番外編② 忍者の里6
パラダイス白鳥
「大丈夫、白鳥さんは本物のくノ一だ。俺が保証しよう」
白鳥(妹)さんは、ポンコツ忍者という新たなるジャンルを確立した存在……だと俺は思っている。
いつか「ポンコツ忍者白鳥さん」というタイトルで同人誌を発行するのが俺の夢の一つだ。
「静香を気遣う気持ちはわかりますけど、事実は変わ――」
「主様が認めてくれるなら、私はそれで構いません!」
白鳥(妹)さんが、白鳥(姉)さんの言葉を遮るように、感激した表情で飛びついてくる。
その衝撃で、俺は白鳥(姉)さんを落としてしまった。
「キャッ!」
可愛い悲鳴を上げて尻もちをつく白鳥(姉)さん。
ただ、それだけのことなのに、妙な艶めかしさを感じさせる。
流石はプロのくノ一だ。
「失礼しました。お怪我はありませんか、白鳥(姉)さん」
「ええ、大丈……いえ、やっぱり痣になってるかも。ちょっと直接確認していただけませんか?」
「それは大変だ。では早速――」
「させません!」
四つん這いになり突き上げられた尻に伸ばした手が、恐ろしく速い手刀で叩き落される。
俺でなきゃ悲鳴を上げていたね。
「柴咲さん、痛いじゃないか」
「当たり前です! 何自然な流れでスカートめくろうとしてるんですか!?」
「そこに尻があるからだ」
「登山家の名言っぽく言ってもダメですからね!?」
男にとっては、山よりも乳や尻の方が余程納得のできる名言なんだがな。
しかし、ツッコミを入れる柴咲さんは活き活きしてて、見ていて飽きない。
彼女はツッコんでいるときこそ、最大に輝いている気がする。
……いや待て、むしろツッコま――おっと、これ以上は誰かが来てしまいそうだからやめておくことにしよう。
「白鳥(姉)さん、誘惑するのは勘弁してもらえますか? 俺は我慢弱いんです」
「あら、別に我慢しなくてもイイんですよ? 私お兄さんのこと好きになっちゃったんで、ナニをされても許せちゃいます♡」
なん……、だと……?
俺は一体いつから――白鳥(姉)さんを物理的に落としただけと錯覚していた?
なんということだ……
俺は白鳥(姉)さんを物理的に落としただけではなく、恋愛的にも落としていたのだ……
どうも最近モテ期が来ているとは思っていたが、まさかここまでとは思わなかった。
自分が、恐ろしい……!
「太郎さん、またアホなこと考えているでしょ」
「フッ……、柴咲さんには隠し事ができないな」
「誰だってわかるから!」
そんなことはないと思う。
何せ柴咲さんは特殊能力持ちだからな。




