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打ち上げでイチャイチャ

 「「「「卒業おめでとー!」」」」


 卒業式のあった日、クラスのメンバー+玲羅を入れたメンバーで打ち上げをしている。

 打ち上げ場所は、近くのお好み焼きチェーンだ。


 ここは、お好み焼き、もんじゃ、肉などをテーブルにある鉄板で焼くスタイルのお店で、焼き加減も自分たちで調節できる。

 さすがに生で食ったりはしないけどな。


 テーブルはクラス内の仲良しメンバーで囲んで食べているのだが、現在、俺たちのテーブルの周りに人が集まっている。

 シンプルに、俺の焼くお好み焼きがおいしすぎると、クラスの奴らが一口でも食べてやろうと群がっているのだ。


 しかも、人数が多すぎて収拾がつかなくなってきたので、仕方なく一人一口の制約をつけて、お好み焼きを渡すことにした。


 そして、ようやく人が落ち着いてきたころ、ようやく俺も自分で焼いたものも食べることができた。


 そんなに群がるほどおいしいか?自分で作ってるから、そこまでって感じるのかな?


 「翔一、人気者だな……」

 「いや、食べ物に群がってただけでしょ」

 「本当においしいからな」

 「そんなにか?」

 「なんで翔一はそんな変なところで鈍感なんだ?」

 「わからん。でも、食べてもらって『おいしい』って言われるのは、悪い気はしないな」

 「むぅ……」


 俺の言葉に少しだけ不満そうにする玲羅。彼女的には、自分以外の人に俺の料理を取られるのはあんまりいいことじゃないのだろうな。

 今までで、彼女が独占欲が強いのはわかってることだ。それでも、クラスの奴らに渡したのは俺だ。ちゃんと安心させないと。


 「玲羅が『おいしい』って言ってくれると、幸せだけどな」

 「……っ!?」

 「なんなら、玲羅のためだけに毎日味噌汁作ってあげようか?いや、玲羅って洋食のほうが好きだったな……コーンスープ作ってあげようか?」

 「いや、お前、コーンスープとかめったに出さないじゃないか」

 「そうだっけ?まあ、玲羅しか食べたことのない料理はいっぱいあるからね」

 「それは、なんか嬉しいな……」


 やっぱり独占欲が強い。

 それもいいな。てか、俺自身面倒くさいから、それくらいがちょうどいいかもな。それに、強く求められるってなんかいいじゃん?


 玲羅には、俺を独り占めしたいと思うくらいが普通のことと思ってくれたほうが、過ごしやすい。


 「蔵敷君、どう?私の焼いたお肉」

 「ん……おいしい……」

 「そうでしょ?彼女にするなら料理ができるほうがいいでしょ?」

 「いや、それって奥さんにするならじゃ?」

 「じゃあ、奥さんにしてくれる?」

 「か、奏さん!?」


 外野では、今日から蔵敷を落とすことを決めた奏が健闘していた。


 どうやら、奏のほうが攻めがうまい。というか、蔵敷は攻めあぐねている。奏の好きという感情に答えたいと思う気持ちがあるが、半年前の出来事のせいで、いまいち奏を信用できないという状況だろう。


 まあ、あの状況なら蔵敷も落とされるのにそこまで時間は要さないだろうな。


 「む……翔一、どこを見てるんだ?」

 「ああ、あの二人、意外とお似合いじゃないか?」

 「うん……そうだな。蔵敷もまんざらではない様子だな」

 「あいつもあのことを乗り越えられるかな?」

 「何かあったのか?」

 「俺もあいつも、女運がなかっただけだ」

 「翔一の女運が……?わ、私は……」


 玲羅は俺の言葉を聞いてオロオロし始める。いや、そんな心配しなくてもいいのに。

 この上ない奇跡だというのに


 「玲羅はな。俺の女運のなさを断ち切ってくれた運命の人なんだよ」

 「へ?」

 「今の俺は最高の女運だ。なんてったって、玲羅が俺の恋人なんだから」

 「翔一……」


 そうやってイチャイチャするが、俺はもんじゃを作っていることも忘れていない。そろそろいいだろうと思い、テーブルメンバーに「いいんじゃないか?」と、伝えると


 「いや、あなたたちのやり取りだけでお腹いっぱい」

 「時と場所を気にしないくらいにイチャイチャするね」

 「爆発しろ」


 と、罵られた。「じゃあ、いらないの?」と聞いたら、全員急いで食べ始めたので面倒くさいやつらだ。


 メンバーも「おいしい」といって食べてくれるが、隣にいた玲羅はいつも通りの至福の顔で「んー!」と、漏らしながら足をバタバタしている。


 「翔一、これおいしいぞ」

 「そうか?なら俺も……て、ヘラねえし」

 「翔一、あーん」


 いや、店員呼べばよくね?と思ったが、俺は口に出せなかった。

 いつも通り、玲羅のあーんの姿に見とれてしまったのだ。


 「あーん」

 「じ、じゃあ、あーん……ん、美味しいな。でも、チーズ多すぎて、胃もたれそうだなこれ」

 「いいじゃないか。明日、翔一が消化にいいものを作ってくれそうだ」

 「そもそも、胃もたれしたら食う気なんておきなくない?」

 「そうか?私は翔一の料理なら、胃もたれしても食べたいけどな」


 玲羅はなんて嬉しいことを言ってくれるんだ。

 可愛すぎて、この場で抱きしめて唇を奪ってしまいそうだ。


 まあ、人目があるから帰ってから思いっきりするけど。


 それからは色々とサイドメニューも頼んだりして、思いっきり食べた。

 食べて食べまくって、満足いくまで食べつくした。


 そんなことをしていたからか、退席時間まで―――というより、他の人の食事の終了時間を待つ形になっている。


 玲羅はお腹いっぱい食べたのか、満足げな顔で俺によっかかっている。


 「翔一……幸せ……」

 「そうか」

 「翔一は?」

 「玲羅に甘えられてる時間が、最高に幸せだな」

 「……翔一ぃ~」


 少しだけ考え込んだ玲羅は、よっかかって彼女の頭に当たっていた腕に、頬をすりすりしてきた。

 急なことで驚いたが、この感触も悪くない。玲羅の柔らかい頬が当たるたびに、ぷにぷにとした肉感のいい感触が伝わってくる。


 俺も負けじと玲羅の頬をツンツンする。


 「翔一、私のほっぺはどうだ?」

 「柔らかくて気持ちいよ」

 「そうか……翔一は私のどこでも好きだな……」

 「そりゃそうさ。俺は玲羅の全部が好きだからな」

 「……そうか」

 「ちょっと恥ずかしかったでしょ?」

 「ぬああ!?」


 俺がちょっとだけからかいながら首筋をなぞると、めちゃくちゃ驚いた玲羅が叫び声とまでは言わないが、小さい悲鳴を上げた。


 「ふふ、そういうところも可愛いよ」

 「クソ……こういうのも悪くないと思ってしまう自分が嫌だ」

 「そう?俺はそういう玲羅も好きだよ」

 「やめてくれ……どんどん翔一の沼にはまってしまう……」


 なんだ、はまってなかったのか……


 なら、もっとずぶずぶに突っ込んでやろ

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