保健室って結局のところどーゆう場所なんだろーね
注意、今回は光視点のうえ、真白や闇夜は出てきません。ほぼ番外編と言っても過言ではないです。
保健室って結局のところどーゆう場所なんだろーね(by長女)
※長男視点
なんだかよくわからないけど、気がついたら保健室(または病院でも可)のベッドの上で、「あ、気が付かれたんですね」なーんてものすごく優しい声で言われて、はっきりしてなかった意識がそこではっきりしだして、「アンタ誰!?」みたいな反応であとずさるって感じの展開って小説とか、漫画とかドラマとかであるけど、一応コレも小説だけど、今この世界の掟を思いっきり破ってる自覚あるけど、でもこれはないと思うんだよねー。
「…………………………」
はい、そろそろ自己紹介します。俺、暦光。15歳。男です。ただいま保健室のベッドの上です。で、俺が男なら相場は決まって女のはずですよね。
俺は得体の知れないものを見る目で、ソレを見る。
「すー……すー……」
そこには椅子に座ってコックリコックリしながら寝ている……男。しかも俺とタメか一個下くらい。
「いや、別に漫画的な展開を期待してたわけじゃねぇよ? 俺には最愛の……ゴホンゴホン……がいるわけだから、どっちかっていうとアイツがいた方が嬉しかったって言うか、アイツの方が良かったんだけど……」
いや、この小説に正規の展開を求めちゃいけないんだよ。うん、そうだよ。でもさ、だったらここにいるのは男で、しかもソイツはわざわざ俺が起きるまで待っててくれてるわけ? 俺コイツ知らないんだけど、実はどっかで会ったことあったっけ?
「いや、ナイナイ。ってか会ったら覚えてるだろ」
首を振り、手も振って否定。
俺は椅子に座って寝てやがる男の顔を見る。男というより男子と言った方がいい顔つき。どっからどうみても美少年ってヤツだ。推測では背は俺のが少しでかいくらいか? ちなみに俺の身長は156cmと微妙。中3だったら小さい部類に入るよなー。……とと、話がずれた。で、背も顔つきも、どっからどうみても中坊ですって感じだけど、実はコイツ週間少年『マガ●゛ン』掲載の『シ●゛トラ』の主人公みたいな設定でもあったりするのか?
「いや、この小説にそんな面倒クサイ設定はナイナイ」
またも同じ動作で否定をする。あ、もしかして先生に「おー調度よかった。先生今から会議なんだよー。だからコイツが目覚めるまでちょっと見ててくんね?」みたいなことがあったり? いやいや、それはないだろ。
と、またもや同じ動作をしようとしたその時、
「ん……? あ、気が付かれたんですね」
うわぁ……、ここに来てその展開ー? しかも気が付かれたんですねって明らかに僕が助けました感が出てるよね?
「あ、うん……えっと、ありがとう? でいいのかな?」
しどろもどろに言う。あれ、俺ってこんなキャラだっけ?
「あ、いえお礼なんてされることしてません。僕はただ先生に『おー調度よかった。先生今から会議なんだよー。だからコイツが目覚めるまでちょっと見ててくんね?』って言われて、ずっといただけですし……しかも寝ちゃってたし」
「…………あ、そうなんだ」
なんていうかさ、さきほどまでの俺のあの悩みはなんだったのかな? 結局俺が一番最後にありえねーって否定した考えが当たってんじゃねぇか。何、俺のあの悩みはなに、なんだったの、なんか俺マジ悲しいじゃん。美少年だとか背があーだとかこーだとか言っちゃってさー……
「あ、あの…………?」
いきなり黙り込んでどんどん暗くなっていく俺に、ソイツは恐る恐る声を掛けてきた。
「あぁいやなんでもない。悪いことしたな、俺のせいで無駄に時間潰しちまったろ?」
ものすごく優しく、且つなんかチラホラと威厳が見えるキャラモードON。
「え、あっいえ。そんなことはないです……ハイ」
俺のその態度の急変に、戸惑いつつも恐縮する男子A。
「そうか、それならよかった。でもこれ以上引き止めるわけにはいかないからな。今日はわざわざありがとう。お礼をしたいんだが、今日はもう遅いからな、また縁が合ったらお礼をするよ」
ただいま季節は秋ぐらいだが、外はもう真っ暗闇である。
フッ、この際キャラがどーのこーの気にしねぇ。どーせ、結局俺はいいギャクキャラなんだ。だったらこんなことなんてことねぇ。
俺は男子Aと共に保健室を出て、門まで一緒に歩いていく。
「そうだ、名前は……いや聞かないでおこう。またいつか会ったときに教えてくれ。そのときにお礼もしよう」
俺はそう言って男子Aと半強制的に別れた。
ここで、いつもの俺にチェンジ。しばらく歩いて、男子Aが見えなくなったところで思い切り叫んだ。
「あ〜! 何なんだアレ! 気にしねぇとか言ったけど、無理だろ! なんだあのキャラ! あれじゃあまるでいつ何時でも頼れる先輩じゃねぇか! ギャクキャラでもアレはねぇよ! ってか俺はギャクキャラなんかになりたくね―――――!!」
と叫んだところで気がつく。
「あれ、そう言えばなんで別れたんだ? 中等部なら同じ方向のはず……」
学園の寮の建物はそれぞれで数が違ったりするが、方向は同じだから、一緒に帰ってきてるはず。が、現にアイツは真っ直ぐ寮に帰るとか言って別れた。しかもあの方向は……!
「高等部の人間…………!?」
初等部は全然違う位置にあるが、中等部と高等部は境目が曖昧である。
「そういえば……」
さきほど下駄箱へ靴取り行くとき……
『アレ、なんか忘れ物でもしたんですか?』
『? う、ん。まぁ……?』
なんてことがあった。
「マジかよ!? 俺年上相手に年上態度とってたのかよ!? チョー恥ずかしいじゃねぇか! いや、待てよ? アイツ俺のこと中等部の人間って気付いてなかったっぽかったな……」
ってことは、セーフ? マジでセーフ?!
「…………よっしゃぁ〜! 俺超安泰じゃん! いや〜よかったよかった〜!」
俺はそう叫ぶとダッシュで寮へと戻っていった。
いや〜、よかったよかった。どうせ高等部の人間なら会わないだろうしなっ! これで万事解決!
そう、俺は知らなかったのだ、あの男子Aが帰り際に「……カッコよかったなぁ」なんて呟いていたことを………………。
保健室……やっぱ漫画や小説だと只ならぬ場所って感じですけど、実際は先生が厳しい場所だと思うんですよ。あくまで田舎の学校の場合ですけど。
あ、ちょこっと『マガ●゛ン』様を出させていただきました。でも私が愛読してるのは『ジャ●プ』様です。『マ●゛ジン』様もちょこっと読ませていただくときもありますが。