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ファーストキスの味

 美織が隣に引っ越してきたということで、俺たちの頭の中が一瞬真っ白になったが、すぐに美織は俺たちの家を去っていった。


 だが、美織という女生徒は、玲羅の印象に強く残る形になってしまった。


 「嵐のような女だったな……」

 「玲羅、あいつ俺たちと同じクラスだぞ」

 「そうだった……そう考えると頭が痛くなるな……」

 「我慢だ。そのうち慣れると思うぞ」


 玲羅が「そうだろうか?」と心配な声を上げている。

 大丈夫だよ。事実、俺が慣れてる。


 それから俺たちは制服から部屋着に着替えて、初日から出された数学の課題を終わらせようとする。まあ、中学の範囲の総ざらいだから大して時間はかからない。


 因数分解とか二次式の時点でまだ簡単だ。三次式でもそんなに難しいわけでもないしな。


 一時間ほどで課題を終わらせて、俺たちはTVの前のソファを陣取った。


 時刻は4時くらい。この時間なら平日でもドラマをやってる。

 やはり、相〇は面白い。


 「犯人、この人じゃないのか?ずっと怪しいし」

 「いや、玲羅、よく見てみろ。この俳優、よく悪役をやらされている人だぞ」

 「お前、そんなメタな目で見て楽しいか?」

 「面白いよ。ストーリーはちゃんと面白いから」

 「そういうものか?」


 玲羅は俺の視聴の仕方に疑問があるようだ。別にしょうがないだろ。ほとんどの役者のやっている役はおぼえてるんだから。

 悪役が得意な人はそれをやってることが多いから、犯人率が高いんだよ。


 別にそれでなくても、犯人がどうゆがんだのか、突発的なのかとか、面白い見どころはいっぱいあるから楽しめるし、なにより違う時がある。だから面白いんだろ?


 「「え?この人が犯人?」」


 犯人がどちらの予想とも違うと、俺たちは素っ頓狂な声を上げた。

 今回の犯人は、玲羅の予想した怪しい人物でも、悪役をよくやってる役者でもなかった。


 そう、これが刑事ドラマの面白いところだ。


 「お兄ちゃーん、お腹減ったー」

 「いや、まだ5時なんだけど?」

 「だって、私昼食べたの11時だよ?」

 「早すぎだよ。てか、さっきお菓子食ってたろ?」

 「お菓子なんて、腹の足しにもならないよ」

 「嘘だろ……」


 しかし、俺は結乃の駄々を無視して、飯は作らない。

 さすがに妹がブクブクに太るのを看過できる人間ではない。まあ、運動もしてるし太らないとは思うが……


 そこから数時間ほど経過して、7時頃に玲羅と結乃が風呂に入っていった。途中、玲羅の悲鳴が聞こえてきたが、結乃が胸を揉んだとかそんな感じだろう。


 クソ、俺は触ったことないのに!―――いや、押し当てられたことはあるが、あれは俺の意思で触ったわけじゃないからノーカンだ。


 風呂から上がってきた玲羅は案の定というかなんというか、顔がうっすら赤かった。


 「悪いな、うちの妹が」

 「いや、いいんだ……佳奈によく触られていたから、びっくりはするが、同姓に触られるのは若干慣れてる」

 「そうは思えないくらい悲鳴を上げるけどな」

 「びっくりしてるからだ!それに翔一が相手なら……なんでもないっ!」


 今、気になることを玲羅が言いかけたが、言及しないでおこう。これ以上、気が散ると俺が怪我してしまう。


 「ところでなにを作っているんだ?」

 「ビーフストロガノフ」

 「それはまたすごいな。作るのがめんどくさいとは聞いたことあるぞ」

 「そうだな、まあ面倒なほうかな。カレーとか作るより」

 「楽しみだ」


 そう言って、俺の作る姿を眺めてくる玲羅。いや、あと煮込むだけだから見てても面白いことないぞ?


 「玲羅、座って待ってたほうがいいと思うぞ?」

 「そんなことない。好きな人の料理している姿はいいぞ。なんか、新婚さんみたいで……」

 「そ、そうか……」


 たまにぶっこんでくるなあ。昼のこともあるし、少しだけ俺の耐性が下がってるんだよ。

 今の俺はたぶん、顔が赤く染まってるだろう。


 よし、そろそろいいだろ。後は結乃に頼もう。


 「結乃―、鍋の中、俺が風呂から上がるまで見といてくれないか?」

 「はーい。てか、玲羅先輩でもいいんじゃない?」

 「……そうだな。玲羅、できる?」

 「そうだな。私も料理は得意だったからな。―――2人ほどじゃないが」


 知ってる。原作でもそうだったよ。

 てか、一般的なレベルの料理ができるだけで、豊西が錬金術やってただけだろ?


 この世界は、メインヒロインの2人は料理は普通にできる。だというのに、主人公である豊西は、へたくそなくせに料理作りに関わろうとする。そのせいで、何度食っただけで気絶する劇物を錬成してきたのか……


 まあ当時の2人はそういうところが可愛い、とか言ってたけどな。

 俺は理解できん感覚だ。俺と結乃なら、料理の邪魔をされてブチギレてる。


 「じゃあ、焦げないように見てて」

 「わかった」


 そう鍋の中身を玲羅に任せて、俺は風呂に入った。

 俺は、そこまで長湯しないたちなので、本当に5分ほどで上がってくる。どうやって、二時間も時間つぶすんだろうか?

 いや、結乃も玲羅も1時間以上入ってはいるが……2人なら、会話したりとかで時間がつぶせるからわかる。―――え?スマホ?防水?あまりいただけないな。それならさっさと風呂あがって、部屋で見ればいい。そうすれば水没の危険なんか犯さない。


 そうして、すぐに風呂を上がった俺は、鍋を見ている玲羅のもとに行った。


 「ありがとな、玲羅」

 「ああ、多分焦げてはないと思うぞ」

 「よし、食べるか」


 それぞれの皿に分け、話しながら食べた俺たちは、明日の準備を済ませて、自室のベッドに入った。


 俺も、ベッドの中で寝ようとすると、部屋の扉がノックされた。


 「開いてるよ」

 「し、失礼します」

 「もういいって、そんな緊張しなくても」

 「そ、それでも彼氏の部屋だろ。緊張する」

 「彼氏の家に住んでるのに?」

 「そ、それは言うな!」


 今日の玲羅は、一緒に寝たいらしい。

 少し頬を染めながら、俺のいる布団の中に入ってくる。


 「うへへ……翔一」

 「変な笑い方するなよ……」

 「い、いいじゃないか!幸せな気分になれるんだぞ」

 「もう、なんか変な薬みたいだな」

 「そうだな……翔一は麻薬だ。私の心に入り込んだ瞬間に、私の心は翔一なしじゃいられなくなる」

 「おい、本当に薬に仕立て上げるなよ」


 だが、そう聞くとそうっぽく思えるな。

 

 「なあ、翔一」

 「なんだ?」

 「手、握ってもいいか?」

 「どうぞ。気の済むまで―――それに無許可でも握ってもいいぞ」

 「そうか……」


 そうして俺に許可をもらった玲羅は、俺の指一本一本に絡ませるようにしてくる。

 それぞれの指を介して、玲羅の体温が伝わってくる。


 「翔一、私のファーストキスの味、知ってるか?」

 「……?まあ、レモンとかイチゴとかはよく聞くけど……」

 「そんなにありきたりなわけがないだろう?」

 「じゃあ、甘い恋愛をしてるから、甘い果物……サトウキビか?」

 「食べたことないし、果物なのか?」

 「いや、知らない」


 そういや、サトウキビって野菜?果物?なんなんだろうか。

 変な疑問が出てきたが、玲羅は続ける。


 「私のファーストキスの味はな、焼き肉のタレの味だ」

 「ああ、そういや焼き肉ってたもんな。あんとき……ロマンもくそもねえな」

 「でも、私にとってのファーストキスの相手はまぎれもない翔一だ」

 「うれしいな。好きな女の始めてが俺だと」

 「だろ?私は、翔一にいっぱい初めてを奪われるんだろうなあ」

 「そうだ、いっぱい奪って―――ん!?」


 俺が言いかけると、玲羅は俺の口をふさぐ。今日は、俺が攻められる日のようだ。


 「ん、くちゅ……私が積極的になるなんて、思ってなかった。美織に奪うと言われて、本当に嫌だった。翔一は大丈夫と言ってくれたけど、不安になる。だから、私が翔一なしじゃいられなくされたように、私も翔一が私なしでは生きていけないようにしてやる」


 玲羅なしじゃ生きていけない……か。


 俺は、玲羅との態勢を入れ替えた。無理やり、体勢を変えたせいで、掛け布団がどこかに行ってしまった。


 「きゃっ!?」

 「勘違いするなよ。玲羅、俺はもう君なしじゃいられない」

 「ひゃ、ひゃわわ……んむ!?」


 それから10分以上、玲羅の心が完全に蕩けるまで、俺が玲羅の口腔内を犯し続けた。

サトウキビは、野菜や果物といった、独立した群に属するみたいです。

だから、野菜群や果物群と一緒にサトウキビ群が存在するみたいです。なお、サトウキビ群はサトウキビのひとつしかない模様。

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