第七十四話 秋休みのお茶会で
秋休み残り3日。
「私は何故、休みに縁が無いのか?」
レナンジェスは自嘲気味に呟く。
『仕方がありませんよ。それだけ期待されているという事ですから』
小悪魔―ズは半ズボン姿で満面の笑みを浮かべながら言う。
「それよりも…明日のお茶会はどうしたものか…」
レナンジェスは第一王妃からの招待状を読みながら苦笑いを浮べる。
“レナンジェスは女装姿で出席する事。従者は半ズボン指定する”
『王妃様も困った人ですね』
「何故、私は女装男子認定されたのか…」
『アリウス殿下の女装命令から鉄壁のスカートの流れですね』
ヒューイとドゥーイはニヤリと笑いながら言う。
「そうだが…私は男だぞ?流石に女装はね」
口ではそう言うが前世の記憶がある為、綺麗になる事は嫌いではないレナンジェス。故に無意識のうちに薄ら笑いを浮かべている。
『ご主人様…顔が笑っていますよ』
「アッ…これは違うんだ」
『笑っているしか言っていませんが?』
小悪魔~ズはニヤリと笑う。
「ちょっとキスを思い出してね」
レナンジェスは慌てて言い訳をする。
『それはジュドー様とライディース様ですか?』
不意に濁った眼を向けてくるヒューイとドゥーイ。
「リムル嬢とネイ嬢のキスだよ」
『怪しい…特にジュドー様とのキスは濃厚だった気が…』
「ほう、主人を信じられぬと?」
『捨てようとしたら…拉致しますよ?』
「あのね、私はゲイ術愛好家ではないのだよ」
『しかし…経験豊富ですが?』
「R18枠の経験はゼロだ。君達の方が経験豊富だろ!言わせるなよ!私が虚しくなるじゃないか!!」
『ごめんなさい…』
「という事でこの話は終わり!」
レナンジェスはそう言うと1人、ベッドに寝転び枕を涙で濡らした。
翌朝、レナンジェスは未亡人風メイクをする。ついでに小悪魔~ズにもビジュアル系メイクを施した。
「では行くか」
レナンジェスはそう呟きながら会場に向かった。
「何だ…ここは…」
レナンジェスは絶句する。会場に居るメイドはビキニ姿の女装マッチョだ。執事は男装女子である。
「これは…」
「来たか、レナンジェスよ」
背後から声を掛けてくる第一王妃。
「本日はお招きいただきありがとうございます。それで…これは…」
「目覚めたのだ!筋肉美と男装女子の凛々しさに!!」
その言葉にレナンジェスは固まる。
「素晴らしいとは思わぬか?ポージングしながら紅茶を注ぐあの姿が」
「極端すぎませんか?」
「更に奥方に顎クイする男装執事。これなら浮気にならないだろう」
「…」
レナンジェスは第一王妃の言葉に絶句する。
「レナンジェス…」
今度は俺様王子アリウスが声を掛けてくる。
「何でしょう?」
「…母上が…また、変な嗜好に捕らわれたぞ…」
アリウスは疲れた表情をしている。
「変とは何だ!!この素晴らしさは芸術の域であるぞ!!」
第一王妃は熱弁しだす。それを聞いているモブ貴族の奥方は「流石は第一王妃様」だの「素敵ですわ」だの騒いでいる。
「母上…少しは普通をですね…」
「時が進めばこれが普通になる。わたしは貴族のお茶会に新しい風を吹きいれるのだ!」
ドヤ顔で言う第一王妃。
「しかしですね…貴族の品位もありますし…」
アリウスが抗議する。
『まあ、この素晴らしさを解らないとは…』
『殿下は古風な方ですのね』
『アリウス殿下の仰ることも一理ありますが…こんなパラダイスを知ると…』
『そんな事より…百合に目覚めそうですわ!』
『そんな大胆な!でも…女同士であれば浮気ではありませんわね』
モブ貴族が好き勝手に言っている。
「聞いたか?」
第一王妃は更にドヤ顔で言う。
「…そうですか」
俺様王子はそう呟きながらその場を後にした。
「アーちゃんは男装女子が嫌いなのかしら?」
「アリウス殿下は男の娘派ですからねぇ」
「そういうう事か。ならば次回から男の娘メイドも用意しよう。それよりもレナンジェスよ、其方の従者だが…」
「ヴィジュアル系にしてみました」
「素晴らしい!それも取り入れるぞ!」
第一王妃は鼻息を荒くしながら言い放つ。それには周りのモブ貴族も目を輝かせていた。




