脅しと笑み
称号
【神にTSを狙われてる系主人公】
効果
【呪無効】【即死無効】【導き】
「回収を手伝ってくれてありがとう」
「どういたしまして。ては言っても、回収した数なんて少しですけど。これ本当に貰って良いんですか?」
そう言って見せてくるのは、両手に収まる幾つものアイテム。空矢が回収したものだ。
俺はうなずくと共に手に持った袋を揺らせば、幾つもの固いものがぶつかり合う音が鳴る。
「もう限界なんだよ。入らない以上、捨てるしかないなら誰かにもらってもらった方が良いだろう?」
「はぁ……そうですか……?」
「だからな」
納得のいっていなさそうな空也。俺はそこで言葉を区切り、空矢にグッと顔を近づけていう。
「さっきのことは誰にも言うなーーー分かったな?」
ドスの効いた声で脅せば、縦に何度も顔が振られる。
とりあえず、これだけ脅しておけば良いか。
物理的な拘束力はないため、預かり知らぬところでバラされたとしても気づくこともないし、止めることもできない。
これをするのは単純に精神的な安定を取るためだ。
もし、周りで噂されようものなら冒険者としてやっていけなくなる。それほどに重大な秘密を空矢は知ってーーいや、見てしまったんだ。
空矢の両肩に手をおいて、俺は懇願するようにお願いする。
「本当にっ。ほんと~~に! 誰にも言うないでくれ。俺の冒険者生活がかかってるんだ!!」
「りょ、了解っす! この空矢、誰にも言わないと約束します!!」
ほんとうに大丈夫だよな?
そこはかとない不安に駆られながらも、言質はとれたということで納得することにした。
今日はここで切り上げるか。
精神的に疲れたのだ。群れとの戦いから小っ恥ずかしい光景まで。疲労するには充分な出来事が重なったのだ。元気がなくなるのも当然だろう。
空矢の両肩から手を離し、天井を見上げてため息をもらす。
「俺はこのまま帰るけど、空矢はどうする?」
「じゃあ、俺も帰ります。今日は観光の気分でここに来たんで」
「観光って」
思わず笑ってしまう。
まだここは浅いが、それでも敵のいる場所だ。そんな場所に観光と称して訪れるとは。無鉄砲、もしくは命知らずと言われてもおかしくない。
「油断してると足元掬われるぞ」
「分かってますって。観光って意味合いが強いですけど、他の人の戦闘を観察してたんです。俺、これでも観察眼に優れてるんで」
「全然そうは見えないけど」
「ひどっ! 友達にも同じこと言われたんすけど、そんなに見えないですか?!」
ガーン! と効果が付きそうな表情で愕然とする空矢がおもしろく、声を上げて笑ってしまう。
「悪い悪い。詫びになにかご馳走するから、それで許してくれ」
「別にいいですよ。俺も、それは自覚してるんで」
「じゃあ、これは詫びじゃなく。俺の飲みに付き合ってくれ。久しぶりに誰かと飲みたくなったんだ」
空矢と話すのは楽しく。ここ最近のことを思い出して寂しくなったのだ。
最近は冒険に勤しむばかりで誰とも飲みに行かず、一人寂しい食卓だった。
それが嫌だと思わないが、たまには誰かと食卓を一緒にしたい。
そんな思いからでた提案に空矢は笑う。
「良いですよ! あっでも、俺、酒は飲めませんからね?」
「分かってるよ。というか、そんな事したら俺が捕まる」
「ですよね。でも、酒って一度飲んでみたかったんですよね。………この機会に飲んでみようかな?」
「おいやめろ!」
ポツリと囁くように呟かれた言葉に俺は慌てて止めにかかる。
「さっき駄目っていったばかりだろ!? なに本気で実行しようとしてるんだ!!」
「冗談ですって。冗談」
「笑えない冗談はやめてくれ……」
楽しげな笑みを浮かべながら言う空矢に、俺は疲労を感じつつも同じように笑みを浮かべるのだった。
未だに“、”の打つ場所に迷うんですよね。
ありすぎても読みにくいし、なさすぎても読みにくい。塩梅がわからん。




