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帰り道って寄り道したくなりません?

帰り道って寄り道したくなりません?(by次女)



 あれから2人は光に追いつくと、3人仲良く校舎から出た。


「――――で、本当に出来るんですか?」


「へっ?」


 闇夜の言葉に、光は間の抜けた声を出す。


「先生はなんとか誤魔化せましたけど、本当に出来るんですか? っていうか『闇夜のため』ってなんなんですか、真面目に気持ち悪いですよ」


 実は演技だったらしいです。まぁ今までそうやってきたんでしょうね。あれ? ということは、前回の最後の部分も…………? なんていうことはないです。あの部分は事実ですから、ご安心を。


「いやいや、やろうと思えばやれるよー? っていうか、闇夜のためっていいうのは真面目に本心だったんだけどなー?」


 さっきとは打って変わって、甘ったるい声で言う光の姿は実に気味悪いです。これ絶対一線越えてるだろって感じですね。


「ま、単体になるのは前々から闇夜に聞いてたけどねー」


 そう、闇夜はそれを聞いてすぐに真白と光に伝えたのだ。今まで3人で支えあってきたのにここまで来て隠し事はないよねー? というノリで。


「でもさ、光が私のフォロー出来るって言うのはわかるけど、それって私の腕切れないよね?」


 真白は光が腰につけているものを怪しげに見ながら言う。光の腰には何重にも束ねられた(ワイヤー)がいくつかついていた。


「大丈夫大丈夫。皮膚は切れない程度の糸使うからー」


 そう言って腰につけているうち1つの糸を取ると、真白に放り投げた。


「ふーん、これなら切れないかもね」


 それは厚いゴムで覆われている糸だった。しばらくソレを指で弄ぶと、真白は糸を光に返す。


「まぁ、ちょっと傷がつくかもしれないけど、その辺はお互いさまってことで」


 真白が返した糸を腰につけながら言う。


「おーい、三つ子〜!」


 3人がそんな会話をしながら歩いていると、誰かが声をかけてきた。3人そろってその方向を見ると、そこには見慣れた人物がこっちに向かってきている。


「なんだ、雄陽か。てっきり興味半分に声をかけてきたヤツかと思った」


「興味半分ってそんな命知らずなヤツいるのかよ」


 走ってきた人物もとい雄陽少年は、そう言う光に皮肉をこめて言う。彼は三つ子の数少ない友人であり、光の親友に値する人物だった。

 実戦では成績を残せない3人は、授業での課題や実戦練習では好成績を残しており、生徒の中でこの3人とやり合おうと気になる者は少ない。


「で? また怒られたんだ?」


 興味津々に言う雄陽に対して、光は態度を悪くする。


「怒られてなんかねーよっ。ちょっと遊びすぎただけだ!」


 いや、真面目に怒られたと思いますけどね。まぁ光が遊びすぎてたのも事実かもしれませんけど。


「ふーん、ま、どうでもいいけどな。それより、やーみっよちゃん」


「はい」


 光を軽く交わすと、闇夜に軽々と声をかける。


「これから暇? 良かったらちょっとお茶でもどう?」


 ナンパを開始する雄陽。しかも相手は闇夜です。真白ならともかく、闇夜ですよ? しかも光というの名の獣がいるというのに。


「私でよければ。ぶっちゃけこのまま寮に帰るだけだから暇ですし」


「よし、それじゃ行こっか!」


 雄陽は闇夜の手をとると、上機嫌で歩き出す。


「って、んなもん許すわけねーだろーが!! テメェ何闇夜の手握ってんだよ!」


 そう怒鳴る光に、雄陽は見せびらかすように手を絡ませるようにして握りなおした。


「べっつにー、友達だもんなー?」


「私はかまいませんけど……」


 ちょっと頬を赤らめて言う闇夜。確かに、これなら納得できる気がします。といっても一部にしか理解できない範囲だと思いますけど。


「それに、光は関係ないじゃないですか」


 その言葉に光は奈落の底まで突き落とされたかのように倒れた。

『関係ない』。この言葉が光の中で延々と繰り返される。

 そんな間に2人はどんどん離れていき、とうとう見えなくなった。


「ねーねー光ー。お前の気持ちもわからんこともないけど、さすがに実の妹っていうのは無いと思うんだー。はたから見ると気持ち悪いし」


 フォローになってない言葉言う真白。天然のフォローってきっと、フォローになってないんでしょうね。

 真白はぶつぶつ言い出した光を背負うようにすると、引きずりながら歩き出した。


「よし、今日は光と闇夜の代わりに私が晩御飯を作るからな! それで元気出せ!」


 もちろん、そんな声は届いておらず、なおかつお約束で真白の作るご飯というのはものすごく個性的なもの……つまり、ものすごく不味かったのだった。

 その夜、真白の殺人的な料理を食べてさらに悪化する光に対し、姉として立派な事が出来たとちょっと嬉しがっている真白に、結局雄陽と外で食べてきた闇夜。

なんだかものすごく光が可哀想に見えるのは気のせいですよね、きっと。

帰り道……私の地域には寄り道なんて大層なもの出来ませんね。

出来ないというか、そんなのやれる場所がないというか。

まぁ高校生になったら出来ますけど、本当にそんな田舎な場所なんですよ。

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