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本気でやると失敗するのに、適当にやると結構上手くいくのって私だけ?

 本気でやると失敗するのに、適当にやると結構上手くいくのって私だけ?(by作者)



 時は夜。そろそろ日付が変わるだろうと思われる時刻。


そんな時間に少年がポツンと立っていた。制服を着てニット帽を被った少年が。

立っている場所は人気が少ない道で、車でやろうと思えば通れるけど……といった具合の道幅である。

そんな道で電灯にわざわざ当たるように少年は立っていた。綾取りをしながら。

そんな少年を狙うように少年の背を狙う影がゆらぁりと動いた。


「えっと、ここを……こう……やって、それで次は……んと…………よし、できた」


 少年は綾取りに夢中なのか、近づいている影に気付いていないようだった。


「それで次は……アレ?! ヤベ、ミスッた」


 少年はいきなり大きな声を出すと、綺麗に出来ていたいた綾取りをバラす。

直後、少年に近づいていた影の動きが止まった。

少年に見つかるかと思ったのでも、何かを感知したわけでもない。動きを止められた(・・・・・・・・)のだった。


「!?」


 今まで感じた事のないソレに影は驚く。が、直後にしまった、気付かれたか? と思い少年の方を見る。


「初めはこうだったよなー? で、こうで……こうで……」


 が、少年はよほど夢中になっているのかそれに気づかない。

 影はさきほどの感触がないことに気付くと、再度少年に近づく。


「アレ……またミスッた。どこミスッたんだろ……もう1回」


 少年はため息を吐きながら綾取りをまたバラす。すると、またも影の体は不思議な感触とともに動かなくなる。

影は驚いたものの、さきほどのように軽く取り乱すことはなかった。


「これは上手くっていってて……ココもOKだろ…………んーと? ……あ、わかった!」


 少年はさきほどより一際大きい、歓喜の声を出す。さすがに影も驚いて動きが止まる。

 が、少年は出来た事でより夢中になったのか、そんな影に気付かない。

影はもう少しで届くと思い、ゆっくり体を動かそうとする。


「!?」


 が、体はまたも動かない。


 さきほどの奇妙な感触はないのに――――!


 影はそう思い体を動かそうとするが、体は空間に固定されたかのように動かない。動かそうとすると、キリ……と音がする。

 何だ? と影がそれを見ると、腕に細い(ワイヤー)のようなものが巻きついていた。

こんなモノがいつの間に……と思った直後、影の脳裏にある1つの光景が蘇る。

自分の師に値する人物が言っていた。『あらゆる糸を操る技術者がいる』と。

影はその人物を探そうとするが首も動かない。首はある方向に固定されていた。

そう、それは少年がいる方向。


まさか…………!


影が思った直後、ソレは的中した。


「さっきからさー、なんで綾取り上手くいかないのかなー? って思ってたんだよ。だってここには俺が以外いないはずだろ? だから自由に綾取りできるはずなのにさー」


 少年はゆっくり、語りかけるような口調で話す。


「なのに、2回もミスッたんだぜー? それってつまり……」


 少年は首を動かして影の方を向く。その顔は笑っていた。まるで、間違いをみつけて喜ぶ子供のように。


「俺が以外の人間がいるってことだろ?」


 影は後悔した。こんな時間に、こんな場所で、綾取りなんかしてる少年がどこにいるんだ―――――と。


「いやいや? 現に、こんな時間に、こんな場所で、綾取りなんかしてる少年、ここにいるだろ?」


 もちろん、と少年は付け足す。


「普通の少年なわけねーけど」


 それが聞こえた瞬間、ぐさっ、と影に何かが突き刺さる音がした。

見ると、影の胸を大きなナイフが貫通していた。


「あんたでしょ? 自分の師を殺して尚、無差別に少年殺してるっていうの」


 影の胸を貫通したナイフの持ち主――――真白が姿を現した。


「ごまかしたって無駄だよ? 我等が可愛い妹の情報に、間違いはないんだから」


「いやいや、真白。コイツもう死んでるから。聞いたって無駄だから」


 綾取りをしていた少年もとい、光は呆れた顔で真白に言う。


「えー? だって、久しぶりにカッコよく殺せたんだよ? 最後までカッコよく決めたいじゃん!」


 そう思うんだったら毎回カッコよく決めりゃいいだけだろ、なんて思うけど言わない。

だって言ったら屁理屈で返されるのを知っているから。


「光、そろそろ糸解いてください。私に死んでと言ってるのなら別にいいですけど」


 冷たいその声を聞いた瞬間、光の態度が一転する。


「ごめんごめん。忘れてたよー。でも、闇夜のこと嫌いになったわけじゃないし、死んでなんてもってのほか! そんなこと思うわけないだろー?」


 何この甘ったるいの。さっきの態度と一変、変態になってんじゃん。

という文句は受け付けませんのでご了承ください。


「はいはい、そうでしたね」


 闇夜は暗闇から姿を現すと、ため息を吐きながら片付け作業を始めた。


「で、姉さん。満足のいく殺戮、出来ました?」


「うん! それはもちろん! いやーやっぱ決まるといいねー!」


 真白は満足気な笑みを浮かべて言う。

ぶっちゃけ、今回上手くいったのは3人別々になるのが嫌という感情でどうにかなったものではなく、光の糸のおかげである。

光の操る糸は、光を中心に半径10mくらいの範囲に張り巡らされており、中心である光に近づけば近づくほど糸と糸の幅は狭くなる。

そして光が影を動かさないようにするために少しずつ糸を動かせば、それに伴いして全ての糸が動く。

そして今回使った糸は初めにいっていたゴムで覆われたものではなく、ものすごく細く人の皮膚どころか体だって切断できるような糸であった。

そのために糸をよけることに集中すれば、焦って転ぶことなんてなくなるのである。


「いやー酷いよね。初めはゴム厚のヤツ使うって言ってたのにさー」


「だってそう言うとお前安心して転ぶだろうと思って。危機感持ったほうが成功しやすいだろ」


 またも打って変わった態度で真白に言う光。闇夜もそう思ったのか反論はしない。


「まぁでも成功したからいいじゃないですか、姉さん。久しぶりにカッコよく決めれて幸せなんでしょう」


 思いっきり馬鹿にしてるようですが、本人いたって真面目です。そしてまたその相手もそのことに気付かず馬鹿丁寧にうん! と返します。どうでしょう、アホにしか見えないのは私だけでしょうか。


「じゃ、帰りますか。はい、姉さん。ナイフお返しします。光、回収できましたよね」


「もちろん! そんなミスするわけないだろ〜!」


 光は上機嫌で返すものの、闇夜は無視して真白と歩き出す。聞いといてそれはないだろ……と思うかもしれませんけど、私は闇夜の気持ちがわかるきがするので、あえて言いません。


「あ、待てよ! 置いてくなよ〜!」


 情けない声を出して、光は2人に追いつく。

本当にコイツが2人を引っ張ってるのか? という質問は今回ばかりはお見逃し下さると嬉しいです。

by作者って書いてあるだけあって、本当に私、適当にやると結構上手くいくんですよね。

それがまたムカツクんですよ。

こっちは真剣だっていうのにコノヤローなノリで。

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