第56話 ムッツリスケベ
諦めようとしていた、か……
柴咲さんは、どうやら俺だけでなく白鳥さんとも距離を取る覚悟をしていたようだ。
仮に俺が白鳥さんだけを選んでいたとしたら、柴咲さん的にはかなり気まずくなっていただろう。
あんなやり方をした手前、白鳥さんとも元の関係に戻るのは難しかったと思われる。
「そんなの絶対やだよ!」
「ちょ、ちょっと静香ちゃん! そんなに強く抱きしめられたら痛いって!」
白鳥さんの腕力は柴咲さん以上だ。
柴咲さんの小さな胸に食い込んだ手を見ると、ミシミシと聞こえてきそうで怖い。
「もう私から……、私達から、離れようとしませんか?」
「しないから! もう観念したから!」
白鳥さんがホールドを緩める。
陥没したおっぱいが平らに戻る様子を真剣に眺めていたら、脛を蹴られた。
「痛い」
「痛くしましたから」
「今のは主様が悪いです」
「すいませんでした」
流石に女性二人相手だと分が悪い。
どちらか一人であれば押し切れそうなのだが、果たして今後チャンスはくるだろうか。
「全く……、アナタって結構エッチですよね」
「まあな。俺はムッツリスケベという自覚はある」
「そんな堂々としたムッツリはいません!」
いや、俺は口数も少ないし愛想もないため、まさにムッツリだと思うのだが……
「でも、主様は他の男性に比べれば、その、イヤらしい視線はないと思います」
「うーん、そうなんだよね。邪なニオイはするんだけど、なんか純粋というか、真っ直ぐというか……」
ふむ。心当たりあるな。
「恐らくだが、俺はエロイことを不純だとか邪だとか考えていないからだと思う。やましい気持ちは全くなく純粋にエロイことが好きだ」
そう言ってから、白鳥さんと柴咲さんのおっぱいを交互に見る。
どちらも大変素晴らしい。正直、今すぐにでも揉みたい。
「凄く……、純粋な目です……」
「騙されちゃダメだよ静香ちゃん。あんな目をしてるけど、考えてることは間違いなくエロイことだから」
別に隠すつもりはないが、柴咲さん相手だと全て筒抜けだな。
いっそ全て口に出してしまおうか?
「俺は今、二人のおっぱいを揉みたいと考えてた」
「なっ!?」
「ふぇ!?」
「無論、揉ませてくれとまでは言わない。しかし、妄想することは許して欲しい」
はっきり言って、今後も二人を見て妄想してしまう自信がある。
ならばいっそ許可を貰ってしまおう。
「そんな申し入れされても困りますよ……」
「というか、許可しようがしまいが妄想は止められないでしょ」




