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優しい幼馴染と人に怖がられている俺

優しい幼馴染と人から怖がられている俺

作者: にやり

短いです。



「あ、お困りでしたら、お手伝いしますよ?」


「え?いいんですか?ありがとう、助かります。」


お婆さんに声を掛け、荷物を持ち階段を登るのを手伝っているのは、俺の幼馴染で恋人の井田麻衣子(いだ まいこ)


肩にかかるくらいの黒髪で容姿も整っているので、学校でも人気がある。


「麻衣子、荷物は俺が持つよ。」


それを手伝っているのは俺、斎藤圭太(さいとう けいた)、高校2年生だ。


背は180㎝オーバーで、昔から目つきが悪く、絡まれることも多い。


俺はヤンキーでも何でもないのだが、周りは俺をヤンキーだと思っている。


今はそんな俺と麻衣子のデート中だが、このような人助けは日常茶飯事だ。


麻衣子は人が困っているのを放っておけない性格で、いつも何かしら人助けをしている。


それは人として、いい事だとは思う。


しかし、こうも毎回だとまともにデートも出来ない。


「なぁ麻衣子、偶には二人でゆっくりデートを楽しみたいんだけど。」


「え?じゃあ困っている人をそのままにしておけっていうの?」


「そうは言ってないけどさ、こうも毎回予定が崩れると何も出来ないだろ?」


そう、今日も映画を見る予定だったが、もう上映時間はとっくに過ぎている。


「だからって、さっきのお婆さんも大変そうだったでしょ?」


「まぁ、な………。」


俺だってさっきのお婆さんを見て何も思わなかったワケじゃない。


その前の外国人が道に迷っていたのも放っておけと言ってるワケじゃない。


ただ、俺との時間ももっと大切にしてほしいと思っただけだ。


学校でもそうだ。俺と麻衣子は小学校から一緒で、高校も一緒だ。


麻衣子は学校でも困っている人を放っておけない。


「麻衣子、ごめん!今日ちょっと予定があるの!当番代わってもらってもいい?」


こんな感じで、ただ単に押し付けられてるんじゃないかというような事もある。


あまりにあからさまな場合は俺が横槍を入れる。


「ワリィんだけどさぁ。麻衣子は俺と予定があるんだよ、他を当たってくれ。」


「あ、そ、そうだよね!ごめんね!そうするよ!」


バツが悪そうに去っていく自称麻衣子の友人を軽く睨みつける。


俺は昔からこの麻衣子の人助け?に巻き込まれることが多かった。


その為、荒事にも慣れ、周りからはちょっとだけ恐れられている。


「圭太、あの子も困ってるんだからそんな言い方は良くないよ!」


「あのなぁ。あれは困ってるんじゃねぇよ。ただ面倒事を麻衣子に押し付けようとしただけだ。」


「そんなことないよ!あの子だってきっと事情があったんだよ!」


こんな感じで、麻衣子のお人好しにも困っていたが俺も麻衣子を見捨てられずにいた。



そんなある日曜日、今日もまた麻衣子とのデートの日。


麻衣子が前から行きたがっていたオシャレなカフェとやらに行く事になった。


「どうした?麻衣子、何か元気ねぇけど。」


「…うん、あのさ、カフェはまた今度にしない?」


「別に構わねぇけど、何で?」


「え、あ、うん。あのね、友達にお金貸してあげたの。で、お小遣い貰ったばっかりだったから…。」


「金ねぇのか?…いいよ、それくらい俺が出すよ。」


「え、でも、悪いよ。圭太が一生懸命バイトしたお金でしょ?」


「まぁ、遊ぶ金欲しさにバイトしてんだから構わねぇよ。」


「本当に?ありがとね!圭太!」


カフェに着いて事情を聞いてみる。


どうやら貸した相手は隣のクラスの男子で、俺の友達ってワケじゃないが知ってる奴だった。


「なんかね?中学の時の先輩に脅されててお金持って行かないと何されるかわかんないって言ってたから。」


ふーん………。アイツの中学そんなガラ悪いなんて聞いたことないけどな………。


まぁ、嘘とも限らねぇし後で確認取ってみるか。十中八九嘘だろうけど。


もし仮に話が本当だったとしても、麻衣子から金借りる理由にはならんけどな。


ナメやがって。


翌日ソイツを空き教室に呼び出した。


「なぁ、麻衣子から金借りたんだって?」


「あ、あぁ。地元のヤバい先輩に目つけられてて、金取られてるんだ。」


「へぇ、大変だな?俺が解決してやるよ。」


「えっ?」


「だから、俺がその先輩とやらに話付けてやるって言ってんだよ。」


「あ、や、やめた方が良いよ?かなりヤバい人だから。」


「いいから、その先輩に連絡しろよ。連絡先知ってんだよな?向こうから呼び出し喰らってんだろ?」


「え、あ、そうだけど………。あの、斎藤君に迷惑はかけられないからさ。」


「もう迷惑なんだよ!麻衣子は俺の彼女だぞ?わかってんのか?」


「あ、ご、ごめん!お金は返すから!」


「金ねぇのにどうやって返すんだよ?」


「お、親に言えば出してくれると思うから………。」


「なぁ!なら何で麻衣子から借りたんだよ!お前ナメてんのか?」


「ひっ!すっ、すいません!」


「すいませんじゃねぇよ、なぁ!明日麻衣子に返せよ?そんで2度と俺らに関わんじゃねぇぞ?」


「はっ、はい!」


「もし約束破ったらその地元のヤバい先輩とやらに負けねぇ位、追い込み掛けっからな?」


「わ、わかりました!」



昔からそうだ。麻衣子のお人好しに素直に感謝している奴も多いが、こんな奴も結構いる。


それを何とかする為に、こんなことばっかしてたらいつの間にか俺はヤンキーみたいになっちまった。


別に後悔はしていないが、麻衣子にはもうちょっと普通で居て欲しい。


お人好しが悪いってワケじゃないんだけどな………。



「ねぇ、この間お金貸した人から凄く謝られたんだけど、圭太何かしたの?」


「いや?ただちゃんと金は返せよって言っただけだぞ?」


「本当に?凄く怯えてたような気がしたんだけど…。脅したりしてないよね?」


「してねぇよ。変な勘繰りすんな。」


「それならいいけど…。あんまり圭太のいい噂聞かないよ?気を付けてね?」


うーん、麻衣子を助けたつもりだったんだがなぁ…。


本当のこと言っても麻衣子は相手の肩持ちそうだしな…。


「わかったよ。気ぃつけるわ。」


そう言って話を終わらせた。



そしてまた日曜日。今日はこの間観れなかった映画を観に行く予定だ。


麻衣子が時間になっても来ない。


また人助けでもしてんだろうな。


『ごめん、圭太。何かもう、〇にたいって落ち込んでる男の人がいるの。話聞いてるからちょっと遅れる』


麻衣子からメールが来た。何か嫌な感じがする。


『俺も行くから場所を教えてくれ』


場所は麻衣子の家の近所の少し大きめな公園だった。


急いで公園に向かった。




公園に着くと





































麻衣子が知らない男とキスしていた。


男は麻衣子の胸も揉んでいた。


………は?何してんだ?


頭の中が怒りで埋め尽くされる。


ダッシュで麻衣子の元へと向かう。


「麻衣子!!!!!!!!!!!」


ハッとして2人がこちらに顔を向ける。


「あっ!圭太!!これは違うの!この人がこうしたら元気が出るって言うから!」


「へぇ?てめぇ〇にてぇんだっけ?なら俺が手伝ってやる!」


「待って!圭太!私がしてあげたの!この人は悪くない!」


………麻衣子からキスしたって事か?胸揉ませたって事か?


は?バカか?お前いつから金も取らねぇ風俗嬢になった?


悩んでる奴が居たらお前は体も差し出すのか?


長年一緒にいたはずの麻衣子が別人に見えた。


コイツはホントにお人好しなのか?いい人なのか?


彼氏である俺の事は大事にしてくれないのか?


思い遣ってはくれないのか?


しばらく呆然としていると男はいつの間にか居なくなっていた。


「圭太?ごめんね?でも放っておけなくて。」


そっか。困っていれば助けてくれるんだな。なら。


「なぁ、麻衣子。俺困ってるんだ。助けてくれよ。」


「!!うん、いいよ!私は何したらいい?」










































「彼女がさ、ヤラせてくれないんだよ。他の男には体許すのに。」


「………私?」


「だからさ?ヤラせてくれよ。」


「どうしちゃったの?他の男の人に身体許すなんてしないよ?」


「さっきのは?」


「あ、あれは、そうしたら生きる気力が出るからって………。」


「俺もヤラせてくれたら、生きる気力が出るんだけど?」


「圭太は〇にたいってワケじゃないでしょ?」


「いや、マジで今〇にたい気分。」


「…嘘でしょ?」


「マジだよ、自分の彼女が他の男とキスして胸まで揉ませてるんだから。」


「あれは………仕方なかったの!」


「じゃあ、俺は?」


「本当に〇にたいとか思ってる?」


「ああ。」


「………だめだよ、そんな………ヤラせろとかって………。」


「そっか。じゃあいいや。そのかわり俺と別れてくれよ。」


「えっ?なんで?」


「こんな彼女嫌だから。」


「そんな!ひどいよ!」


「どうでもいいヤツの頼みは聞くのに何で俺の頼みは一つも聞いてくれないんだ?」


「だって、圭太酷い事ばっかり言うから!」


「酷い事?普通のことしか言ってないぞ?」


「普通の事じゃないよ!」


「良く知りもしない男にキスして胸揉ませて、そんな彼女イヤだってのは普通だろ?」


「それは理由があって」


「それで彼氏の俺はヤラせてもらってもいないから、頼んだんだけど?」


「ヤラせるとか言い方が」


「で、断られたから別れたいんだけど、何かおかしいか?」


「………別れるくらいなら、シてもいいよ。」


「さっきの男がお前を抱けば〇なないって言ったらどうしてた?」


「………断ると思う。」


「ホントか?〇にたいって奴を放っておけないんじゃないのか?」


「………それは…放っておけないかもしれないけど…。」


「彼氏の別れるって言葉と、良く知りもしない男のホントかどうかわからない〇にたいって言葉がお前にとって同じ価値なんだよ。」


「………。」


「だから、別れてくれよ。そんな彼女俺はイヤだから。」


「………いや。」


「ホントに俺の頼みだけは聞いてくれないんだな。俺、困ってるんだぜ?」


「………。」


「別れてからも、もう俺には関わらないでくれ。な?困ってんだよ、頼むわ。」


「………。」


「な?最後くらい俺の頼みも聞いてくれよ。」


「ヤダ!圭太と別れたくない!」


「ホントに俺の頼みだけは聞かないのな。」


「何でもするから!シたいならいいよ!今からでもいいから!」


「誰でも困ってるフリすれば抱けそうなお前の身体に興味ねぇよ。俺とはもう関わらないでくれって。」


「ひどいよ、そんなことしないよ!」


「さっきしそうだっただろうが。いいから、俺の頼みを聞いてくれよ。」


「………もうあんなことしないから!ね?お願い!」


「ホントに困ったな。どうしようかな…。なぁ、どうしたらいい?」


「…わかんないよ。別れたくないよ。」


「他人には優しいのに俺にはちっとも優しくないよな?」


「………そんな風に思ってたの?」


「逆に俺を優先したことなんてあったか?」


「優先………。」


「他人優先だよな?麻衣子は優しいから。」


「………私、間違ってた?」


「さあ?ただ麻衣子がそうだっていうだけだろ。」


「………。」


「だからさぁ、一つくらい俺の頼みを聞いてくれたっていいんじゃね?」


「…ホントに別れたい?」


「うん。」


「………わかった。もう話しかけるのもやめた方が良いの?」


「ああ。」


「………ごめんね、いままで圭太の事、傷つけてた?」


「さあ?」


「…わかったよ。今までありがとう。」


「よかった、初めて俺の頼みを聞いてくれて。じゃあ元気でな。」


俺がそう言った瞬間、麻衣子は泣き崩れた。


麻衣子を置いて俺は歩き出した。






































ああ、畜生!!!!!!!!!!!










最後までお読み頂きありがとうございました。

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[一言] 実際に困った人を助けなければならないと思うなら、彼氏の悩みも聞くべきだわな。 彼氏はどう扱ってもいいが他人は助けなければならない、なら、彼氏、とは何だ? そしてその答えがコレ。 誰でも助け…
[一言] 想像していたものとは違って良かったです。 後日談が投稿される事に期待してます。
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