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現代ダンジョン冒険譚  作者: 冬空
ソロ編
19/31

トラウマ

べつに、BLにしようとしてる訳じゃないです。

ただ、ちょ~~っとハーレムアンチなだけです。

気がつけば病室にいた。

気絶していた訳じゃない。ただ、頭が真っ白になっているうちにここにいた。

頭を上げずとも、ベットの上から見える天井を意味もなくぼうっと見る。

ただただ無心だった。何も考えず、無駄に時間が浪費されていくのを感じていた。

これは現実逃避だ。

冷静な俺がいった。

あぁ、分かっている。そんなの、俺が一番よく分かってる。

右手を顔に置き、目を隠す。

今でもハッキリと思い出す。血溜まりに倒れ、死に行く敵の姿が。命が薄れ、無機質なその瞳はなにも語らない。ただジッと俺を見つめるだけ。

それが堪らなく怖かった。その瞳はなにも語っていない、なのに、俺にはそれが責めているように感じた。

なぜ殺した、お前が死ねばよかったんだと、そう語る瞳から俺は目を逸らすように横を見る。


「ッ!!」


瞠目した。そこには同様に血溜まりに倒れ伏す1人の男がいた。うつ伏せのため顔を窺うことはできない。けれど、俺は知っている。わからない訳がなかった。俺は掠れた声で男の名を呼ぶ。


「空也……」


返事はなかった。それもそうだ、もう既に死んでいるのだから。

耐え難い光景をまえに、俺は目を逸らせなかった。体が言うことを聞かない。逸らせない。

バクバクと高鳴る心臓。心のなかで叫ぶ。

俺に見せないでくれ! これ以上……もうッ!

その時、死体がピクリと動く。注視してなければ分からない動きだ。

そんなはずはない、気のせいだと、言い聞かせるのに確信している自分がいた。

いっそう高鳴る心臓。動かないでくれと、そう願うのにーー。


「ッ!!」


伸びた右手がうごく。見間違いじゃない。

地面に立てられた爪が引っ掻くように動く。それと共に持ち上げられる頭、徐々に露になるその顔は血だらけだった。

固唾を飲んでようすを見守る俺を、空也は恨めしげに睨む。


「どうして助けてくれなかったんですか。どうして見捨てたんですか」


どうしてどうしてと、空也は何度も俺に問いかける。

思わず足が後ろに下がる。揺れる視界、体を揺さぶられた気分だった。


「俺、は……」


なんて答えればいいんだ。

迷う俺に、冷静な俺がいった。

簡単なはずだ。救う手立てがなかったと、間に合う状況じゃなかったと、ただ、そう答えればいいだけだ。

その通りだと思う。ただ、そう言えばいいだけなのに、俺の口から発せられるのは掠れた息遣いだけ。

返事を返す時間は過ぎた。よりいっそう恨みを籠めた瞳で俺を睨み付けながら、空也は床を這いつくばりながら俺へと近づく。


「ぁぁ……!」


口から漏れる悲鳴。俺はあまりの恐怖に腰を抜かして尻餅をつく。

体に力が入らない。腕が、体が、プルプルと震える。

目を閉じようとして、逆に目を見開く。予期しない反応に恐怖が強まる。


「はあはあはあはあはあはあ」


すごい勢いで消費される酸素。不足した酸素を補おうと荒い息遣いで酸素を吸収する。

気絶できることなら気絶したかった。

今すぐこの悪夢から脱出して、現実へと帰還したかった。なのに、できない。

ついに空也がたどり着く。俺の足に触れるひんやりとした冷たい手。触れた場所から体が凍っていくのを錯覚した。


「あ、あぁ……!」


極限の恐怖。足を起点に、徐々に這い上がってくる。その歩みは遅いものの、それが逆に恐怖心を煽る。

目前に迫る空也の顔。息遣いさえも感じる距離で、空也は憎悪の宿った瞳で俺を睨み、恨みをたっぷり籠めた声でいった。


「あんたが死ねば良かったんだ」

今のところ凄く順調。稀に見るレベルで。罰が当たらないよね?

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