表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

キャラミ・ストライキ珍道中

(注)この小説は、事実に少しフィクションを混ぜたものです。読者の方々のご理解を、お願い致します。



1982年1月21日、所は南アフリカ、キャラミ・サーキット近くのホテルである。                                  


そのホテルの一室に、フェラーリのピローニ、リジェのラフィー、マクラーレンのラウダらが集まり、何やら話をしている。



「では・・・やるか?」


「おう!」


「やるとも!」

        ・

「確かに、最近の奴のやり口には我慢ならん」


「上層部の暴走を止めるのだ!」


「よし、決まりだ!明日の7時に、みんなを集めるんだ。そこで、発表をする。抜かりなく行くぞ。」


「では、今回のストライキの成功を目指して、乾杯だ!」



ストライキ?なにやら物騒なことになりそうだ。ちなみに、「奴」というのはバーニー・エクレストン、F1界のボスである。

かなりのやり手であるが、強引なやり口のため、敵も多い。


ともあれ、82年のF1シーズンは、この一件で幕を開けることになる。



翌朝・・・


ドライバーたちは、一様にホテルの大広間に集合した。


「こんな朝っぱらから、何の話だよ。」


「どうせ、ミーティングだろ。」


「でも、何もこんな早くにやらなくても・・・」



ドライバーたちが雑談をしていると、GPDA会長・ピローニがやってきた。


「えー、みなさん。今回ここに集まってもらったのは、ミーティングのためではありません。ストライキの会議のためです!」


「なんだって!」 「ストライキィー!?」 


「そうです。理由は、我々ドライバーに対する弾圧と、上層部の不正に対する抗議です。」


「すんませーん、イマイチピンと来ないんですが。」


「つまり、上層部が、私たちに対して力で押さえつける、言わば独裁政治を行っている手段をとっていること、そして、この事について不満を言った者はレース資格を奪うという暴政に対しての抵抗ということだ」


「そいつはひでーな。じゃあ、俺もその話、乗らせてもらうわ。」


口を開いたのはネルソン・ピケ。奔放な性格で、たびたび他のドライバーにたいして「口撃」を行っている。

実は彼は、先のシーズンのチャンピオンであり、先ほど話したバーニー・エクレストンのチーム・ブラバムでエントリーしているが、ピケも彼のやり口に

疑念を持っている者の一人であった。



「ありがとう、ネルソン。では、ストライキに賛同の人、挙手!」


実に、20数人程が手を挙げた。


「では、ここをストライキの本部とします。何か動きがあった場合は、すぐに言いに来るように」 


「ヘーイ。わかりました。」 「それでは、後でもう一回賛同メンバーの確認を行いますので、ニキ(ラウダ)の部屋に来るように。時刻は・・15時30分です。」


「オッケー、15時30分だな。しかし、ワクワクするな。俺たちでストライキだなんて」


「遊んでるんじゃないんだぞ。これは、俺たちの自由を賭けた、バーニー達との駆け引きなんだ。」


「駆け引き」とはいえ、ドライバー一同には、まだ旅行に行く前のような、少し浮かれた気分が漂っていた。


ドライバー達は、とりあえず今日は休日ということになる。バレないように変装して、外に食べ物を買いに行く者や、

暇な者は親しいドライバーを訪ねて、雑談をしたり。


ところでピケの部屋では、もし今日の予選が通常通り行われていたならば、誰がポールを取ったか予想するということもやっていた。


「ところでさあ、普通に予選がやってたら、誰がポールとってたかなあ」  


「ルネ(アルヌー)じゃない?あいつぁ速いし、ルノーターボも良いし、ここは高速サーキットだし」


「いや、俺はブラバムのどっちかだと思ったけど。リカルド(パトレーゼ)はアロウズでポール取ったし、ネルソンもいいドライバーだし」


「このお、照れるじゃないかぁー」 「そういうネルソンは、誰が取ると思ってたの?」 


「やっぱ、俺!って言うのはおいといて、俺はアラン(プロスト)だと思うけどなあ。凄く速いし、凄く成長してるし」


そこへ、また一人ドライバーがやってきた。フェラーリのジル・ヴィルヌーヴである。


「何だあ、興味があったから聞いてみれば、俺の名前が一向に挙がらないじゃないか」


ヴィルヌーヴは少しガッカリした表情で言った。


「何だよ、立ち聞きしてたのか。仕方ないだろ。あのへぼマシンから1年しかないのに、とてもポールを争えるほどに良くなってるとは思えない」


「まあ、そうだけど・・・」


「それに、万一ポールだったとしても、レースではたいていポシャらすだろ!」


「何だって〜〜!」ヴィルヌーヴは怒って、ピケを追っかけまわした。



何か気楽な雰囲気が漂う中、いよいよストライキが幕を開けた。


果たして、結果はいかに・・・





F1小説4作目になります。「hevens’formula1」よりは

短編です。それでは、これからも頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ