番外編① 充実した毎日
※この作品は、基本的に一話999字で構成されていますが、この番外編だけそのルールから外しています。
柴咲さんと、白鳥さん。
二人と付き合い始めてから、大体半年くらい経った。
ネット情報によると、付き合って半年くらいでラブラブな感情が薄れていき、マンネリを感じるカップルが多いのだという。
これを「半年の壁」だとか言うみたいだが、幸い俺達にそんな兆候は一切見られなかった。
やはり3人で付き合っているという特殊な関係のせいなのか、俺達はマンネリ化どころか未だに新鮮な気持ちで交際を続けている。
俺だけでなく、柴咲さんも白鳥さんも異性と付き合うのは初めてだったので、3人で試行錯誤しながら全力で恋愛を楽しめているのだ。
もう3人共20代半ばだというのに、まるで学生時代に戻って青春を謳歌しているような雰囲気さえある。
「詩緒ちゃん、主様、今日は私渾身のすっぽん鍋をご馳走しますからね!」
「ほぅ、それは精がつきそうだな」
「~~~~っ!」
ヤル気満々で張り切っている白鳥さんに対し俺がサムズアップして応じると、柴咲さんが顔を真っ赤にしてバシバシ叩いてくる。
中々に痛いが、可愛い柴咲さんの表情も相まって、むしろ気持ちよさが勝っている……のだが、それを顔に出すと本気で怒られるので無表情を維持。
ちなみに、スッポンは男性の精力増強に効果的とされているが、実は科学的根拠はないとされている。
確かにアルギニンや亜鉛といった効果的な栄養素は多く含まれているのだが、だからといって劇的な効果が現れるような代物ではないのだ。
その栄養素だって今時はサプリメントなどで接種可能なため、あえてスッポンから接種する必要はなかったりする。
ただ、プラシーボ効果自体は侮れないため、依然として夜の心強い味方であることは変わりない。
俺達は、週末になると各自の家に集まり、飲んだり飲まれたりと大人のお祭りを開催している。
集まる家についてはローテーションを組んでおり、今日は白鳥さんの家が会場となる予定だ。
いっそのこと三人で同棲するという案もあったが、これはこれで楽しいので今のところ爛れた生活にはなっていない。
三人共自立できているので、そういった意味ではやはり大人らしくドライな部分があるのだが、なまじ経済力があるため旅行やアミューズメント施設、ホテルなどでハッスルすることも多く、むしろ学生よりも遊びの濃度は高いかもしれなかった。
「あ、でもお二人とも、今夜は羽目を外し過ぎないでくださいね? ちゃんと明日の体力を残しておいてくださいよ!」
「大丈夫だ、問題無い」
「ていうか一番気を付けなきゃいけないのは静香ちゃんでしょ? いっつもフニャフニャになってるし」
「きょ、今日は大丈夫です! そのためのすっぽん鍋ですから!」
半年経った今でも白鳥さんの体質は改善されておらず、いつも真っ先にフニャフニャになって戦線離脱してしまう。
そして俺と柴咲さんだけが残されるのだが、どうやら俺は自分でも気づいていなかったが無尽蔵なタイプらしく、夜だけは今のところ負けなしなのであった。
……しかしその翌日、俺は反撃とばかりにボロボロにされることになる。
これは比喩ではなく、文字通り物理的にボロボロにされているということだ。
「白鳥流忍術・水芭蕉!」
「正中線四連突き!」
「たわば!」
毎週末、俺は忍者になるための修行として、二人に戦闘訓練を受けている。
週末限定なのは、社会人として仕事の日に疲れを残さないためだ。
金曜日の夜は三人でイチャイチャして、土曜日は二人にボコボコにされ、日曜日は家で休息するか温泉などで体を癒するというのが俺達のローテーションとなっている。
無論忍者には戦闘以外の技術も必要だが、そういった訓練は仕事後に行っているので問題無い。
定時で帰ってジムに寄るようなものなので、なんだかストイックなサラリーマンにでもなった気分だ。
元々がインドア派のパンピーなので苦労は多いが、これも全て愛する二人を娶るための試練。
愛の心にて、必ずや乗り越えてみせる!
それが俺の忍道だってばよ!!
先日最終話を投稿したのですが、完結設定をつけ忘れたために急遽追加で番外編を投稿しました。
忍者の里編については本編の最後に記載した通り、一週間後から投稿予定です。
ということで、今度こそ本当に一旦終わりとなります。
お読みいただき、ありがとうございました!




