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本当の実家

 事件から数日。町にはこれといった大きな混乱はなく、普通の場所へと戻っていった。

 大きな混乱というほどではないが、洗脳状態にあった玲羅の祖父母はいつの間にか俺たちが来ていたことに非常に驚いていたが、まあ受け入れてくれた。


 さすがにすごいな。玲羅やその両親がいるのは理解できても、突然孫の彼氏を名乗るやつがいたというのに……


 まあ、混乱より彼氏ができたという喜ばしい事実が勝っていたのだろう。

 事実、俺と玲羅の添い寝もにやにやしながら見ていたらしい。


 この田舎の滞在期間は盆を過ぎるまで。先祖の墓参りを終えたら、家に帰るとのことだった。


 「んぅ……」

 「やあ、お目覚めかい?」

 「んぁ?……なぜ事後風?」

 「なにを言っているんだい?昨日はあんなにも激しかったじゃないか?」

 「ふぇ!?え!?わ、私、翔一と!?」


 俺が朝っぱらから変な冗談を言うと、頭の働ききっていない玲羅はものすごく取り乱す。

 やっぱ、まだ全然慣れてないな。もっといじって可愛いところをさらけ出してやる……


 「なーんてね。でも、最近の玲羅は大胆になってきたからなあ」

 「うぅ……私だって翔一の恋人とかそういうのの前に、一人の女なんだ。やっぱり心はもちろんだが、肉体的なつながりも求めてしまうし、ないと不安になる気持ちもあるんだ……」

 「おーよしよし。そんな玲羅ちゃんには、苦しくなるほどの熱い熱いハグとキスを!」

 「んぅ!?」


 俺の言葉に反応する間もなく、玲羅は俺の熱い抱擁とキスを受け入れた。

 抱きしめる俺に伝わってくるこの肉感。スリムながらもムチッとしたこの感触もなかなかのものだ。


 彼女の恥ずかしがる一面とは裏腹に、彼女はかなり色っぽいところがある。まあ、酒を飲んだ時によく表れるのだが……

 過去、彼女が酒を飲んだ時はカレカノ関係ではなかったが、好意を寄せてくれていた俺にキスを求めてきた。その時の目線の使い方やら何やらが、もう端的に言ってエロかった。


 そんな彼女は、彼女たらしめる体つきをしている。こう言うと、気持ち悪いかもしれないが、抱きしめるとやみつきになる感覚?

 母親、妹、元婚約者の綾乃、美織と比べても抱き心地が段違いでいい。


 そして、何より―――


 「ぷはぁ……しょういちぃ、もっとぉ……」


 ―――この、キス後のとろんとした目元。もうヤバいよね。言葉を失ってしまう。


 「癒されるわぁ」


 その後、いっぱい朝のちゅーをして、リビング的な場所に向かう。そこには、すでに朝食の用意がされていて、いい匂いがした。


 最近は、玲羅のリクエストで料理は俺がしていたので、他人の料理は久しぶりだ。


 「翔一君は、食べられないものはない?」

 「特にないですねえ―――ああ、でも昆虫食は無理です」

 「あら奇遇ねえ、おばあちゃんも無理なのよ」

 「ですよねえ。昆虫食うくらいなら、傷とかで規格外になった廃棄の魚とか肉食いますよ!」

 「玲羅、良い人を彼氏にしたねえ」

 「今ので、どこがいいとおもったんだ?ほぼ、昆虫食否定だったぞ……」


 そうは言うが、俺は絶対に虫は食いたくない。あんなうじうじ動いていたものを食うなんて想像しただけで蕁麻疹が出る。

 好んで食べてる人には申し訳ないが、気持ち悪い……


 食糧難だなんだとかいう前に、規格外だと廃棄していると言われている漁獲量のうちの30%を今すぐになんとかしろよ!

 味さえよければいいんだよ!見た目なんか一般庶民には二の次なんだよボケ!


 そんなことはさておき、全員でいただきますをして食べ始める。


 「ん!おいしい!」

 「そうかい。口にあってよかったよ」

 「さすが玲羅の血筋の原点!料理がうまいですね!」

 「あはは、玲羅の血の原点だって!面白いことを言うねえ」

 「むしろ変なことでは?」

 「玲羅、良いのよ。母さんは昔からこんな感じだし」

 「それはそうなのだが……こんなに波長が合うことあるか?」

 「あら、自分の祖母に嫉妬してるの?」

 「ば、バカを言うな!翔一は私しか異性として見てない!……はずだ」

 「そこは自身なくさないでよ。俺の評価低く感じちゃうじゃん。大丈夫。これからも玲羅以外を女としてみるつもりはないから」

 「翔一……」


 こういう風にイチャっとした雰囲気は出すが、あくまで行儀の悪いことはしない。

 そういうことは食べ終わってからだ。


 俺は次々に出されていたものを食べ、しばらくするとすべての食べ物を完食した。


 「ふぅ……ごちそうさま」

 「お粗末様。にしても本当にイケメンねえ。なんでうちの孫も選んだの?」

 「なんで選んだの、ですか……」


 朝食を終えると、まじまじと俺の顔を見たおばあさんがそう聞いてきた。

 玲羅を選んだ理由。本気ほれたから以外に特に理由がないんだよなあ。それでいいのかな?


 「俺が本気で惚れたからですね」

 「なんで惚れたんだい?」

 「なんで―――玲羅、愛してる」

 「ふぇ!?き、急になんだ!?」

 「ね?」

 「そうねえ」

 「な、なにが分かったって言うんだ!」


 俺が玲羅を辱めて、その表情を見せると彼女の祖母は納得してくれたみたいだ。今更だが、この人は俺と気が合うみたいだ。

 玲羅をいじくって楽しむタイプの変態だ。


 「なあなにがわかったんだ?本当に気になるんだが……」

 「恥ずかしがったときの玲羅の表情が愛くるしいところが好き、ってお互いに理解したんだよ」

 「お、お前ってやつは……なんてはずかしいことを」

 「そうそうそう!その顔だよ!その顔がすっごい可愛いの!」

 「クソっ、翔一の掌の上で踊らせている……」


 そう言うと玲羅は、ツンとむこうを向いてしまう。

 ああ……神よ……


 「なんで手を合わせている?」

 「ああ、女神が帰還なされた……」

 「なにを馬鹿なこと言ってるんだ。ほら、こっちにこい」


 そう言うと玲羅は、俺を先ほどの寝室に引っ張っていく。


 そして、到着して俺を布団に放り投げて、上に押し倒す姿勢で乗っかってきた。


 「翔一―――私はお前に好かれること。愛してると言われること。正直、なにをされても嬉しいと思うようになってしまった」

 「え?変態カミングアウト?」

 「違うっ!―――私は、さっきみたいな表情もなにもかも翔一さえ知っていればいい」

 「……何が言いたいのさ?」

 「だから、私を独り占めしてくれ。恥ずかしがる表情すら翔一だけのものにしてくれ。そうすれば、私はもっと幸せになれる。そして、翔一をもっと幸せにできる。だから―――」

 「無理」

 「……へ?」

 「だから無理。俺はみんなに見せつけたいの。玲羅は俺のものだって。ほかの誰もが、あいつだったら玲羅のことを奪えない。そう感じるくらいに見せつけるようにイチャイチャしたい。だって玲羅を愛してるから」

 「く……ダメか。私もそれがいいと思ってしまうから……」

 「フハハ!玲羅はもう俺のことが大好きで大好きでたまらない。俺の言うことなら一緒にしたいと思っちゃうお犬さん気質になっちゃんたんだよ」

 「な、なんてことを……」

 「でも俺は、玲羅に死ぬほど甘えたい―――猫じゃねえな。えーと、ずっと甘えてる……」

 「締まらないなあ……」


 まあ、俺は玲羅が大好き!愛してる!

 それでいいじゃんか。両想いなら

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