第四十三話 シングルマザー設定
「ヒューイちゃんとドゥーイちゃん、お外で遊ばないの?」
『え?…』
「まさか…お友達に虐められているの?」
悲しそうな表情を浮かべるレナンジェス“オカン”。
『虐められていないよ。それから今日は休みだから家でゆっくりしたいんだ』
「子供なんだから遊んでいらっしゃい!それから帰ったら宿題するんですよ!」
『はい…』
小悪魔~ズはそう言うとおやつを持たされて外に出る。
『一大事だ!』
小悪魔~ズはそう叫ぶと魔法学院に向かって走り出した。
「ところで最近、学校はどう?」
「ふ、普通ですわ」
ミーアは唖然としながら答える。
「そう、ママはこれから仕事するから2人も遊びに行くなり宿題するなりしなさいね」
そう言いながら書類の山を処理しだすレナンジェス“オカン”。
「これって…」
「成功ですわ!今のレナンジェスは私達の母上ですわ」
アリスは嬉しそうだ。
「マ、ママは少し休んだ方が…」
動揺したミーアはレナンジェス”オカン”に言う。
「大丈夫よ。パパに先立たれてからずっとこうだったから。みんなが結婚するまでママは頑張るわ」
どうやらレナンジェス“オカン”はシングルマザー設定になっているらしい。
「手伝うわ」
「良いのよ。それよりもおやつの準備もしなくちゃね」
そう言うとパンケーキと紅茶を素早く作るレナンジェス”オカン”。
「はい、おやつよ」
そう言うと再び書類を処理しだすレナンジェス“オカン”。
「これって…」
ミーアは動揺しだす。
「美味しい。ママのおやつは美味しいね」
アリスは娘になりきっている。
「アリス様。このままでは良くないと思いますの」
「大丈夫ですわ。3日ほどで香水の効果が消えますから」
「もし消えなかったら?」
「そうしたら学園を卒業するまでここでママと暮らすだけですわ」
アリスはそう言いながらニコリと笑う。
「それでは…」
ミーアがそう言いながら立ち上がると紅茶のカップをひっくり返す。
「ミーアちゃん、アリスちゃん火傷していない?」
ビックリした顔でレナンジェス”オカン”が2人の傍までやってくる。
「だ、大丈夫です」
「良かったぁ」
ミーアの言葉でホッとした表情を浮かべると2人を抱きしめるレナンジェ“オカン”。2人の少女は頬を赤く染め嬉しそうな表情を浮かべた。
『大変です!』
チャールズとカイザルの元に5人の従者が慌ててやってくる。
『どうした?』
2人の王子は何事かと言う顔で5人に問い掛ける。すると5人はアリスの計画でレナンジェスに女装をさせてから香水を吸引させたことを話した。
『それでは…2人の貞操の危機ではないか!』
W王子は般若の表情になる。
『それが…』
従者曰く7人の子持ちのシングルマザーと思い込んでいるという。
『そんな…レナンジェス様を取り戻さねば!』
ネイとリムルが慌てふためく。
『其方等だけでは無理だ』
不意に第一王妃と第二王妃が背後から姿を現す。
『近衛兵1000人集めよ!レナンジェス捕獲と“魅惑の香水”を奪取するのだ!!』
「母上、俺様は反対だ!そもそも第二王妃と子作りなんか絶対に嫌だからな!」
「五月蠅い!お前がミーア嬢と勝手に婚約破棄したからこうなったのだ!!其方等の子種で子を産みミーア嬢と婚約させる!!」
「え?俺様のせいか?」
「当り前だ!!」
そう言いながら武装しようとする第一王妃と第二王妃。
「ちょっと待てよぉ。ミーア嬢は俺の妃にするんだぁ…!勝手は許さないぜぇ」
「朕もミーアを嫁にと思っているのだ」
W王子の説得で近衛兵が差し向けられるのは阻止した。
『だがミーア嬢とアリス嬢の身柄の確保はせねばなるまい』
第一王妃と第二王妃は口を揃えていると剣を携える。
『私達も行きます!』
ネイとリムルが杖を携え叫ぶ。2人の性格はアレだが魔法の才能は秀でている。
『俺達も行くか』
チャールズとカイザルも剣を携える。それを見たライディースも剣を携える。
「もう、日が暮れるぞ?明日の方にした方が…」
恐る恐る言う俺様王子。
『ダメだ!間違いがあってからでは遅い!!』
一斉にそう言われ言葉を失くす。
「アリウス様。私もお供します」
聖女ミュージーがそう言いながらアリウスの手を握る。ルーアは食料を背負っている。
「解った…」
俺様王子も剣を携えるとアリス&ミーア捕獲に向かうのであった。




