綾取りってやっぱり女々しいよね……
綾取りってやっぱり女々しいよね……(by長男)
「ふぁ……あ〜…………」
翌日。3人は同じタイミングで欠伸をした。
昨日はあれから反省会やら自慢話やらで、寝たのは午前4時を回ったくらい。そのうえ6時起きなので2時間しか寝ていないことになる。
「あー、眠い。やっぱ今日くらい遅刻しても良かったんじゃねー?」
涙を浮かべながらそう言うのは光。彼は結構時間にルーズな人間です。
「駄目ですよ。眠いのは認めますけど、私には抑えられる自信がありません」
闇夜の言葉に光は俺も無理だろーなーという顔をして、真白の方をチラ見する。
真白も眠たそうな顔で目じりには涙が見える。
「んー……やっぱり2時間睡眠じゃ足りないよねー」
そう言う真白はん〜と伸びをする。それを見て2人は小さくため息をつく。
実は真白、意外にも時間には正確な人間である。というより時間にもの凄く厳しい人間といった方が正しい。真白はなんだかんだ言って時間を守り、尚且つ2人がちょっと遅れてもいいんじゃないかな? なんて言った日には真白の渇をくらうことになる。
「なぁ〜にたるんだ事言ってんだー!! 時間を守れない人間は人間関係を保てない人間なんだぞ! お前(等)はそんな大人になってもいいのかー! よくないだろー!」
ってな感じで。ものすごくキャラが変わったというより、もう別の人になってね? って感じですよね。
まぁそんな感じなので、2人は眠い目をこすりながらこうやって登校中なわけです。
「おはよ〜! っておよ? なんか眠たそうだねー?」
朝からどんなハイテンション? な人、雄陽が三つ子に声をかけてきた。いや、見るからに3人とも眠そうでしょーが。
「いや、2時間しか寝てねーんだわ」
「あー、なるほど〜。それって昨日実行したってこと?」
光はうん、そう、と頷く。説明します。昨日の計画、実は闇夜が雄陽とお茶してきたときに仕入れた情報を元に実行しました。もちろん、計画なんかも闇夜が考えたんですけどね。
「で、寝不足ってことは成功したってことでいいのかな?」
「うん、一応はなー。でも俺綾取りしてただけなんだよ……」
と、眠い状態から一気にブルー状態に移動する光。まぁ確かに光は綾取りしてましたけど、本当はそれだけじゃないんです。光は綾取りをやるふりして、張り巡らしている糸を動かしてたんですよ?
「綾取りって、綾取りって…………めちゃくちゃ女々しくね? 大体、あんな時間に外灯にあたって綾取りする少年ってどんなだよ。想像できねぇっつの」
じゃああの台詞は演技だったってことでしょうか。まぁヤケにカッコつけてやがりましたから、そうなんでしょうね。
「じゃあ私の計画嫌だったってこと?」
闇夜のその冷たい声に、光はビクッと反応する。
「いやいやいやいやいやいやいやいや? だれもそんなことは言ってませんよ? ただ、何でアイツは怪しまなかったのかなー? と思っただけでして…………だから、別に闇夜のこと嫌ったわけじゃないからね!? ってゆーかむしろおにーちゃんはお前のことがぐはぁ!」
途中から変態と化した光の顔面に、闇夜の拳が炸裂した。普通の女子がやることではないんですけど、闇夜の場合、この学校に通っているがために、拳には多少の殺傷能力がつきます。まぁでも白目ですけど魂が口から出てる程度なんで大丈夫でしょうね。
「はぁ……相手にした私が馬鹿でした。姉さん、先に行きましょうか。このままだと遅れちゃいますし」
「へ? あ、ホントだ! じゃーね雄陽くん!」
「ばいばーい」
真白と闇夜は急いで下駄箱へ、雄陽は手を振りながら自分が行く校舎へと走っていく。
魂が半分抜けた状態の光が見つかったのはお昼過ぎでした。
っていうか綾取り自体結構古臭い感じでしょうか。
私は姉がやってるの見たことありますけど、実際にやってみたのは2,3回ほどです。
しかも途中でこんがらがって諦めちゃうんです。