第四十一話 オカンVS仮面の婦人
決勝戦、“オカン”と仮面の婦人は対峙している。
(まさか小悪魔~ズが瞬殺とは…何者だ?)
こんなキャラはゲームに居ない。そして妙に殺気を飛ばしてくる仮面の婦人。
「お前か、お前が私の息子のファーストキスを奪ったのは…」
「え?誰の事かしら?」
「惚けるな!この淫乱雄犬が!!」
「えっ?そう言われても…」
「更に息子を殴ったのは聞き及んでいる!それとゴックンしている事も」
「あの…」
「息子をそのような恰好で誘惑したのだな!許さん!」
そして初めの合図と同時に一瞬で距離を詰めてくる仮面の婦人。
「危ない」
レナンジェス“オカン”は木剣の軌道を変えながら仮面の婦人に攻撃する。しかし仮面の婦人は横に飛びレナンジェス“オカン”に連撃を仕掛けてくる。
「鋭い攻撃ね」
レナンジェス“オカン”はそう言いながらバックステップで距離を取りながら仮面の婦人の突進を牽制する。
「やるな」
仮面の婦人は嬉しそうにそう言うとフェイントを入れながら蹴りを放つ。レナンジェス“オカン”はそれを半歩動いて避けると木剣1本を仮面の婦人に投げつけた。
「小癪な」
仮面の婦人はそれを避けると後ろへ飛んだ。
「あら、読まれちゃったのね」
レナンジェスは中段の構えをしていた。
「私の可愛いアーちゃんをたぶらかすお前は敵だ!」
そう言いながら脇構えのまま突進して来る仮面の婦人。
「アーちゃん?」
「貴様は白を切るか!」
「だから誰の事よ?」
「お前の娘と呼んでいる女の元婚約者だ!」
その言葉でレナンジェス”オカン”は殺気を放つ。
「あんたが婚約破棄させた本人?」
「それは無いね。私もミーアは娘みたいに思っているからね」
「何故、婚約破棄を止めなかったの?」
「骨なしチキンが押し負けただけだ!」
「うん、あんたも同罪ね」
そしてレナンジェスの殺気は消える。次の瞬間、仮面の婦人の木剣はレナンジェス”オカン”の突きによって破壊されていた。
「強い…これが最強の女“カンサイノオバチャン”か…」
「おばちゃん言うな!まだ15歳だわ!!」
レナンジェスが反論する・
『そ、そこまで!』
審判が止めに入る。
「まだですわ」
仮面の婦人はレナンジェス”オカン”が投げつけた木剣を持ち構える。
「ねぇ、仮面の婦人は誤解しているわよ?」
レナンジェス”オカン”が耳元で囁く。
「何を言う!この泥棒猫!」
「だからぁ、あんたの息子が一方的に強要するんだってばぁ」
「何?」
「しかも“オカン”姿を見ると母親を思い出して恐がるのよ?」
「それは…」
「男の姿でしかそんな事はさせられていません」
そう囁くと仮面の婦人は涙した。
「息子が…アーな世界に旅立ったのね…」
「…私限定らしいですけど」
それを聞いた仮面の婦人は怒り狂う。
「覚悟!」
「もう、仕方ないなぁ」
レナンジェス“オカン”は木剣を一閃すると仮面の婦人は吹き飛ばされる。そして素早く距離を詰め首筋に木剣を当てる。
「…完敗だ」
その言葉で会場中は大盛り上がりだった。
「ところで何故、第一王妃様が試合に?」
制服に着替えメイクを落としたレナンジェスは跪いて問い掛ける。
「息子が…構ってくれなくて。それで息子を誑かしているレナンジェスが原因だと思ったから」
「でも王妃様をアリウス殿下は恐がっていますよ?」
「それは…剣の稽古では容赦しませんし」
「それ…トラウマになっています。だから堂々とした女性が苦手なのかも。あと、愛が重すぎる女性とか」
「え?私のせい?婚約破棄もゴックンも音楽活動も私が原因?」
「それは本人に聞いてください」
そう言うとレナンジェスはその場から去る。そして入れ替わりで俺様王子が控室に入るのであった。
「レナンジェス…昨日は散々な目にあったぞ!」
俺様王子はレナンジェスを自室に呼び出すと怒り狂う。
「親子の話はちょっと…」
「それを飛び越えて母上は子離れできないようになってしまったではないか!」
「だったら王様に言って弟か妹を作ってもらえば良いのでは?」
「おい、両親のそんな姿を想像してみろ…」
「…勘弁ですね」
俺様王子は苦笑いするレナンジェスをゴックンの刑に処した。




