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定期テストは勉強するもんじゃないでしょ

定期テストは勉強するもんじゃないでしょ(by長女)



 バレンタイン明けの登校日。いつも通りに登校した三つ子と打って変わって、学校の雰囲気は異様なもので包まれていた。よくよく観察してみると、周りの生徒もいつもと違う気がする。


「……今日って、なんかあったっけ?」


 とりあえずこれがバレンタインがどーのこーのじゃないとわかってはいるので、長女は首をかしげて弟と妹に尋ねる。


「いや、なんにもないだろ。うん」


「でもなんにもなかったら、こんなことにはならないよね?」


 その言葉に、答えた光も頷く。そして三つ子はうーん、と考え込む。

 一年を通して皆がこんな雰囲気をまとうような事…………いつもとはちょっと違って……なんかどこか焦ってて……学校自身もそんな風になってしまうこと………………あ。

 長女が口を開けて気がついたとほぼ同時に、2人も気付いた。


「定期テストか!」


「ですね、きっと」


 そう、何故皆がこんなことになってしまっているか、答えは簡単、今日はテストがあるから。この学校に予定表なんてものは配られない(というかプリント全て配られることはない。何故ならそれで戦闘が始まって負傷者が出たから)が、寮の部屋にそれらしいものが届くのである。そこには小さいことから大きいことまで書かれているのだが、この三つ子は基本的に自分達がどうでもいいと思うことは頭に入れない主義なのだ。今言った言葉の意味がわかるだろうか?


「でも、定期テストってそんなに力いれる必要なくねー?」


 光が暢気な声で言うと、2人もコクコクと頷く。周囲から鋭い視線を受けてるなんて知らずに。

 そう、三つ子にとって定期テストなんて力を入れるようなものではないのだ。以前言ったように、3人の個別の能力は高い。それゆえに3人は定期テストだからと言って力む必要性がないのだ。しかものしかも、中等部の場合、クラス事によってテストのレベルが違うので、Cクラスに

所属してる3人にとっては受ける必要性もないかもしれない。いいですよね、そういうの。いっそのことテストの時だけAクラスに行きゃいいのに。


「はいはーい、そろそろ席着いてねー。てか着いててよねー。つか、着いてろよテメーラ」


 毒舌と共に教室に入ってきたのはCクラスの担任、壱李乃乃宮(ひとりののみや)。なんかメッチャ変な名前っていうか、名前が名字に見えちゃうのは気のせいです。こっちの世界じゃよくあることです。


「今日定期テストだけど皆準備してきたー? まぁ、してなくてもするけどなー? んじゃ早速始めたいと思うからまず体育館に移動ねー。ん? 体育館だからね? 先生、皆が『殺人現場』なんて呼んでるの知ってるけど、先生体育館って呼ぶからねー。てかこの学校じゃどこもかしこも『殺人現場』だっつーに」


 笑顔でさらりというこの先生。なかなかいい性格しておられます。ついで、何故体育館が『殺人現場』と呼ばれているかというと、体育館には血の跡と、明らかに殺りあっただろという跡、これ以上ないほどの破壊跡があるからです。いや直せばいいじゃんって話ですけど、なんかやりあってるごとに直してると経済的に危ないんで、ま、どうせなっちゃうんだからいいんじゃね? なノリでそのままにしてあるのです。そして先生が最後に言っていた言葉も事実だったりするのですが、さすがに校舎内くらいは綺麗にしとくかということで、殺人現場の跡はありません。でもこの学校じゃ、本当の意味で、どこもかしかも殺人現場です。


「んじゃ先生ちょこっと用意してから行くからー、その間に全員集まってねー。一人でも遅れてきたら連帯責任にしちゃうからー。じゃ、移動開始ー」


 手をひらひら振りながら出て行く先生の言葉の裏に『さっさとこねーと命の保障はねぇ』なんて意味があることは、もちろん皆知っているので、さっさと体育館に移動します。もちろん、三つ子も仲良くそろって。あの先生にはさすがに頭が上がらなさそうですね。

『定期テストは勉強するもんじゃないでしょ』か……。羨ましい話ですね。私はいつもギリギリなので死にもの狂いで勉強しますね。ところでお気づきかもしれませんけど、2話(?)ぐらいで登場した先生と、今回の先生は別の人です。顧問と担任はちょっと違うってヤツです。色々複雑なんです、多分。

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