第六十二話 文化祭準備―1
2学期のイベントは立て込んでいる。その一つが文化祭だ。
(選択肢では執事喫茶、演劇、音楽発表会であったのだが…)
黒板に書かれているのは「女装、男装喫茶」である。
(…やはり主人公でなければ普通の選択肢は無いのだろうか?)
そう考えながら話を聞いている。
『レナンジェス!』
クラス中がレナンジェスを見つめる。
「分かりました。女装と男装の指南ですね?」
その言葉に生徒達はニンマリと笑った。
それから衣装の打ち合わせとメイク指導が始まる。女子は凛々しく、男子は可愛らしくがコンセプトだ。
「ママ、見て見て♪」
アリスが嬉しそうに男装姿を披露する。某歌劇団風にアレンジしたそれを気に入っているのだろう。
『オレ…いや、あたし達って綺麗…』
モブ男子がそう言いながら嬉しそうにする。
(おい、鉄壁のスカートでパンツを履くか議論するな!それではライディースとキャラが被るだろ!!それでも…床を鏡張りにしたら…)
レナンジェスは悪い笑みを浮かべる。
「ママの顔が悪人になっているわよ」
アリスがそう言いながらレナンジェスを窘める。
「床を鏡張りにしたらどうなるか考えていただけですよ」
その言葉に男子が頬を赤らめる。
『鉄壁のスカートの中を覗かれるだと!』
『見られたら…目覚めそうな気が…』
『いや、鉄壁のスカートだから見えないのでは?』
『真下からなら…』
『お尻とか見られるのか?そうなのか?』
『パオーンしなければ良いが…』
『何故、パンツを脱いでいる前提なんだ?』
『他にエロいシュチュエーションはあるか?』
『女性用の可愛い下着着用?』
『それは…見られたら恥ずかしい!』
『フンドシは?』
『貴族の履くものではないな』
『それだったら葉っぱで前を隠すとか?』
『お前…天才か?』
『それよりも薔薇で隠した方が…』
『神が現れた!』
男子達が大騒ぎしている。それを一部の女子達が淫らな笑みを浮かべ見つめている。妄想の中で穴という穴を凌辱しているのだろう。
『それよりも女子の男装よ!』
『そうよ!もっとゴージャスにするのもありじゃない?』
『動き難そうね…』
『だったら髪の短いヴィッグにして踊りながらとか?』
『それならショーをしましょうよ』
『どんな?』
『女だけで公演するラブストーリーとか?』
『それって…百合に目覚めてしまいそうですわ!』
『でも…男装女子同士だから…』
「男装女子同士で百合ですわね。メモメモ」
『アリス様…そんなメモなんて…』
「良いではありませんか。男装女子のベーコンレタス風恋話なんて素敵ですわ」
『想像したら…無いモノが勃ってきますわ!』
女子が大騒ぎする。
「それでは女子が演劇して男子がホステス役で良いですか?」
レナンジェスは皆に問い掛ける。
『賛成!』
モブ貴族たちは一斉に賛成した。
放課後、レナンジェスは衣装をデザインする。女子は動きやすくて紳士に見える服装、男子は鏡越しでも見えない鉄壁のスカートだ。
「レナンジェスよぉ。最近、男女が逆転していないかぁ?」
チャールズが怪訝な表情で問い掛ける。
「それはあるかもしれませんね」
「朕は不安だ。逆転夫婦が増えそうで」
カイザルはそう呟きながら苦笑いを浮べる。
「ママはチアリーダーで良いと思うわ」
不意にアリスがレナンジェスに言う。
「それは危険です!絶対領域だけで殿方が…」
ミーアはそう言いながら途中から妄想の世界へ旅立つ。
「我のクラスは音楽発表であるから合間にレナンジェスに会いに行けるな」
不意にライディースが嬉しそうに言う。
「やはり管弦楽ですか?」
「それがよぉ、ロック&アイドルフェスになりそうなんだよぉ」
チャールズ曰く、俺様王子がそれを提案したらしい。
(主要人物全員が集まるクラスだから当たり前か)
レナンジェスはそう思いながら毎日聞いていた中の人の歌声を思い出す。
「ママも歌いたい?」
アリスは悪戯な笑みを浮かべて言う。
「私は見ていたい方ですかね」
その言葉にミーアが驚いた表情を浮かべる。
「どうしました?」
「いえ、レナンジェス殿だったら歌うのかと思いまして…意外な答えに驚いてしまいました」
「聞くだけでも楽しいですよ」
「そうですが…新発売のアルバムは300万枚突破した貴方が言うのは…」
「それでも…アリウス殿下やミュージー様より少ないですけどね」
レナンジェスは苦笑いを浮かべながら言う。何しろ主要メンバーのアルバムは500万枚突破するのが当たり前なのだから。
(前世では握手券付きでないとミリオン超えないのだが…この世界は簡単にミリオンセラーに達するな)
レナンジェスはそう考えながら衣装デザインを続ける。
「レナンジェス」
不意にライディースが耳元で囁く。
「何でしょう?」
「我にも衣装をデザインして欲しい。2人の時間を有意義に過ごす為の衣装を」
そう呟きながら淫らな笑みを浮かべるライディース。
「そんなの不潔です!」
ミーアは腐適な妄想をしたのか頬を赤らめながら叫んだ。




