第57話 大は大、小は小でそれぞれ良いところがある
言われてみれば確かにそうだ。
妄想は本能的な部分が多いため、ふとした瞬間してしまう。
自発的には止められないかもしれない。
「では、諦めてくれ」
「それしかないですけど、なんか素直に頷けない……」
俺も理不尽だとは思うが、どうしようもないではないか。
「わ、私としては、その、別に、実際にも、揉んでもらっても構わないんですけど」
「ほぅ?」
「静香ちゃん!?」
「だ、だって、私達のせいで主様はそんな衝動に襲われてるんでしょ? だったら、私達が満たしてあげないと……」
「それはそうだけど、多分揉みたいって言ってるの静香ちゃんのだけだよ? 静香ちゃん一人犠牲になるのは――」
「いや、違うぞ。さっきも言った通り、俺は二人のおっぱいを揉みたいんだ」
「なんで!? 私の揉んでも、全然楽しくないですよ!?」
柴咲さんは心底驚いた様子で胸を隠す。
「柴咲さんはわかっていないな。事おっぱいに関しては、大は小を兼ねるという言葉は当てはまらない。大は大、小は小でそれぞれ良いところがあるんだ」
「そんなしょうもないこと力説しないでください! あと、小って言うな!」
「ではちっぱいと言わせていただこう」
言ってから正拳突きが飛んでくることを警戒したが、柴咲さんは諦めたように肩を落としていた。
どうやら、俺の発言に一々反応することの無駄さを悟ったようだ。
「でも、私達のおっぱいを揉んだり妄想するのはいいんですけど(よくない!)、他の人ではやめてくださいね」
「無論手を出すことはしない。しかし妄想を止めることは難しい」
「な、なんでですか? 私達じゃ、物足りないってことですか?」
「違う。白鳥さんは男という生物をわかっていない」
「……どういうことですか?」
「男は恋人がいるからといって、エロ本やエロ動画を見なくなるワケではない」
「そうなんですか?」
「そうなんだ」
稀に男の理解度が足りない女子が、エロ本やエロ動画はモテない男が見るものと思っていたりするがそれは違う。
たとえ女に不自由していない男でも、見る奴は見る(まあ見ない奴もいるだろうが)。
何故ならば、エロ本やエロ動画には夢が詰まっているからだ。ファンタジーと言い換えてもいい。
現実ではできない、ありえないシチュエーションを満たしてくれるのが、ファンタジーの醍醐味だろう?
つまりはそういうことだ。
これに関しては一部の女子なら理解できることでもある。
男ができたからといって、レディコミを読まなくなるか? 否だ。




