第三十八話 周りがヤンデレに進化しそうなのだが
「何なのです?いきなり抱きしめるなんて!」
アリスは動揺している。
『レナンジェス様…他の令嬢を抱きしめるなんて…』
ネイとリムルがナイフを手に持つ。
『ご主人様が不埒になっちゃう』
小悪魔~ズもナイフを手にした。
「我と言うものがありながら…」
ライディースがそう呟きながらフォークを手にする。
「お止めなさい」
ミーアが皆を止める。しかし5人には聞こえていない。
『あれ~、レナンジェスから女の匂いがする~』
そう言いながらレナンジェスを取り囲む5人。
「アリス様を抱きしめたのだから当たり前です」
『浮気?浮気をしたの?』
5人はそう言いながらレナンジェスと距離を詰める。
「はいはい、みんな甘えん坊だね」
レナンジェスはそう言うと5人を順番に抱きしめる。そして頭を撫でながら5人に「危ないからダメですよ」と言い聞かせた。
『解りました』
5人は急に正気を取り戻し元気よく答える。
(今のはヤンデレフラグだったのか…)
レナンジェスは内心焦りながらも笑みを浮かべる。
「何なの?あの男は?男じゃありませんの?まるで…」
アリスはそう呟きながら俯く。
「レナンジェス…母と同じ事をするな。俺様の一番苦手な相手だ!」
俺様王子はご立腹だ。
「母の姿…」
アリスはそう呟くと一筋の涙を流した。
「貴女の母君もあの様に抱きしめてくださいましたの?」
ミーアがアリスに問い掛ける。
「はい。私が悲しい時や辛い時に…」
「羨ましいですわ。私の母は私に男装をさせて父の代わりにしていましたから」
ミーアが寂しそうに言うとアリスは泣き出す。
「…ごめんなさい。ミーア様を困らせて」
「良いのよ。それにしても…あの男には」
ミーアにはレナンジェスが女に見えた。5人の子供を諭す母親に。それはアリスも同じであった。
『あいつ…時々おかんになるよな』
W王子はそう言いながら苦笑いを浮べる。
『号外!レナンジェス、男装女子疑惑が浮上!!』
新聞部の貴族が号外を掲示する。
内容は過去の彼の行動から中身が女性だと推測される。そして行動がおかんであると言うものだった。
『確かに仕草が女らしい…』
『行動も女子みたいな時が多いですわ!』
『この世の最強種“カンサイノオバチャン”らしいですわよ。直ぐに“飴ちゃん食べる?”と言うところとか』
皆が言いたい放題だ。
(確かに中身は40過ぎのおばちゃんだけど…一応、付いているのよね!)
心の中でそう叫ぶレナンジェス。
「おい、俺様に良いアイディアがある」
不意に俺様王子がレナンジェスに囁く。
「何をしろと?」
「明日、お前は1日男の娘になれば良いのだ」
「お戯れを…」
「命令だ」
レナンジェスは仕方なく首を縦に振った。
翌日、レナンジェスの姿を見た男女が大騒ぎする。前世で培ったメイクとヴィッグを付けドレス姿でレアンジェスが現れたからだ。
『綺麗…』
『俺…男でも抱ける気がして来た』
『負けた…』
(ハァ、俺様王子に振り回されるとは…)
そう考えながら教室に入るレナンジェス。するとアリスがレナンジェスを見て泣き出しそうな顔をする。
「お母さま…」
アリスはそう呟くとレナンジェスにしがみ付く。
「あらあら、甘えん坊ね」
レナンジェスは開き直っている。そして前世の女モード全開にしていた。故に周りからは母娘と言う認識をされる。
そして昼休み、レナンジェスが食堂に行くと何時もの面子は唖然とする。
『似合いすぎだろ!』
W王子はそう言いながら目を泳がせる。
「まさか…ここまでとは…」
俺様王子は頬を赤く染める。
「母上…」
不意に悪役令嬢ミーアが呟く。
「もう、甘えん坊さんばかりねぇ」
レナンジェスがそう言いながらミーアの頭を撫でる。するとアリスとミーアがレナンジェスにしがみ付いた。
「レナンジェス…其方は性同一性障害なのか?」
不意にライディースが顔を赤らめながら訪ねてくる。
「そうかもしれませんね。でも、百合もいける口ですわよ」
レナンジェスが妖淫な笑みを浮かべながら言うと男子生徒は一斉に鼻血を吹き出すのであった。




