弟の異変 side サラ
もう1話投稿すると言っていたのに投稿し忘れました。
すみません。
私はサラ・ライナース。
ライナース公爵家の長女だ。
我が家は大昔に、武家として王家から爵位を賜った家なので、騎士になるか跡継ぎとなるかを選択することが出来た。
そして、私は双子の弟であるクルトが騎士としての道を選んだので、必然的に私は後継者として領地の事を学んでいた。
まぁ、でもクルトは人と会話とかできる人間じゃないし、ギフトもたまたま騎士に役立つ身体強化のギフトだったので、私が後を継ぐのはしょーがない事だろう。
私は、ギフトも持ってないし。
別に領主となるのが嫌とかじゃないけどなんだか、好きなことを自由に出来てるクルトが羨ましかったり。
そんな生活を送っていたある日、弟の様子がおかしい日があった。
夕食中はいつも母がペチャクチャずっと喋っているのを父と私とクルトが聞いていて、クルトは自分が食べ終わったら速攻で部屋に向かってしまっていたのに、その日はずっとニヤニヤしながら頭をポリついていた。
普段の様子と比べるとあまりにも異常な姿に両親も不審に思ったのだろう。
父がどうしたのかと尋ねると、クルトは友達が出来たと自慢げに鼻を伸ばしながら言った。
その瞬間、我が家は凍りついた。
は?
この男には友達というものは一生出来ないと家族全員が覚悟していたのに、友達?
何言ってんのこいつ?
いつも、裏で友達を作ると言って意気込んでティーパーティーなどに挑んでいるのは知っていたが、いつも相手にされなかったのに?
多分、これは家族全員が思ったことだろう。
「なんですって!? クルト、落ち着いてちょうだい! それは本当にお友達なの? 」
母が焦ったように言う。
普段あまり取り乱さない母のこんな姿を見れるのは、最初で最後かも知れないと思いながら食事を進める。
「あぁ、それもただの友達ではない。親友だからな。」
ガチャン。
その瞬間母が持っていたフォークを落とす。
は?
え? 何? 今日友達が出来たって言ってよね?
って事は今日そのまま親友になったってこと?
想像していた親友と全然違うんですけど。
そんなにすぐ親友ってなれるものなの?
それより、なんだってこんな男に親友?!
確かその日は王家主催のティーパーティーが行われた日だった。
そこで、1人の令嬢と親友になったらしい。
令嬢、、、
女性ですか。
「クルト!! あなたは騙されているわ! 」
母から悲鳴が上がる。
確かに怪しい。こんな男と親友になるなんて、向こうの令嬢は頭がおかしいんじゃないか?
お金か地位が目当てなのだろうか。
だとしたらクルトは爵位を継がないから見当違いだけど、、、
すると、突然母が泣き出した。
「クルト、ごめんなさい。お友達が出来て喜んでいるあなたにこんなことを言うのはとても残酷で心が痛むのだけど、その子はお友達ではないわ。なんて可哀想な子なの。 」
ハンカチで涙をぬぐいながら、断言した母。
しくしくと泣いているがそんな母を無視して話は進む。
「その子はどこの家紋だ? 」
父は多分、息子の親友となった怪しい令嬢がどんな子か確かめたいのだろう。
「家紋は多分シュトラス家のご令嬢だと思います。胸につけられていたブローチの紋章が、シュトラス家のものだったので。」
「シュトラス家? うちと同じ公爵家じゃないのか。そんな立派な家柄の令嬢が? 」
父が驚いたように呟く。
「とりあえず、その子を我が家に招待してちょうだい。」
涙を拭き終わり、早めの復活した母が決定事項のように言う。
そんな訳でクルトがシュトラス家の令嬢を我が家に招待することが決まった。
食事が終わり部屋に向かって歩く。
クルトも部屋の方向が一緒なので1列に並んで歩く。
その間特に会話はない。
別に不仲という訳では無いが、特別仲がいい訳でもないのだ。
そして、それぞれの部屋に入ろうとした時にクルトが言った。
「お前は絶対来るな。」
え?
なんで?
クルトの親友なんて絶対会うつもりでいたのに。
どんなご令嬢がこんな男と親友になったのだろうか。
でも、来るなって言われたら行きたくなるよね、、、
サラ視点まだ続きます。