みんな無事かー?」と掠れた声で聞く。


「なんとか、ね」

「無事じゃなかったら声もだせないよ」

「お陰でなんとか」


各々の返しにひさしは楽しげに笑うと、小さく「ごめんな」と申し訳なさげな声で謝る。

視線をむけた頃にはすでにいつもの表情で「喉渇いた〜」といって、持参した水筒に口をつけてゴクゴクと飲んでいた。

負い目を感じているんだろうな。

自分がいたから、自分がいなければあんなことには。きっと、そんなことを思っているのだろう。

そんなことはないのに。

たしかに運は悪かった。イレギュラーに遭遇するなんて普通に考えればあり得ない。

それこそ何万分の一とかの確率だろう。

だが、そこから五体満足に、全員無事で生還できるのはいったいどれぐらいの確率だろうか。正確なことはわからないが、遭遇するよりも低いことだけは確かだ。

逆なんだよ。俺たちは運が良かった。ひさしが居て良かった。じゃなきゃ死んでたんだ。

今すぐにでもそう言ってやりたいが、こんな状況でそんなやり取りをしている余裕はない。口惜しくはあるが、言葉をグッと飲みこむ。

チラリとゆうとゆうじに視線を向ければ、2人とも苦しげに顔を歪めていた。

どうやら思うことは同じらしい。

こんな状況にも関わらず、クスリと笑ってしまう。

わかりやすく言えばレイドボス。元となる魔物にもよるけど、並の冒険者が勝てる相手ではないです。

上級の冒険者か、徒党を組んだ冒険者で倒せるレベル(予定では)。1パーティがかなう相手ではないです。

もうちょっとだけ補足すると、階層を移動してくれてるだけまだマシな分類。元の階層に居座ってる方がたちが悪い。同じ魔物だと思ったらイレギュラーでした!ってなるほうが恐ろしいじゃん。天然の罠よ、罠。

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