仲間との出会い
新しいプロジェクトが進行する中、翔はエンジニアチームのリーダーである山田恵と出会った。恵は技術的なエキスパートであり、ITに対する深い情熱と知識を持っていたが、経営やビジネス面に疎く、収益化や市場戦略についての理解が薄かった。そのため、翔が提案したサブスクリプションモデルについても、最初はどこか冷めた反応を見せていた。
「技術的にはいいかもしれないが、どうやってそれを売りにするんだ?」
恵の質問に、翔はすかさず応えた。
「今の市場は、単発で売るよりも継続的なサービス提供が好まれる。たとえば月額課金にすれば、一度きりの売上ではなく、安定した収益が得られるし、ユーザーもアップデートを期待してくれる。サービスの質を保つことができれば、長期的なファンを増やすことができる」
恵はその説明に少し驚いたようだった。翔のビジネス面での鋭さが、恵には新鮮に映ったのだ。翔の提案が理にかなっていると理解し、彼のアイデアに対する信頼を持ち始めた。
二人はプロジェクトの進行とともに協力し合うようになり、次第に信頼関係が深まっていった。翔は恵にとって、ただのアルバイトではなく、頼りになるパートナーのような存在となっていく。そして恵は、翔にふと問いかける。
「伊藤、君、本当にアルバイトか?そのビジネスセンス、ただ者じゃないだろ?」
翔は一瞬言葉に詰まるが、表情を崩すことなく笑って答えた。
「まぁ、ちょっとした勉強をしてきただけだよ。でも、君が作り出す技術も、俺にとってはすごく新鮮だ」
恵は納得したように頷き、二人は再び作業に集中した。この日を境に、翔と恵の間には強い信頼と絆が生まれ、彼らはこのプロジェクトを成功させるために一層の努力を重ねることを決意する。