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その三日後位だったろうか。

酒を売りに都まで来ていたアオが人々の異変に気づいたのは。

みな咳をしきりにしていた。

あの黄色い雲が通り過ぎてからというもの、次々に体に偏重をきたした者達が増えたという。

アオはいつもどおり酒を売るが、みなあまり食欲もなく酒どころではないらしい。

仕方なく家路に着こうとしたとき、重病の老人が苦しそうに倒れた。

しきりに咳が止らず嘔吐までしている。

うつったら大変だ。

アオは着物の裾で口を覆い、その場を去った。

病人達は都だけにとどまらず、旅館の集落の者達も沢山の人々が咳をだし熱を出すものまで

出ていた。


足早に住処につくと、やはり咳の声が聞こえた。

アオはあわてて小屋の中に入ると息子のミツキが咳がとまらず苦しんで寝たきりになっていた。


「あんた・・・おかえり。 ミツキったら朝まではなんともなかったんだけど、段々咳をし始めて、、熱は無いようなんだけど

どうしたんだろう・・・とりあえず精のつくものもこしらえようと思ってたところなんだよ。お医者に見せたらどうだろう」


アオは荷物を土間に置き、あわててミツキのそばによる。


「ゴホ ゴホ おかえり とおちゃ・・・ゴホ」


アオはミツキの額を優しくさわる。 やはり熱はまだない。


「都も集落もみな、この病で苦しんでいるものばかりだ、医者に見せてもだめなのかもしれん」


「そんな・・・・!!」


奥さんは心配そうに包丁の手を止めた。

アオはしばし囲炉裏の前で考えこんだ。

そして、何か思いついたように立ち上がり、物置の箱の中をあれやこれやと物色しはじめた。

そして小さな竹筒を取り出した。


「すこし、出てくる。 いいか精のつくもんもいいが、とにかく食べやすいものを作ってやれ。俺はもしかしたら、すこし帰ってこないかもしれん。

それまでミツキをしっかり見てるんだぞ」


「え あんたちょっと・・・」


アオはそう言うと小屋を飛び出し酒小屋にある荷物と金を掴み飛び出した。



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