文化祭前夜
フェチ刺激回です
文化祭が翌日に迫った日の夜―――俺と玲羅はお互いの肩をくっつけながらテレビを見ていた。
文化祭のために徹夜を許している学校もあるだろうが、うちでそういうのは許されていない。そういうわけなので、最終下校時刻ギリギリまで作業をして俺たちは帰宅していた。
帰ってきた時間は21時を超えており、俺たちはくたくたになりながらも風呂に入って食事を済ませた。
ちなみに結乃は友人宅に泊まってから、うちの文化祭に来るらしい。そろそろ受験なの忘れてないだろうか?
と、そんなこんなで今はいい時間のバラエティを見て過ごしている。
今見ている番組では、芸人がモデルに話を聞いたり、イジったりする回らしく、美形の女性陣が出演していた。
そして、その番組を玲羅はすごく真剣に見ている。
一体、なにをそんなに注意してみる必要があるのだろうか?
そう思いながら彼女の凛とした横顔を見ていると、眠気もやってきて、一緒に寝ようという運びになる。
「ふわ……翔一、もう寝よう。明日も早いしな」
「そうだな。まあ、玲羅を抱きしめながら寝たらどんな状況でも安眠だよ」
「―――あれ、心臓がバクバクして、私は大変なんだぞ」
「嫌か?」
「そ、そんなことはない!」
そう言うと彼女は、自分から俺にくっついてくる。
「恥ずかしいだけで、私も―――安心して眠れるんだ」
「そうか……なら、もっとぎゅってしてあげようか?」
「なんか、絞殺されそうだ……」
「失敬な!俺は好きな人を殺したいなんて言うサイコじゃねえぞ!」
「ひ、比喩だ!そういう意味じゃない!」
「ぷっ、わかってるよ」
「も、もう……ふふっ」
そんな軽い言い合いとまでは言わないが、じゃれあいをしていると、なんだかおかしくなって二人して笑ってしまう。
こんな日常が愛おしいな。
そう思っていると、玲羅が少しだけ顔を俯かせて言った。
「翔一は、テレビの人のモデル体型はどう思う?」
「んあ?いや、特に何も……」
「スラっとしていて綺麗だとは思わなかったか?」
「あー、そうだな。強いて言うならだな」
「やっぱり……」
「ひどい誘導尋問だな……」
そう茶化すと、玲羅はずいっと俺に顔を近づけてくる。
なにか鬼気迫るような迫力を感じるが、俺も物おじせずに彼女の話を聞く。
「わ、私はお世辞にもスラっとしているとは言いづらい……自分で言うのもなんだが、出るところが出すぎている感じもする……」
「まあ、人よりはちょっと大きいかな」
「そうなんだ。ないのは嫌だが、ありすぎるのも……」
「うーん……」
玲羅の大きいがあまりピンとこないのは俺だけだろうか?
いや、アニメとか漫画の見過ぎで、病的な巨乳キャラを知っているからだろうか?玲羅の胸やお尻は、ファンタジーよりも、現実恋愛世界よりの巨乳―――つまり、現実にもいそうな大きさだ。
あまり、そこら辺を気にしたことはなかったな。ちなみに、この世界のもう一人のヒロインだった八重野はつるぺただ。いらん情報だったかな?
余談だが、なんだあのファンタジーのクソでか胸は。でかすぎだろ。
限度を知れ、限度を。現実にいたら申し訳ないが、あれは現実離れしすぎだ。
と、まあ俺のお気持ち表明は置いておいて、今は玲羅のお悩みに付き合うときだ。
「胸もお尻も、小学校の高学年くらいから大きくなってきて、今じゃジーンズとかを履くと、ぴっちりラインが出てしまうほどだ……」
「んー、俺はそんな玲羅が好きだし、気にしなくていいんじゃない?―――んなこと言ったら、俺だって足太いよ?特に太ももとか」
「それは、翔一が鍛えていたからだろう?私は、なにもしてないんだぞ」
「どうしようもないっしょ、早苗さんもスタイル良いし、これは完全に遺伝でしょ」
そう言うと、彼女は自分の体をもう一度見てため息を吐く。
「もう少ししまりの良い体になりたかった。これじゃあ太ってるように見えてしまうんだ……」
「まあしょうがない。でも、服は着ようによるから、一概にそうとは言えないよ。それにな―――」
「ひゃん!?」
俺は自分の体に対して自信を持てない玲羅のお尻を撫でた。というか、胸を触らせといて、自分の体に自信がないってなによ。
さわさわと動く俺の手の感触を感じている彼女は、わずかにだがぴくぴくと尻を震わせていた。
「玲羅のお尻はとっても形がいいよ」
「ふ……ぅん……」
「安産型で肉感もいい。これがよくないなんておかしいよ」
「ひゅ……と、とりあえず触るのを……」
「玲羅はさ、自分を下げて俺に褒められて気持ちよくなろうとしてない?そう思うくらいに、玲羅って突然自信なくすよね?」
「くっ……そ、そんなつもりは……ぁん……」
彼女が俺の肩を握るようになにかを我慢し始めたころに、俺は手の動きを止める。
それと同時に、彼女は脱力感からか、俺の胸にへたへたと倒れこんできた。
「お尻、見てもいい?」
「ふぇ!?―――い、良いが……なにをするつもりだ?」
「なんにも……ただ見て、褒めるだけだよ」
「な、なぁ!?」
俺は彼女に許しをもらって、四つん這いになってもらい、玲羅の履いているパジャマのズボンを下した。
それと同時に、露わになるかわいらしい下着と真っ白なお尻。
太っている人のような「だるん」としたたるみはなく、しっかりとハリのある綺麗なもの。
「真っ白で綺麗だよ。それに、ちゃんとたるみもなくていいお尻だ」
「くっ、なんて羞恥責めだ……」
俺の言葉に玲羅は四つん這いになりながらそう言う。恰好のせいで、本当に羞恥プレイみたいだからそんなことを言うのは勘弁してほしい。
しかし、俺はそれでも彼女のナマのお尻をさわさわと撫でながら続ける。
「綺麗な桃尻……スレンダーとは違う魅力がある。玲羅に分かる?」
「わ、わからない……」
「それにな、こんなに安産型だと安心しちゃうじゃないか」
「な、なにがだ?」
彼女が少し不安な顔をして、言葉を待つようにした瞬間、俺は玲羅の背中の上に覆いかぶさるようにして乗り、彼女の耳へとつぶやいた。
「元気な赤ちゃん生んでくれるって……」
「……///!んーーーー!」
我慢ならんとばかりに、俺の言葉を聞いた彼女は枕に顔をうずめて叫んだ。
かすかに見える耳は真っ赤になっている。
彼女があまりの羞恥に耐えられなくなったからと、俺は両手を少し上げてから軽めに振りぬく。
パチン!
「ひゃん!?」
俺の両掌は見事に彼女のお尻にヒットし、尻たぶが波を打ち、彼女は思いっきりのけぞった。
あまりにも唐突な刺激に、玲羅はそういうことを考えるよりもおどろきが勝ってしまい、目を白黒とさせていた。
「な、なにするんだ!」
「わかった?玲羅は魅力的だよ―――それに夜更かしは美容の敵だ。もう寝よう」
「あ、ああ……そ、その前にトイレに行ってもいいか?」
「いいよ」
そう言うと、彼女はズボンを履いて下の階へと向かっていった。
彼女の足音が完全に離れていったのを確認して、俺は自身の手を確認する。
すると、俺の手はわずかではあるが、自分の目で見てわかるほど震えていた。
「ぎりぎりだったな……」
玲羅のお尻を叩いて無理やり終わらせたが、かなり限界だった。
やはり、エロ方面は精神的に辛いものがある。彼女が望んでいる関係ではあるが、いまいち進み切れない。これではだめだとわかっていても、彼女とためと思っても、ダメなものはダメなのかもしれない。
今回も、彼女を生殺しにしてしまった。本当は、彼女が満足できるところ―――達するところまではしてあげたい。今はゴムがないので、最後の最後はできないが、それくらいはしてあげたい。
だが、彼女がそうなるのに近づくにつれて、別れが近づいてくる感覚が押し寄せてくる。それのせいで、最後の最後でチキってしまう。
「―――このままだと、玲羅がかわいそうだよ……」
その後、戻ってきた玲羅を強めに抱きしめて寝た。
彼女が抱きしめたときに「んふ……ぁ……」と言ったが、聞かなかったことにした。これ以上、俺が玲羅にできることなんてないような気もしてしまったから。
(翔一の張り―――ゾクッとしたな……)
そんな彼女の心の声も知らずに