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彼女色

 「しょういちぃ……ちゅー!ぶちゅーって!ねえしてよぉ……」

 「はいはい。目を瞑って―――どう?」

 「うへへ……しょういちが3人ん!」


 現在、非常に厄介なことが起きている。


 大好きな俺の恋人が、上半身を脱いだ状態―――半裸で俺に抱き着キスを迫ってきている。

 こうなったのには理由があるから、特に不思議には思わないが、目のやり場に困るし、エロすぎてマジで大変。


 なぜこうなったかというと―――


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 「翔一君、今日は蟹よぉ」

 「マジっすか!?いやあいいっすね蟹」

 「喜んでくれて嬉しいわあ。アレルギーじゃないわよね?」

 「大丈夫ですよ。ていうか、持ってても食います!玲羅の親戚が出してくれたものを食べないとか選択肢にないんで!死んでも食います!」

 「あらあ、元気ねえ」

 「し、翔一!?死んじゃだめだぞ!」


 そんな感じで、夜ご飯のメニューが決まっていた。

 玲羅が「死んじゃだめだ!」とか言って抱きしめてくるが、もはやいつものこと過ぎて段々揺さぶられながらいろいろ考えるのもできるようになってきた。


 だがまあ、頭がぶんぶんと揺れるのはいろいろと悪いからやめさせるのだが。


 「玲羅……頭はダメ!振っていいのは―――」

 「―――美織なら腰と言うな……」

 「思ったけど、口に出さなかったのに……まあ、いつかその時が来たら―――」

 「ば、馬鹿!なんてことを!」


 そう言うと玲羅は、俺のことをパッと放して自身の顔を手で覆う。

 耳が真っ赤になってる当たり―――恥ずかしくて、と言うよりも


 「想像したな?」

 「なっ!?」

 「このむっつりさんめ」

 「むぅぅぅぅぅ!」


 恥ずかしさが頂点に達した彼女は、俺の胸に強くはないが、何度も頭突きをしてくる。可愛すぎやしないかい?


 ちなみに、こんなところを善利さんが見たら泡を吹いて気絶するだろうな。

 その当人は、自身の妻と一緒に蟹の下処理をしている。


 お祖父さんは書斎で何かをしていてここにはいない。


 つまり、おばあさんはいるわけなのだが。まあ、マイペースな人なのでイチャイチャしていてもニコニコしててくれそうではある。


 そうしてしばらくすると、晩御飯の時間になった。

 相変わらず、俺と玲羅はお互いの肩がくっつくんじゃないかってくらいの距離に座る。


 この時に善利さんの妨害が入りかけるが、いつも通りほかのメンツに邪魔されている。


 今は、俺と玲羅の味方に3人の心強い人がいるからな。


 「はむ……!?翔一!これ、おいしいぞ!」

 「マジ?ほんとだ!おいしいな!」

 「くっ!食事中にくっつくな!」

 「「「別にいいでしょ」」」

 「「……!?」」


 食事中にイチャイチャする俺たちに善利さんが注意すると、ほかの三人から総攻撃を受ける。

 あまりにも驚きの出来事に、善利さんはおろか俺までも驚いてしまった。


 「善利さん、あなたも私たちの娘を骨抜きにしていっただろう?」

 「それは……」

 「こういうことなんだよ。一人娘が男に惚れるということは!」

 「お義父さん……」

 「ま!わしは悲しくなかったけどね!」

 「ジジイ!」

 「ちょっと!善利さん!私の父に向かってジジイ!?喧嘩よ!」

 「!?」


 こうして、食事の場は数人が抜けていった。

 そのまま俺と玲羅とおばあさんで食事を続けていたのだが、玲羅の様子がおかしくなってきた。


 なんというか、ボディタッチが増えてきた。


 今はさわさと撫でるように俺の太ももを触っている。

 何気に手つきがエッチだから、色々複雑な気持ちになってしまう。


 「むぅ……もう少しいい反応はないのか!」

 「どうした?」

 「どうしたじゃない!こんなに私が触ってるんだ!」

 「そうだね。じゃあ、俺も……」

 「ぁん……」


 二の腕を触っただけなのに色っぽい声を出す玲羅。もしかして、これが目的か?と言うかこの状態って……


 ある結論を導きだし、テーブルのほうを見ると、やはり案の定というか、開封された酒の缶があった。


 「玲羅、未成年はお酒飲んじゃだめだよ?」

 「うるさーい!私はお酒の力をかりないと、本音を出せないんだ!」

 「そんな力強く言われれも……」

 「ほら、行くじょお!」

 「呂律も怪しくなってきてない?」


 玲羅に手を引かれてやってきたのは、やっぱり寝室だった。

 そのまま俺も、またもや玲羅に押されて布団の上に倒れこむ。ただ、今回は少しだけ違い、彼女は俺の上に馬乗りになってくる。


 「うひひ……これで翔一は私のもの」

 「そんなことしなくても、玲羅のものだってば」

 「うるしゃい!いいから服を脱げ!キスマークをちゅけられないだろ!」

 「ええ……というか、降りてくれ。じゃないと服が脱げない……」

 「ううむ……なら、私が脱げばいいんだ!翔一が私に!」

 「なあ、玲羅。この前は酒の時の記憶あったよな?」

 「うるしゃい!うるしゃい!」


 そう言ってバッと上の服を脱ぎ捨てる彼女。ついでになのかはわからないが、ブラも取りやがった。

 これのせいで本当に目のやり場に困る。


 「ほら!キスマークを付けるんだ!」

 「はいはい」


 観念した俺は、あきらめて無理やり体を起こして、抱きしめながら彼女の首筋にキスをする。

 ちゅうちゅうと少しだけ吸いながら甘噛みすると、綺麗なあざができた。


 「うひひ」


 と、まあそういうわけで、俺は今非常に困った状況になっている。


 と、思っていたら玲羅がうとうとし始めた。


 「玲羅?」

 「半殺しはやぁ……もっとぉ」


 パタン


 「すぅ……」

 「あーあ、寝ちゃった。明日の朝、どうなるのやら」


 食事前にふろに入っている。なら寝ても問題ないか。―――歯磨き?終わってることにしておいてくれ。


 玲羅につられて、俺も入眠するのだった。


 ―――次の日


 朝起きると、玲羅と目が合った。

 そして、目線を下げると俺の体と密着してつぶれている大きな胸……


 「~~~っ」

 「玲羅……」

 「ちょっと、見ないでくれ……」


 そう言って、彼女は俺の胸に顔をうずめて表情をわからないようにする。だが、もう正直それがすべてを言っているようにしか見えない。


 そう考え、俺は玲羅のほっぺをもって、彼女の顔を持ち上げる。


 「玲羅……」

 「し、翔一!?」


 ちゅ


 唇が触れる。恥ずかしがっていた彼女も唇が衝突したとたんに、目を閉じてその感覚を味わっていた。文字通り、キスの味も舐るように舌を絡めてくる。

 もう彼女はディープキスマニアかつ、愛好家レベルにうまくなった。最近は、玲羅の舌の感覚が気持ちよくなっている自分がいる。


 なんていうのだろうか。俺自身が彼女の色に染まるのも悪くはない。

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