第37話 白鳥さん! 好きだ! 愛してる!
これは俺の自惚れでもなんでもなく、冷静に考えた上での結論だ。
白鳥さんは、俺と恋人になりたいかという問いに対し「なりたいでしゅ~、ずっと一緒にいたいでしゅ~」と答えた。
これが本音で、忍者として俺に仕えるというのが建前となるのだが、この建前にも願望が込められている。
たとえ忍者として仕えてでも、俺とずっと一緒にいたいという願いだ。
そもそも、最初からおかしかったのだ。
忍者として生きる道を諦めていないというだけであれば、わざわざ俺に仕える必要はない。
柴咲さんに頼んで仕えさせてもらえば良かったのだ。
それでも俺を選んだということに、白鳥さんの本音が隠されている。
「……無理です。私が思っているのは主様だけですし、他の男の人のことなんて、考えられません」
「だったら、白鳥家の血を絶やさないためにも、俺と結ばれる必要があるだろう」
「いえ、それは他の兄弟達に任せればいいだけで……」
「しかし白鳥さんは宗家なのだろう? 宗家の血を残したいという思いはあるんじゃないか?」
「…………」
黙る、ということは図星なのだろう。
恐らくだが、里を出る前にそんなことを親に言われていたのではないだろうか。
「であれば、説得は可能だろう。法ではなく、里のルールで、俺は白鳥さんを娶りたい」
要するに、公認で二股したいと言っているようなものだった。
普通に考えれば最低の発言だが、これなら誰も不幸にならない……と思われる。
「め、娶りたい……。本当に、主様は、私なんかを……」
白鳥さんは、またしても目をグルグルとさせながらブツブツと色々呟いている。
顔も真っ赤だし、明らかにまともな状態ではないのだが、とりあえず見守ることにする。
「わ、私は、私はーー!!!」
白鳥さんが顔を押さえて叫んだと思った瞬間、ボン! と爆発がおこる。
一体何事かと腰を抜かしかけたが、煙の中から現れたぬいぐるみで何が起きたのかを悟る。
(変わり身の術か……。一体どこに逃げたのやら)
最早、白鳥さんが忍術を使うことを当たり前に受け入れている自分がいる。
と同時に、彼女のへっぽこさ加減も十分に理解している。
「白鳥さん! 好きだ! 愛してる!」
『っ!?』
反応があった。
やはり近くに潜んでいるようだ。
「これから、白鳥さんの好きな部分を一つずつ語っていく。まずは笑顔! 優しく柔和な微笑は、俺を含む男の心を掴んで離さない! 次にやはりそのスタイル! 出るところは出て――」
「や、やめてくださいー!」




