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少年アラキは死を運ぶ  作者: 久方優那
第一章 ファーストステップ
3/6

一日目-1 自己分析

「って、いつの間にか着替えちゃってるじゃん」


 ふと気がついた。

 先ほどバスにいた時まで制服だったはずなのに、今は白基調のプレートアーマーを身につけた格好になっている。

 腰には片手剣のような長物があり、軽装備な格好ということは僕はアナウンスが言うところのこのゲームで前衛職になったということだろうか。


 ゲームならステイタスが定番だよな。

 とか考えてたら消えたと思ったはずのパネルが姿を見せる。


「出てくるんかい」


 思わず僕も関西人の顔が出てしまう。どうやら任意で呼び出せるみたいだ。





[あなたのステイタスを表示します]


【魔法剣士】新城才琉 LV.1

 筋力:0 耐久:0 敏捷:0 理力:0 器用:0

―性能評価【F】

スキル

 EX〈■■〉

 A〈魔装〉 C〈剣術〉 C〈魔術〉


▼魔法剣士……あなたの職業です。職業スキル〈魔装〉〈剣術〉〈魔術〉。筋力、理力、器用が成長しやすいです。




「全部0って……まさか僕だけじゃないよな?」


 なかなか不安になる性能評価の【F】の文字が若干目を引くが、それは一旦置いておき、どうやら各項目をひとつづつ調べることができるみたいだ。


▼新城才琉……あなたの名前です。

▼LV……経験値を貯めることで上昇します。LV.10に到達することで新しい職業を獲得することができます。

▼筋力……能動的行動に補正されます。

▼耐久……身体的損傷に補正されます。

▼敏捷……移動速度が補正されます。

▼理力……魔法威力が補正されます。

▼器用……筋力、耐久、敏捷、理力、その他の補正を制御する力。完全な制御には各補正値と同じだけの補正値が必要です。

▼性能評価……現在のレベルに則した補正値の合計数を評価します。【A】から【F】まで存在しています。【F】は最低評価です。

▼スキル……職業、LV上昇などで獲得できる技のことです。

▼〈魔装〉……装備に魔法効果を付与することができます。

▼〈剣術〉……剣を使った発展スキルを使用するために必要なスキルです。

▼〈魔術〉……魔術を使用するために必要なスキルです。魔法陣がなければ発動することはできません。


 見ている限りだと特にこれといって予想が外れてはいなかった。HPやMPなど、明確な数値化されていないものがあることがどうにも不安で、ひとつの目安にできないことが残念だ。


 ともあれ、ロールは把握した。成長補正がどれだけあるのかは知らないが、要するに僕は攻撃特化の近・中距離型、器用が育つということは暴走の心配がない安定したタイプなんだろう。

 できれば安全な長距離からちまちまと攻撃するタイプが良かったが、初期の近接職が強いのはある種お約束なので悲観はしないでおこう。

 このゲームで職業ものということは、まず間違いなく外れが存在するので、当たりの部類だと考えるべきだ。


「スキルも大体把握した。けどEXのこいつだけなんで文字化けしてるんだ? 僕は把握できるけど……漏洩対策か?」


 この手の情報は特殊な能力を持った相手に筒抜けになってしまうことがお約束である。

 おそらく与えられた異能というのはこれのことで、自分がちゃんと理解できるならそれでいい。


「〈魔術〉ってのが謎なんだよな……魔法陣とか適当に書いたやつじゃダメっぽいし。関係してくる〈魔装〉まで死にスキルになるのはどうにかしなきゃだよな……」


 投影されたパネル――ステイタス画面を消して、早速剣を抜く。


「……これで、人も殺せちゃうんだよなぁ」


 初めて握る得物は、体育の授業で握ったバットより遥かに重たかった。加えて、命を奪う重みみたいなものも持たされているようで少し憂鬱だ。


 ……そういえば装備についてはまだ見てなかったな。




[あなたの装備を表示します]


武具

▼術理剣グラド LV.1……筋力×1.5。理力×1.5。この武具は魔法すら断ち斬る剣です。斬った対象の数だけ成長します。


防具

▼魔鉱石チェストプレート……耐久×2。敏捷×0.8。この防具はあらゆる攻撃から装着者の身を守ります。

▼白狼の皮ブーツ……耐久×1.5。敏捷×2。この防具は軽く丈夫で装着者に新しい速さを提供します。


アイテム

▼青の林檎……体力・魔力・損傷を全快させ満腹感を得られる林檎です。

▼身代わり木馬……瀕死・即死のダメージを一度だけ無効にします。使用後、木馬は壊れ使えなくなります。




「え、なにこのアイテム……武具とか防具の補正は元の能力が0だから反応しづらいけど、ぶっ壊れだろこんなの」


 食糧としても回復アイテムとしても使える林檎に、一回限りとはいえ即死回避の木馬。

 一体どこにあるのかと思えば剣の鞘とは反対側の腰にポーチがあって、その中にちゃんと治っていた。

 ポーチは三つの仕切りがあって、四つまでアイテムを入れることができるようだ。

 アイテムは自動で収縮されるらしく、取り出したら葡萄の粒ほどだった青の林檎が、等身大の林檎ほどに大きさを変えているのはステイタス画面に次いで僕が触れたファンタジー要素である。



 それにしても、食料については確かに考えなくてはならなかった。三日生き残るくらい飲まず食わずでも大丈夫だろうがいざという時、飢餓に襲われて動けないなんて事なりたくないし、何より修行みたいな苦行を味わいたくない。安全な寝床も欲しいところだ。


 今は森だが、建築物があるのかどうかで今後の方針も変わってくるような気がする。


「何はともあれ、探索からだな」


 ぶん、と剣を振る。狙ったところでピタッと止まれる腕力がないけど、力任せに振る分には困らない。

 一撃で倒せる相手ならともかく、細々とした攻撃や防御とかで全く使い熟せそうにないのが困り物だし、できれば早々に交換(・・)したいところである。



 僕はこうして森の中を進んだ。

 このサバイバルがゲームと明言されるように、どうにもRPGゲームみたいなシステムが適用されているみたいである。


 もしかしたらプレイヤーというのは、現実でこのシステムの第一人者としてアドバンテージを取れる人間のことだったり……なんて今は考えても意味のないことか。




読了ありがとうございます!


面白かったらブクマ評価、感想などいただけると嬉しいです。

推敲しない人間なので誤字脱字や表現の間違いなど見つけましたら下の方にある誤字脱字報告からよろしくお願いします。



次回更新 2022/08/26 19時予定

ストックができれば予定より早めの投稿になります。

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