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第六十四話 文化祭の準備―3

放課後、レナンジェス調理室で喫茶店のメニューと演劇の舞台演出を考える。


(飲食しながら演劇を見るのは無いな。喫茶タイムと演劇タイムを分けてスケジュールを組まなければ。しかし私の労力の割合が高くないか?)


そんな事を考えながらメニューを考える。貴族相手であるから飲み物は紅茶とコーヒーだけで良いだろう。そして食べ物は旬の果物のケーキとチョコレートケーキ、プリンアラモードだけで良いと考える。


(実際にその場で作るのはプリンアラモードだけで良いだろう)


そして予算と売値を考える。ここで暴利を貪れば子爵家の名に傷がつく。


(売値は原価と光熱費に1%の利益を乗せれば十の位を差っ引けるな)


そして実際に現品を作り撮影する。


「美味しそうね」


不意にアリスがレナンジェスに語り掛けてくる。振り返るとアリス、ネイ、リムル、ライディースが背後で作りたてのプリンアラモードを見て笑みを浮かべる。


「おやつに如何ですか?」


レナンジェスがそう言いながら4つのプリンアラモードを作る。そして紅茶と一緒に出した。


『美味しい!』


女子3人は嬉しそうにそれを食べる。


「レナンジェスのうなじが…」


ライディースはそう呟きながら淫らな笑みを浮かべている。


(…この乙女のイメージ破壊魔は無視だな)


レナンジェスはそう考えるとケーキのデッサンを始める。貴族相手なのだ。見た目も味も重視しなければならない。


「ママ、シンプルにチーズケーキとティラミスで良いんじゃない?」


アリスは満面の笑みで言う。


「何故ですか?」


「シンプルで食べやすいじゃない。それに貴族の間では定番よ?」


「まあ、軽くお茶をするならそれくらいが良いかもしれませんね」


レナンジェスは苦笑いを浮べながらそう言うとデッサンをティラミスとチーズケーキに書き換える。そして大きさを数字で表しながら材料を多めに計算する。


貴族である以上、売り切れは厳禁だ。多めに残るくらいでなければモブ貴族の家名にも傷を付けかねない。


「先程のデッサンのケーキは…」


不意にリムルがニヤリと笑いながら言う。


「そうですわね。ウェディングケーキになりそうですわ!」


ネイがニヤニヤしながら言う。


「我とレナンジェスのウェディングケーキ…」


ライディースは淫らな笑みを浮かべながらレナンジェスを見つめだす。


(おい!そんな表情は止めろ!!本当にギャップ萌えキャラが壊れるから!!)


内心で悪態つきながらレナンジェスは材料の仕入れ値と光熱費を計算しだす。


「ママ…お嫁に行っちゃうの?」


不意に悲しそうに呟くアリス。


「私は男ですのでお嫁に行けませんよ」


「でも…ママだったら…」


「勘弁してください」


レナンジェスは苦笑いで答える。


『お嫁には行かせませんよ』


不意にリムルとネイがフォーク片手に淀んだ瞳でレナンジェスを見つめる。


「ですから男が嫁入りとかおかしいですよ」


「我は…レナンジェスなら嫁に…」


『ワ・タ・シ・マ・セ・ン・ヨ』


3人の女子はライディースの首元にフォークを突き付ける。


「止めてください。それからライディース様も戯れが過ぎます」


レナンジェスの言葉で平常運転に戻る3人の女子。しかしライディースはフォークを握りブツブツ言っている。


「私はこれからミーア様の手伝いがありますので失礼します」


レナンジェスは重い空気を振り払うかのように明るく言うとその場を後にした。


トレイに8人分のプリンアラモードを持って。




「美味しいですわね」


ミーアの部屋でプリンアラモードを振舞うレナンジェス。


『お前…男が料理とか普通はしないからな』


カイザルとチャールズの突っ込みが入る。


「新しい名物を作るのに料理は必須ですから」


レナンジェスは苦笑いで言うがW王子は『お前…カンサイノオバチャンに進化していないか?』と困惑気味に呟いている。


(おばさん言うな!せめてお姉さまにしろ!!)


前世のレナンジェスは心の中でそう叫ぶ。


「確かに貴族が料理するのはおかしいかもしれませんね」


不意にミーアが呟く。


「アリス様の希望ですので」


レナンジェスがそう言うとW王子は顔を見合わせる。


「チャールズ殿、アリス嬢に婚約者を宛がわなくては…」


「カイザル殿下がよぉ、婚約すれば良いと思うぜぇ」


「朕はミーア殿一筋だ!」


「俺もだよぉ!」


2人の会話にミーアが頬粗赤く染めながら止めに入る。


「だからミーア姉さまとわたくしが結婚すれば丸く収まりますわ」


何時の間にか入って来ていたアリスが淫らな笑みを浮かべる。


「そんなの不潔です!」


「あらあら、チャールズ殿下とカイザル殿下の禁断の関係も期待できますのに」


『絶対にそれは無い!!』


アリスの言葉にW王子は同時に叫ぶ。


「息がぴったりですわ。これは…ムフフフ…」


アリスが嬉しそうに言うとW王子は顔を見合わせ苦笑いを浮べた。


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