表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/12

裸エプロンしてても包丁持ってたら台無しな気がします

裸エプロンしてても包丁持ってたら台無しな気がします(by次女)



 がちゃり、と光がドアを開けたとき、そこにいたのは最愛の妹である闇夜だった。

その姿は制服にエプロンと普通だった。が、


「………………………………」


 光は口をパクパクさせながらソレを指差す。

指された先は闇夜が手に持っている包丁。

そりゃ包丁持って移動するのはあれですが、エプロンを見れば、まぁ仕方ないか、という念にもなるものです。

が、闇夜の持っている包丁の先には赤い液体のようなものがついていた。

詳しく言うならば、少し赤黒くなってきており、乾いてきたのか垂れてきてる感もない。が、どうみても果汁には見えない。果汁のような水気さはないのだ。


「? ……あぁ、コレですか。大丈夫ですよ、辛うじて生かしてはいますから」


 闇夜は冷めた声で言うと、ニコッと笑った。

そう、ニコッと笑ったのだ。いつも無表情の闇夜が笑うときは、楽しい、嬉しい、幸せ、という概念の真逆のことが起きた時なのだ。しいての言うなれば『安心しろ、そんなにヤベェことにはなってねぇから』と言っているようなものである。


「生かしてって…………だ、誰を………………?」


 そういうと闇夜はさらにニコッと笑った。


「私だって身内を、しかも数少ない姉妹を殺すなんて酷いことはしません。ただ……人間ってキレる時くらいあるでしょう?」


 さり気なく、包丁を構えて言う闇夜に、光はどんどん青ざめていく。

 ヤバイ。マジ、ヤバイ。俺もしかして口封じに殺されちゃう? いやでも身内……あれ、数少ない姉妹って、俺いない感じ? ってことは…………?!


「大丈夫、今日もちゃんと美味しく作り上げますから」


 闇夜がニコッと、さきほどのとは比べ物にはならないくらい笑って言う。

 これは命の危機――――――――!?

と、光が思ったとき、


「やぁちゃんー? 何しゃべってるのー? お姉ちゃんお腹空いちゃったよー?」


 と、奥の部屋から暢気な声が聞こえてきた。


「あ、ごめんなさい姉さん。今日は姉さんの大好物の鴨鍋ですから、期待しててください」


 申し訳なさそうに奥にいる人間に謝ると、闇夜はパタパタとキッチンへと移動する。


「……………………………………え?」


 あれ、いるじゃん。生きてるっていうか元気じゃん。ってかやぁちゃんってものすごく仲いい証拠じゃん。俺だってやぁちゃんって言いたいよ。せーの、やぁちゃ――――ん!! って、そうじゃないそうじゃない。つまり、あれは……


「ちょっとした冗談ですよ。真に受けるとは思ってませんでしたけど」


 キッチンの方を覗くと、闇夜が2羽の鴨をさばいているところだった。もちろん、さばいている包丁には当然のように血がついている。


「というより、半分真実ですよ。この2羽は姉妹鳥ですし。ただやりにくくて、キレちゃったんですよ。姉さんが。で、今は落ち着かせるためにテレビを見させてます」


 つまり……


「? ……あぁ、コレですか。大丈夫ですよ、辛うじて生かしてはいますから」(この辺は嘘)


「生かしてって…………だ、誰を………………?」


「私だって身内を、しかも数少ない姉妹を殺すなんて酷いことはしません。ただ……人間ってキレる時くらいあるでしょう?」(この辺は事実。言葉か足りてないだけ)


「大丈夫、今日もちゃんと美味しく作り上げますから」(この辺はものすごく事実を言ってるだけ)


 ……という、ただたんに光が早とちりしてただけですね。……え? 私はしてませんよ? ええ、もちろんですとも。………………ええ、してませんよ?


「俺、着替えてくる」


 光はおぼつかない足取りで自室へと戻っていく。

その数十分後には、綺麗な食卓となって鴨鍋が出てくるのだが――――――光はそれ以来鴨鍋を嫌いになったそうな?


裸エプロン……本当にやる人がいるのでしょうか。

でもやったとしても包丁持ってるとなんか怖くありません?

『フフッ、今日はあなたが主菜よ』

って言われてるようで。

もちろん作者の妄想ですが。。。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ