第八十一話 告白
「私が居ない間に何が起こったのか?」
レナンジェスは自室でヒューイとドゥーイに訊ねる。
『ご主人様に依存していたアリス様とリムル様、ネイ様が暴走しまして…』
どうやらレナンジェスが消えた事で3人の少女は取り乱し、他に依存相手を求めたらしい。そこでW王子が優しく接するうちに3人はW王子に依存したみたいだ。
初めは拒んでいたW王子だが3人の少女の儚さと危うさに放って置けなくなったみたいだ。そして意識するうちに恋心が芽生えたとか。
「それにしても…心変わりが早すぎないか?」
『そういう意味ではチャールズ殿下もカイザル殿下もミーア様に恋という幻想を抱いていたのでしょう』
「つまり2人の男の間で迷っている内に他に取られたと」
『ご主人様含めて3人ですよ』
その言葉にレナンジェスは今までの行いを後悔する。もし、レナンジェスが関わり合わなければミーアには幸せな未来が待っていたのだ。それを壊したのはレナンジェスと言っても過言ではない気がした。
翌日、久しぶりにクラスに顔を出すレナンジェス。
「ママ…」
アリスがレナンジェスを見るなり声を掛けて来た。
「どうされましたか?」
「怒っている?」
心配そうに呟くアリス。
「いいえ、全ては皆さんの想いでしょう?怒る理由はありませんよ」
「そう…。それでね、もうレナンジェス殿に甘えるのは卒業しようと思って…。ミーア姉さまにも」
「そうですか。アリス様の道を歩み出したのですね。それは良い事だと思います」
「ありがとう。それからごめんなさい。今まで我儘ばかり言って」
「悪い気はしませんでしたよ。気にする必要はありませんよ」
レナンジェスの言葉にアリスは少し寂しそうな笑みを返してきた。
(男性不信であった彼女が歩みだしたのだ。私も歩まねばならないな)
レナンジェスはそう考えながら授業を受けた。
放課後、レナンジェスはミーアの部屋を訪れる。そこには1人で作業するミーアの姿があった。
「手伝いますよ」
レナンジェスはそう言うと書類整理や事務処理を黙々とこなす。
「貴男も去っても良いのですよ?」
ミーアは悲し気に言う。
「それは出来ないですね。私も絡んだことですから」
レナンジェスは微笑みながら言う。するとミーアは険しい表情で突然立ち上がった。
「優しくしないで!余計に惨めじゃない!!」
不意にヒステリックな怒声をレナンジェスに浴びせるミーア。
「ミーア様は惨めではありません」
「惨めで愚かよ!言い寄る殿方に浮かれて…何も行動を起こせないで…みんな去っていったわ。こんなわたくしが惨めで愚かでどうしようも無い女なのよ!レナンジェス殿もわたくしの元から去るのでしょ?だったら優しくしないで!」
「私は去りませんよ」
「嘘よ…」
「どうすれば良いかなんか分かりません。だけど放って置けないのです。私は…ミーア様が好きです」
そう呟いた時、レナンジェスは悟った。何故、前世の記憶を持ちながらハーレムを築こうと思ったのかを。
(私は前世からずっと彼女に恋をしていたのだ。百合であることに不快感を覚えながら。だから男として生まれ変わった事が素直に嬉しかったのだろうな。それでも何処かで嫌悪感を持っていたのだ。でも…今なら素直になれる)
レナンジェスはそう思うとそっとミーアの手を握った。
「私は貴女が好きです。だから叶わぬ思いだとしても…せめて今だけは傍に居させてください」
レナンジェスは悲し気な笑みを浮かべながら言う。
「…はい」
ミーアは涙を流しながら消えそうな声でそう言った。
翌日、ミーアの部屋で作業をしているとライディースとジュドーがやってくる。
「我も手伝おう」
ライディースはクールに言うと仕事を手伝いだす。
「僕も手伝うよ」
ジュドーは明るく言う。
「それは…」
ミーアは少し戸惑う。
『我等は婚約者も恋人も居る。それでもレナンジェスは別腹で愛しているんだ。ミーア嬢には悪いと思っている。しかしレナンジェスは諦められない』
「えぇ~!」
レナンジェスは間抜けな声をあげた。
『仕方が無いのだ。男同士の恋など認められないだろう。しかし…レナンジェスが好きだ』
その言葉にミーアは寂しそうな笑みを浮かべた。
「そうですか…男同士の恋愛も良いかもしれませんね」
レナンジェスは頬を赤く染めながら言う。
「そんなの…」
ミーアは頬を赤面しながら呟くように言う。
『今は学生だ。しかし大人になっても関係を持ちたい…』
2人のイケボでレナンジェスは思わずトキメク。
(私は2人が好きだ。だったらそれも受け入れよう)
そう考えながらニコリと笑うレナンジェスであった。




