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進展?

 あれから数日―――

 玲羅が時々艶っぽくなる。


 なにかと姿を消して、戻ってくると「ふぅ……」と息を吐きながら戻ってくるのだが、ちょっと汗が出ていてエロくなっていた。

 それだけではなく、明らかに風呂の時間が長くなった。


 玲羅の母は、何事か察しているみたいだが―――いや、正直に言うと俺も何となくわかってる。なんとなく俺の予想だが、あれは自分で自分を慰めてる。


 それを悪いとは思わないし、仕方のないことだとは思うが、なぜ今になって頻度と回数が増えた?


 ―――覚えはある。数日前、彼女自身がマゾだと自覚してしまったことだろう。

 あれのせいで、確実に彼女の価値観が多少なりとも変化があったのだ。


 そして、つい先ほどもそれを終えた玲羅が俺の腕の中に収まっている。


 「玲羅……」

 「む……なんだ?」

 「するのはいいけどさ。頻度とか、人目を気にした方がいいよ」

 「なっ!?」

 「俺だけじゃなくて、早苗さんにもバレてると思う」

 「な、な……なんでバレた!」

 「あまりにも玲羅が色っぽくなる時があるから。ちょっとした違和感かな。玲羅のこと、第一に考えて、いつも見てきたから。なんか違うくらいには気づいてた」

 「く……恥ずかしい」


 そう言って、彼女は顔を手で覆う。

 まあそりゃ俺もシテるのがバレたら死にたくなるが……うーむ、なんて声をかければいいんだ?


 「誰にも言わないから。安心して」

 「安心しろって……一番バレたくない人にバレたんだが?」

 「それはごめん。でも、そんな玲羅を嫌いになったりしないよ。玲羅がちょっとエッチなことくらい、前から知ってたし」

 「それを聞いて、私はもっと恥ずかしくなった。―――とりあえず、いったん放してくれないか?」

 「それはヤダ。玲羅はこのまま俺に抱かれたまま生きていくんだよ」


 そう言うと、俺は腕だけでなく足も使って彼女を完全にホールドする。それに気づいた彼女が抵抗するが、がっちりと固められたホールドに彼女は抜け出すことを断念する。


 そうして、しばらくの間完全密着状態―――通称『だいしゅきホールド亜種』を続けていると、彼女に異変が見られた。


 「ん……し、翔一」

 「どうした?」

 「そ、その……トイレ……」

 「うーん……漏らす?」

 「ば、バカか!?」

 「うーん、玲羅の放〇……見てみたいけどなあ」

 「わ、私もだが、お前も大概だ!は、早く!本当に……」

 「わーたわーた。はい、これでいけるでしょ?」


 俺がそう質問するが、彼女はバタバタと下腹部―――膀胱のあたりかな?を押さえながら走っていく。あーあ、そんなに走ると逆に漏れちゃうよ。


 そう心配したが、それ自体はたいして必要もなくすっきりした様子の彼女が戻ってきた。

 ―――性的にすっきりしたわけではないようだ。


 「翔一、なんか失礼なこと考えてないか?」

 「ううん、ただ今回はしなかったんだ、と思って」

 「わ、私はそこまで節操なしじゃないぞ!」

 「場所選ばない時点で大概でしょ。いつか、俺の寝てる隣でするんじゃねえの?」

 「……」

 「否定してくれよ……」

 「い、いや、私は本当にダメになったみたいだ……」

 「もー」


 ていうか、なにこの下ネタのオンパレード。俺もだけどさ。なんていうか、本当に美織の影響を受けたな。

 彼女自体は下ネタ好きというわけではないのだが、少しずつ周りの環境で価値観がおかしくなってしまったのだろう。なんか、多少なりとも他人に性的な部分を見せたほうが好かれるみたいな刷り込みが発生したのかもしれない。


 いや、悪くはないんだけどね。ただ、原作からかけ離れていくのが本当にシュールだ。


 作者によってできた緻密なキャラ設定がこんな簡単に崩壊するのだからな。

 いや、作者はこういうキャラとして作ったのか?―――どうでもいいか。


 そのまま戻ってきた彼女を、後ろから強めに抱きしめてキスをする。


 正直、最近はキスもバリエーションがなくなってきたな。ただ、舌を絡ませてぐちゅぐちゅと水っぽい音を立てながら求め合うだけだ。不満もないし、文句もない。ただ、それ以上に彼女の体を求める気持ちが強くなってきた。


 だが、俺の理性がそれにブレーキをかけてくる。肉体関係を持ったら、彼女も自殺する。そうしないとわかっててもやはり刷り込みは恐ろしい。


 この呪いを彼女に解いてもらうしかないのに―――本能が理性を超えないとならない。それは玲羅を壊すほど愛するということ。そんなことできるわけない。ということは、どんなに胸が締め付けられても、少しずつかいとするしかない。この冷え切った心を。


 そう思って、俺は自発的に玲羅の胸に手を伸ばした。


 「ん!?……んふ、ぁん……」


 胸なら大丈夫。ただ、これ以上は―――いや、考えるな。彼女の求めること。それを理解して、心からそれだけを考える。彼女も俺との体のつながりも求めている。それだけ俺たちの関係も進んだということ。ならば、俺が踏み出すのみ


 そうして、俺は何度も何度も、彼女の双丘を触り続けた。時に強く握ったり、時に優しく頭頂部を撫でたり、色々な変化を加えて、彼女の本能を高め続ける。


 すると、何度かビクッと体を反応させるようになり、しまいには継続的に体を痙攣させるようになった。


 その後も、なんでも彼女は達して、最後にコテンと力尽きてしまった。


 「はぁ……はぁ……」

 「悪い。ここまでするつもりはなかった……」

 「い、いいさ……でも、翔一からしてくれるなんて思わなかった」

 「俺も、少しだけ踏み込んでみようと思う。―――将来、玲羅と結婚した時に子をなせないなんて悲しいこと思いたくないし、思わせたくない。だから、少しずつ俺から歩み寄っていいか?」

 「ふふ……私が翔一の申し出を断るはずがないだろう?―――翔一が私をダメ人間にするなら、私は翔一をダメ人間にする。二人でダメになって、お互いにいつまでも愛し合っていこう」

 「ああ、俺と玲羅の心はいつだってつながってる。通い合った愛情は、もう切れないさ」


 何度もしたせいか、汗だくになった彼女はこう言った。


 「着替え、持ってきてほしい……」

 「ああ、待ってて。全部?」

 「ブラは―――いいかな。できるだけ早めにパンツだけでも持ってきてくれ。その下が……」

 「大洪水だな?悪かったな、本当に」

 「かまわない。嫌なら、あそこで抵抗してたさ。しなかったから、翔一もつづけたんだろ?」

 「ふっ、よくわかってんじゃないか」


 俺たちの関係は少しだけ進んだと思う。―――まあ、ちょっとエッチ方面だがな。

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