表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/222

降臨!条華院とかいう女

 卒業式から3週間、今日は高校の入学式だ。


 そんな俺たちだが、今の時刻は4時。起きているのは俺だけだ。

 隣に寝ているのは玲羅。最近、彼女はなにかと俺と寝ることが多くなった。


 別に迷惑でもないし、むしろもっと来てほしいと思うが、恥ずかしがり屋の彼女は週2が限界らしい。


 俺は玲羅の頬にキスをして起床する。


 今日の家事当番は俺だから早朝から作業をする。言ってしまえば、朝の作業なんて一時間あればできるので、こんな早く起きる必要はないのだが、昔からの癖で早起きとなるとこの時間になってしまう。


 まあトレーニングとかあるし、このくらいがちょうどいいかもしれない。


 そういうわけなので、軽いメニューをこなした後、俺は汗を流すためにシャワーを浴びる。その後はバスタオルや昨日の衣類を洗濯にかける。

 洗濯時間は約50分。まあ、洗濯量も中々だし、こんなものだ。


 洗濯機を回している間、俺は料理を作り始める。今日の献立は―――

 昨日はなに食ったっけ?ここんとこ塩分多かったし、少し野菜多めで……あと、ウインナーとかでいっか。確か棚にはパンがあったよな?ジャムつけて食うか。トーストもいいな。


 そうして俺は今考えた料理を30分ほどで作った。

 だが、もう一品程ほしい。


 ならあれでいいか?


 春雨とかにかまとキュウリをポン酢で和えて……酢の物の完成。


 あとは洗濯物か……


 ん?玲羅がやるって?

 彼女が言ったのは取り込むほうだ。干すのは割と早い時間、6時くらいに終わっちゃうから6時半に起きる彼女には無理だ。


 もうブラを見るとか今更だ。


 そうして過ごしていると、結乃が上から起きてくる。


 「おはよー」

 「おはよ。始業式いつだっけ?」

 「ん……あした」

 「そうか、じゃあ昼は自分で作ってくれよ」

 「あー、そういえばお兄ちゃんたち今日からか」

 「そうだ。だから……」

 「うん、大丈夫だよ。お兄ちゃんより学校に友達いるし」

 「そうじゃねえよ。知らない人とか家に入れるなよ?」

 「もう、子供じゃないんだから」


 そう言いながら、食卓に着く結乃。妹は朝からお腹が空いているようだ。


 「食べないの?」

 「俺は玲羅を起こしてくる」

 「いってらー」


 玲羅が寝ているのは俺の部屋。俺は一度、自室に戻った。

 ドアを開けて部屋に入ると、まだ気持ちよさそうに眠っている玲羅がいる。


 そんな彼女を揺さぶって起こそうとする。


 「玲羅、朝だぞ」

 「ん……あと5分……」

 「いや、いいけどさ。眠り姫には熱いキスをプレゼントしちゃうよー」

 「むにゃ……」

 「じゃあ、いきまーす」


 全然起きてくれないので、玲羅にキスをする。唇に触れる程度じゃなんの効果もないので、舌をねじ込んで絡めてやる。

 すると、急に脳が覚醒したのか、「んー!」とか言いながら抵抗してくる。


 だが、俺の胸を両手で押すなど抵抗はしてくるが、それは微々たるもの。全然力が入ってない。それどころか、その抵抗の力も弱まっていき、果てには抵抗することすらやめてしまった。


 玲羅が俺のキスを受け入れてから数分はずっと瑞っぽい音が響き続けていた。


 たっぷりと玲羅の唇を奪った後、俺は玲羅から離れた。


 「ほら朝だよ。起きてお姫様」

 「んぅ……おはよう……」

 「朝ごはんできてるから、着替えたら下に降りてきて」

 「わかった……」


 朝ごはんができている旨を伝えて、俺は下に降りる。

 部屋を出てからすぐに、中から小さい声で「ばか……はずかしい」という声が聞こえた。


 今日も今日で、俺のヒロインは絶好調だ。


 時間も経過し、玲羅の支度が終わって、俺たちは家を出ようとすると、結乃が玄関で見送りをしてくれる。


 「いってらっしゃい」

 「ああ、昼は好きにしてくれよ」

 「わかってるよ。玲羅先輩もお兄ちゃんとイチャイチャしすぎないでね」

 「わ、わかってる!」


 そうして家を出た俺たちは、さっそく恋人つなぎで歩き始めた。


 「イチャイチャしないんじゃなかったの?」

 「お前もわかってるだろ?このくらいは適度なイチャイチャだ」

 「ふふっ、玲羅はいつもいつも可愛いなあ」

 「も、もう慣れたぞ」

 「そうか?顔が真っ赤だぞ」

 「こ、これは発情してるだけだ!」

 「よりよくない気がするなあ」


 まあ、盛る相手が俺ならなんの問題もない、ってな。まあ、今の俺に何ができるかって話だけど。


 しばらく歩いていると、俺たちの家の最寄り駅に着いた。

 俺たちの通う高校である希静高校は最寄りから電車で三駅の距離にある。これから毎日電車に揺られることになる。


 定期券を使って構内に入った俺たちは、そのままやってきた電車に乗る。その中は出勤通学時間帯というのも相まって、中々混み合っている。


 「んぅ……」

 「大丈夫か?」

 「む……翔一は私をなんだと思っているのだ?これくらいどうということはない」

 「そうか?ならいいけど」


 人がすし詰め状態になっているからか、玲羅は少し苦しそうだ。まあ、毎日こんな感じだから慣れてくれないとな。


 そうして電車に揺られること10分ほどで希静高校の最寄り駅である『北峠』に到着した。

 俺は満員電車から解放されて、「うーん……」といいながら伸びをした。やっぱり、満員電車はきついな。車に乗りてー


 「意外と三駅だけでも辛いな」

 「こ、これでは将来やっていけないぞ」

 「ん?もう近いうちに在宅ワークも増えていくだろうから、もしかしたら電車に乗る機会も減ってくかも」

 「もしかしたらの話だろ?電車に乗っただけで翔一の体が壊れたとか嫌だからな」

 「いやだなあ、俺の体はそんなに弱くないし、体を壊すとしても玲羅のためにしか壊さないよ」

 「いや、壊さないでくれよ……」


 そんなこんなで俺たちは、希静高校に到着した。

 到着してから、新入生たちはまずクラスの確認だ。どうか玲羅と同じクラスで!


 玲羅もそんなことを考えているのか、祈るような表情でクラス名簿が張り出されている掲示板を凝視していた。


 「あ、あった!翔一と同じクラスだ!」

 「え!?まじ!?」

 「マジのマジだ!やった!翔一、よろしくな!」

 「ああ、よろしく」


 俺たちのクラスは2組。本校舎四階の端の方のクラスだ。

 そうクラス数は8組。同じクラスになれたのは奇跡だ。


 教室に入ると、ある程度グループができてるのか、それとも同じ中学の奴と話してるのか、なんにんかのグループが既にできていた。


 だが、俺たちが教室に入ると教室が静まり返った。皆の視線がこちらに刺さる。

 というか、男子の視線だ。玲羅を見ているんだろう。玲羅は中身も純粋な可愛い子なのだが、見てくれも普通にいい。


 美少女である玲羅が注目されるのは当たり前のことだろう。まあ、仮にも物語の元ヒロインだからな。


 だからといって、声をかけるような輩も出てこず、HRが始まった。


 HRでは入学式まではまだ時間があるため、1人ずつ自己紹介する流れになった。


 「天羽玲羅だ。よろしく」

 ((((え?それだけ?))))


 今現在最も(男子に)注目されているであろう玲羅は、名前を述べるだけ。一瞬驚いたが、そのようなクールさも相まって、またも男子の株が上がってしまった。


 そのまま俺の方にも順番は回ってきた。


 「椎名翔一です。まあ、大体なんでもできます。好きなタイプは―――自分の料理を笑顔で『おいしい』って言ってくれる人でーす。おなしゃーす」


 まあ俺の自己紹介はぼちぼちだ。さすがに好きなタイプはやりすぎかな?

 ふと、玲羅に目をやると、平静を装っているが、耳が真っ赤だった。まあ、好きなタイプって、玲羅のことを思い浮かべながら言ったからな。多分、俺の玲羅の一番好きで愛おしいところだ。


 だが、俺は次の人の自己紹介で、一気に全身の血の気が引いた。


 「次は私ね。私の名前は条華院美織(じょうかいんみおり)。得意なことはプログラミングとか開発です。おそらくそこの男よりもうまくできるわ!よろしく!」


 腰まで伸ばしたブラウンの髪。しっかりくびれている腰回り。そして、大きく主張をする胸。スタイルは玲羅に負けるとも劣らない。それに、他者になにも言わせないような高圧的なオーラ。

 おい、なんでここにいるんだよ。


 今、自己紹介した女生徒は席に座ると、小さい声で耳打ちしてきた。


 「久しぶり翔一、半年ぶりね」

 「なにを言っているのかな?条華院さん?」

 「むぅ……前みたいに美織って呼んでよ」

 「そんな子供みたいに……」


 高校生活、初日から不安だ……

前作から条華院は大幅なキャラ修正が入っています。意外と嫌われてたんで

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ