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セレクト!女子たちの水着

今更だけど、女子は出会ったばっかの男の家に行かないなんていう、この物語の前提が崩壊することは言いっこなしよ

 「翔一、これはどうだ?」


 そう言って、試着室から出てきた玲羅は、布一枚の水着姿だった。

 正直に言って、ものすごく可愛い。だが、露出も多く、海辺でナンパされないか不安だ。


 「うーん、ナンパされないか不安になるな」

 「えー……」

 「その、可愛すぎるからさ」

 「そ、そうか……」


 そう言うと、玲羅は顔を真っ赤にしながら試着室の中に戻っていった。


 玲羅はスタイルがいいから、正直なんでも似合うと思う。みんなが選んでないようなダサ目の水着を着ても、100点満点の格好になるだろう。

 だが、そんな100点の女をほかの男が放っておくはずもない。海辺では、常に張り付いて離れないようにしておくか?いや、それでは玲羅が十分に海を楽しめなくなる。


 「ねえねえ、蔵敷君。どう?」

 「ど、どうって言われても……」


 俺の隣では、久しぶりに会った二人がイチャイチャしていた。


 正確には、めちゃくちゃに際どい水着を着て、奏が蔵敷を誘惑していたのだ。

 久しぶりに会ってからというものの、奏は最初からものすごいもうアピールだ。なんか、蔵敷から助けてくれみたいな目線を送られたが、あいつの付き合わない理由をなんとなく察してる俺は、なにもしなかった。


 「どうかな?」

 「そ、その……もう少し露出を少なくした方が……」

 「あ、嫉妬してくれてる?」

 「そういうのじゃ……ていうか、そんな恰好恥ずかしくないの?」

 「君を落すためだから、恥ずかしいとかないよ?好きな人のためなら、私はなんでもする」

 「……っ、だから、俺は付き合わないって―――」

 「諦めないから。私は絶対にあきらめないから!」


 ―――よく公衆の往来で臆面もなく言えるな……

 ……え?俺が言うなって?まあまあ、それは言いっこなしだ。


 しかし、なぜ俺たちがこんなことをしているのかというと―――


 シュシュシュ‼︎イヨーッ!


 「おい、なんか始まったぞ!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 「ひっさしぶりー!天羽さん!」

 「ああ、奏も久しぶりだな」


 ショッピングモールで再会した瞬間、奏は玲羅に飛びついていた。女子のそういうところを見れるのはいいな……


 「よお、翔一」

 「ああ、久しぶりだな、蔵敷」

 「俺たちもハグするか?」

 「冗談いえ。俺の射程圏内に入ったら、その頭、ぶち抜くからな」

 「やってみろよ、てめえ」


 そう言って、俺たちは公衆の往来で構え始めた。


 「ねえ、なんであの2人臨戦態勢に入ってるの?」

 「さあ?―――翔一、やめとけ」


 半分遊びで構えていたのだが、すぐさま玲羅が近づいてきて、俺を羽交い絞めにした。

 それを見た奏は、にやにやとしながら言った。


 「お二人さんは仲良しですなあ」

 「わ、悪いか?私たちはいつもこんな感じだ」

 「それにしては耳が真っ赤ですぞ?」

 「う、うるさい!」


 おお、美織とは違う人にいじられて、顔を真っ赤にしている。

 まあ、わかっていたことだが、やはり顔が赤い玲羅を見ると、癒されるな。こう、なんというか手の上をちょろちょろと動く小動物を愛でるときの気持ちに似ているというか……


 とにかく玲羅が可愛いということだ。


 「ほら、水着買うんじゃないのかよ……」

 「ああ、そうだったな。まずはどうする?女子陣営から選ぶか?」

 「ああ、じゃあそうしたいかも!だよね、天羽さん?」

 「い、いや私は……」

 「ちょっとこっち来ようか?」

 「え?ちょっ!?」


 そのまま玲羅は、奏に連れていかれた。

 ―――俺たちは、夏休みに海に行く計画を立てたので、水着を買いに来ているのだ。まあ、きっかけは玲羅が「海に行くための水着がない……」と言ったからだ。そして、俺はその理由を知っている。

 玲羅の水着は、毎年買えないといけないのだ。なぜって?毎年胸が大きくなってるからだ。原作知識で、俺は知っている。


 まあ、そんなことは言わないけどな。羞恥で真っ赤になる玲羅が目に浮かぶ。


 そんなことを考えている間に、離れていった2人が、なにやらひそひそ話をしているのが見えた。


 「(椎名君に、天羽さんの水着姿見てもらえるんだよ?)」

 「(だ、だがそれは後でも……)」

 「(ご飯食べた後だと、少しお腹が膨らむよ?)」

 「(それは……食べる量を抑えれば……)」

 「(大丈夫かなあ?椎名君、かれこれ半年近く付き合ってるから、食べる量が少ないと心配されるんじゃないかなあ?)」

 「(くっ、わかった……選べばいいんだろ!)」

 「(その意気だよ、ほら二人で男たちを悩殺しよう!)」

 「(待って、そんなにエッチな水着を選ぶつもりはないぞ!)」

 「(椎名君に、可愛いって思ってほしくないの?)」

 「(いや、毎日好き、愛してるって言ってもらえるから―――いや、やっぱり言ってほしい……)」

 「(いま、とんでもない惚気が聞こえたような……)」


 しばらくして、2人が戻ってくると、俄然やる気になった玲羅が俺に言った。


 「翔一!水着、選びに行くぞ!だから、翔一が似合うと思ったのを言ってくれ!私はそれを買う!」

 「お、おう……なんかさっきと熱が……」

 「ほら行くぞ!」


 そう言いながら、玲羅は耳まで真っ赤にしながら俺の手を引っ張っていった。


 「ほら、蔵敷君も私の水着を選んでよ」

 「い、いや、天羽さんに見てもらった方がいいだろ?女子同士なんだし」

 「ごちゃごちゃ言わない!紐でもなんでも着てあげるから、私を蔵敷君の理想にして」

 「あんまり、そういうこと言わないほうが……」

 「私は蔵敷君にしか言わないよ。こういうこと」

 「……っ」


 それから、ずいぶんと時間が過ぎて―――


 「これなんかどうだ?」

 「ひ、紐じゃないか!こ、こんなの着れるわけないだろ!」


 俺がめちゃくちゃに際どい水着を選ぶと、玲羅は真っ赤にしながらそう言った。


 「だ、だけど、2人きりでそういうことする時なら……」

 「え?なんて?声小さすぎだよ」

 「な、なんでもない!」


 そんな感じでイチャイチャしていると、俺が持っていた紐水着(通称)を奏が奪った。


 「私は着れるよ?」

 「いや、ムダ毛とか……」

 「私は蔵敷君にいつ襲われてもいいように、処理を怠ってないわ!」

 「なんで、俺の周りはこんな女ばっかなんだ?」

 「で、どう?蔵敷君はこういう水着どう?」

 「そ、その……刺激が……」

 「椎名君、翻訳」

 「性癖ドストレートです。今日の夜、それを着て僕の上で踊って啼いてください」

 「違う!」

 「そうかそうか、蔵敷君の性癖か……これは一考の余地が……」

 「ないよっ!翔一も変なことを教えないでくれ!」

ネタがわかった人は、現ニチアサ視聴者です。

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