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怪奇?ドール事件

 ガチャ


 あれから色々ありながらも、俺と玲羅は、彼女の両親の運転で帰ってきた。

 なかなかの長旅で疲労感はえげつないが、安息の自宅に戻ることができた。


 「じゃあ、運転お疲れさまでした。ここからも帰るまでに事故らないでくださいね」

 「わかってるわよお。翔一君のほうこそ、玲羅をよろしくねえ」

 「はい、責任もって預かります」

 「玲羅も翔一君に迷惑かけないのよお」

 「わ、わかってる!母さんは、さっさと父さんを家に帰してやれ。疲れすぎて白目向いてるぞ」

 「そうねえ―――じゃあ、二人ともバイバイ!」


 そう言うと早苗さんは、最後の数キロを走りに行く。

 車が走り去った後には、自宅前に置かれた俺たちが残っている。


 「じゃあ、家に入ろうか?」

 「あ、ちょっと待ってくれ―――」


 俺の言葉に反応した彼女は、少しためらった様子を見せながら俺にキスをした。今回は軽いキスだ。


 「ふふ、ただいま……」

 「うん、おかえり。じゃあ、入りますか?」

 「そうだな。ただいまのキスも済ませたし―――」

 「可愛い玲羅も見れたし―――」

 「よ、余計なことを言うな!」


 大きなキャリーケースや、手に提げたお土産類などを持ちながら、俺たちは家の扉を開ける。

 ―――すると、中にはあらぬ方向に曲がった女の人が……


 「いやああああああああああ!?」

 「うおっ、びっくりした」


 玄関にいた人の目には一切の生気が感じられないうえに、すっ裸だった。

 そんなわけのわからない状況に玲羅が淡淡とし始める。


 「ゆ、結乃と美織が……ああ、ついに人を―――」

 「うーん、あいつらは意味もなくそういうことしないと思うけどなあ」

 「な、なんでそんなに冷静なんだ?―――って、触らないほうが……」

 「これって……」


 俺は、玲羅があまりにもビビっているので仕方なくそれに近づくとすぐに違和感に気付いた。


 ―――これは、人じゃない、人形だ。しかも、ただの人形じゃない。


 「ラ〇ドールじゃねえか」

 「ああああ!聞きたくない!聞きたく……は?」

 「あ、翔一たち、帰ってきたのね」

 「お前か?うちにこれを配送したバカは」

 「ああ、ラ〇ドール?興味本位でポチりまくったもののひとつね」

 「やっぱりか……ん?“うちのひとつ”?」


 俺は美織に言い回しに違和感を感じ、すぐにリビングに走っていく。

 明らかにこれだけってのは、美織の発現からは考えにくい。―――と、なると……


 扉を開けると、もはや予想通りの地獄が広がっていた。


 「あ、みお姉?これ、すっごい震えるー―――んあ?お兄ちゃん!?」

 「なにしてんだ、てめえ……」

 「あー、これはあ……」


 そう言って、さっと持っていたものを背中に隠す結乃。

 だが、ちゃんと俺は見ていた。


 「おい、そのバ〇ブよこせ。没収だ没収」

 「お兄ちゃん、女の子に向かって、その発言はセクハラだよ!」

 「なら、それを持ってるお前はわいせつだよ」

 「う、うっさい!助けて、みお姉!」

 「ほいきた」


 ズガッ!


 結乃の呼びかけに応じた美織が、俺の背中に綺麗なドロップキックを放つ。

 その勢いで、構えていなかった俺は綺麗にリビングの後ろに飛んでいき、壁に激突する。


 「いってえ……」

 「逃げるわよ、結乃!」

 「そうはさせるか!」


 俺を吹き飛ばした二人は、外に逃げようとするがあとから来た玲羅に道を阻まれて先に進めなくなっている。


 「あら、玲羅のくせに生意気ね」

 「うるさい!翔一の仇!」

 「死んでねえよ……」


 騒がしく組み手を始めようとする二人を制止した俺は、すかさず美織と結乃の首根っこをつかむ。

 それから首が締まらないように二人を宙に浮かし、エログッズが散乱する中のソファの上に投げつけた。


 「痛い!乱暴しないで……初めてなの」

 「頭いてえ……で、言い訳は?」

 「ないわ!気になったから買ったのよ!」

 「清々しすぎても腹立つな。使ったのか?」

 「翔一、その質問はセクハラよ!」

 「いいから、使ったなら使ったで洗うとかあるからさ……」

 「それくらい自分でやるわよ」

 「ああ、使ったのね」

 「いや、私も結乃も使ってないわ。手に入れて、振動を見て満足したわ」

 「もうやだ……」


 とにかく、二人はこの散乱した物品を一切使用していないらしい。

 なぜ買った?―――本当にわからない。なんなら、玲羅のほうが興味を示しているくらいだ。


 まあ、彼女はむっつりだからな。


 「ははーん……もしかしなくても、興味あるわね?―――玲羅」

 「ふぁ!?そ、そんなわけないだろ!」

 「嘘ね。あなた、さっきから色々なグッズ見て、顔を真っ赤にしてるじゃない。もしかして、翔一にしてもらってるところ想像してるのかしら?」

 「そ、そんなわけないだろ!」


 否定をする玲羅だが、美織も負けじと彼女の耳元でささやき始める。


 「こんな風に翔一に言葉責めされて―――これで何度も何度も攻められて……」

 「うぅ……」

 「もう達したくないのに、全然やめてくれなくて、最後には馬鹿になるくらいに頭が真っ白になって……」

 「や、やめろぉ……」

 「最後は尻をぴくぴくさせながら……」

 「やめろぉ!」


 美織の言葉に耐えきれなくなった玲羅が発狂しながら自身の部屋に戻っていく。

 あんまり変なことすんなよ……


 「なによ、あれじゃあ処女卒業は無理ね」

 「なに言ってんだよ……」

 「翔一も、さっさと腹くくりなさい」

 「てか、説教は俺がする側なんだが?」

 「あ、まだ許してくれない?」

 「当たり前だろ?なんせ、俺にドロップキックかましてくれたからな」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 私は美織の言葉に耐えきれずに逃げ出してしまった。

 それどころか、あの言葉に惑わされて翔一の顔を見るのすらままならなくなってしまった。


 仕方がないので、私は今日だけ落ち着かせるために、翔一が用意してくれた私の部屋で寝ることにした。


 もう長いこと使っていないベッドに入り、目を閉じようとすると―――コツンと、私の手に何かが当たった。


 「む?―――こ、これは!?」


 それを手に取ってみると、ピンク色の物体が握られてきた。

 き、興味本位で見た動画で出てきていた。


 「こ、これが―――電〇と言うやつか……」


 まじまじと見てみるとすごかった。

 大きすぎず、決して小さいというわけでもない。電源を入れてみると、弱にしていたからか、優しい振動がくぐもった音を出しながら起きた。


 少しだけ―――そう、本当に当てるだけ……


 「少しくらいなら、試しても……」

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