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バトルオブニート  作者: 清水八屋
1/1

ニートの日々1

処女作です。どうかよろしくお願いします。



『うん?ここはどこだ?』

男は不思議な空間にいた。縦も横よく分からない、水の中のような無重力のようなふわふわとした場所に居た。


『すいませーん!誰か居ませんかー!』

男は声を張り上げて誰か居ないか叫んでみたが返事はなかった。


『うーん、ここは一体どこなんだ?というか、俺は何でこんな所にいるんだ?確か昨日は…』

そう言って男は昨日のことを思い出そうとした。


『えーと、確か昨日は…そうだ!一日中家でゴロゴロ漫画を読んだりアニメを見たり、ゲームをしていたんだった!』

男は昨日のこと完全に思い出したがそこでふと、疑問が出てきた。


『うーん、昨日のことは完璧に思い出したんだが、こんな変な所にいる理由が分からないぞ?』

そう、なぜただ普通のニートだった男がこんな所にいるのか、それが分からなかった。


『ハッ!まさかこれがネット小説でよくある転生か、それか転移の最中か!異世界が俺を呼んでるのか!』

男は歓喜した。


『よっしゃー!勝ち組確定!神様的な存在には出会わなかったが確かそういうストーリーのも沢山あったな!それよりも気になるのはチートだ!どうか!どうか最強のチートを我に授けたまえ!』

男は不思議な空間で声の限り祈り出した。


『神様仏様ご先祖様!どうか我に絶対無敵の最強チートを!そしてハーレムを!美人で優しくて巨乳な恋人を!どうか!お願いします。』

そんなダメ人間で童貞感丸出しのアホな欲望を大声で叫んだ。


もしもここに祈られたご先祖様がいたら泣くだろうか?それとも蔑んだ目で見るのだろうか?


『ああ、楽しみだな〜、こんな事になるのならもっと役立つ知識とかネットで調べておくんだったな〜、てか、転移か転生か知らんけどまだかな?』

もちろんネット小説の中には不遇系や復讐系など酷い目にあうやつもあるのだが男は能天気にもそんな事になるとは一ミリも考えていなかった。


その時男の言葉がきっかけかは分からないが不思議な空間に変化が起きた。


『お?何だあれ?』

男の遥か視線の先に光の渦が現れた。


グン!

『うぉ!なんか引っ張られてる!しかもだんだん速くなってきてる!?』

視線の先の光の渦がだんだんと早く渦巻くに連れ男が渦に引き込まれるスピードもどんどん速くなる。


『うわぁぁぁ!速い速い速い!誰か止めてくれぇぇぇぇえええええ!』

どんどん光の渦に近づくにつれ加速度的に速くなるスピード、そしてついに光の渦にぶつかる時。


『うわぁぁぁぁぁぁ!神様仏様ご先祖様ぁぁぁぁぁぁ!どうかお助』

とんでもないスピードで光の渦の中に突っ込んだ男はとんでもない速さと少しの衝撃を感じると男は意識を失った。



____________________________________



(うーん、うん?今度はどこだ?確か俺は光の渦にぶつかって?えーと、えーと、だめだ、眠い、凄く眠い。』

その時、微かに音が聞こえた。


(うん?何か聞こえる。これは……子守唄?

ま、まずいこんなに眠いのに子守唄なんて聞いたら…ねてし……ま………)


その後、寝て起きてを繰り返してからしばらくたち。


(うーん、ここはもしかしてお腹の中か?

赤ちゃんから記憶が戻ったりするかと思ったがまさか胎児からって小説でも見た事ないぞ。まあ確かに殆ど寝てるし起きてられる時間もかなり短いな。)

男は自分の現状を把握した。


(それよりもいつ頃産まれればいいんだ?十月十日という言葉は知ってるが今何ヶ月目かも分からないしな。てか、無事に産まれますように!逆子やへその緒が首に絡みませんように!…いや、それは自分で何とかすれば良いか。どうか!どうか流産しませんように!母子ともに健康で過ごせますように!)

男はそう切実に願うのだった。


(あと美人な母親でありますようにお金持ちでありますように可愛い姉や妹、美人な叔母や綺麗な従姉妹、世話好きな従姉妹が居ますように!あとチートとハーレム!頼みますよ、神様仏様ご先祖様!)


そんなアホで欲望丸出しの事を祈りながら過ごしていると。



(うーん、よく寝た。へその緒よし!頭の位置よし!今日も安全よし!)

そんな変わった安全確認をしているとそれは唐突に始まった。


(うん?何かいつもと違うような、ソワソワするな。いや、かなりソワソワするぞ。何だこれ!メチャクチャソワソワする!)

男は急激なソワソワ感に襲われた。


(一体何が起こるだ!うん?なんか急に苦しくなってきた。く、苦しい。誰か何とかしてくれ!)

ソワソワ感に襲われていた男は謎の苦しみを味わっていた。


(く、くるひーー、メチャクチャくるひー、うぉぉおお神様仏様ご先祖様ぁぁお助けくださいぃいい、)

もがき苦しみながらも何かに導かれるように進んでいた。


(うぉぉぉおおおおお、これはきっと産まれる時が来たのだぁぁあああ!負けん!負けんぞ!俺は絶対に負けん!俺必ず産まれてチートでハーレムを作りきゃっきゃウフフな事をするのだぁあああ!)

男が一体何と戦っているか、そんな事は本人でさえ分かっていないだろう。


(うぉぉぉおおおおお!神様仏様ご先祖様!俺に力をお貸しください!)

男が何かと戦う事数時間、遂にその時が来た。


男はもうすぐこの戦いの終幕が近づいていることが本能で理解していた。

(うぉおおお!ファイトォォ!イッパァァツゥゥオラナミン G!)

男が前世の有名な掛け声をいれ踏ん張ると遂に戦いに終止符が打たれた。


スポン!



____________________________________



ベルセッド教国グーロンド伯爵の館



その日、グーロンド伯爵の館は緊張に包まれていた。


『クソ、まだ産まれないのか。ミラは大丈夫なんだろうな!ああ不安だ不安だ』

不安でたまらなさそうな男が出産中の妻がいる部屋の前でオロオロしながら歩いていた。


『落ち着いてください。ギル様、ご出産などもう何度も経験してるではありませんか。いい加減慣れてくれませんと。』

そう執事服を着た年寄りの男がニコニコしながら、少し困ったように言った。


『そう言うがな、ロセ。男は出産となると何にもできんし、経験しても慣れん物は慣れんのだ』

ギルと呼ばれた男は執事服の老人ロセに少ししょげてそう言った。


『経験豊富な産婆も居ますし、何かあっても良いようにわざわざ王都から腕の立つ医者も呼びました。これ以上はないほどの万全な準備がしてあります。どうかご安心ください。』

『しかしだなぁ、ああ、やっぱり不安だ。もしもミラに何かあ『ギルバート!!』

ロセが不安で仕方ない主人を何とか宥めようとした時、突然凛とした声が響き渡りギルバートと言われた男はビクリ!と身体を震わせ声のした方に振り返った。


『ギルバート!貴方はグーロンド伯爵家の当主なのですよ、そのようにお腹の空いた犬のようにウロウロとするんじゃありません!みっともない!』


『お、お母様。そのような大きな声を出さないで下さい!もしもミラに何かあったらどうするのですか!?』


『黙りなさい!もし私に黙って欲しいのなら当主として恥ずかしくない振る舞いをしなさい!毎回毎回子供が産まれそうになるたびにそのように不甲斐ない姿を晒して、当主としての自覚を持ちなさい!』

烈火の如く怒り散らしお説教を喰らっている自らの当主を助けるべく、執事は助け舟を出した。


『ヘレナ様、どうかお怒りを鎮めて下さい。ギル様は普段は堂々とし真面目に政務をし、領民からの信頼も厚い私が皆に誇れる主人です。確かに出産の時期は少し落ち着きがありませんが、それもミラ様や他の奥様を愛し大切に思っているが故です。そこも私の誇れる主人の良いところであると思っております。』


『おお、ロセ。そうだもっと言ってやってくれ。』

主人の弁護をする執事を見てその主人は神にすがる信徒のような目をしていた。


『ギルバート!貴方は!…はぁ。ロセに免じて説教は後にしてあげます。全く本当に外では堂々としているのかしら?昔からギルは………』

ぶつぶつぶつと自分の世界に入った母を見てギルバートは安堵のため息を吐いた。


そのため息と同時に赤ん坊の泣き声が聞こえたのだった。


『おぎゃぁおぎゃぁおぎゃぁおぎゃぁ』


『ミラ!無事か!おい!早く扉を開けろ、早く!』

過去に不安がピークに達し出産中に部屋に乱入した事から鍵がかけられたドアを思い切り叩く

ドンドンドンドンドン


『おい!まだか!早く開けろ!領主命令だ、早急に開けろ!』

そうドアの向こうにいるであろう誰かに脅すようにドアを開けるよう命令した。


ガチャ ドン

『どけ!ミラは、無事か、ええい、早くそこをどかんか!』

ドアが開いた瞬間からダッシュで中に入ろうとしたが過去の経験から突っ込んでくるのが分かっていたため中に待機し待ち構えていた女性騎士にぶつかり中に入れずにいた。


『落ち着きなさいギルバート!それで経過は?』

息子を一喝して落ち着かせ少し不安そうに聞いた。


『はい、ミラ様、お生まれになったご子息様、共に無事です。』

その言葉を聞き張り詰めていた緊張がなくなりホッとした空気が漂い始めた。

『そうか無事か!しかも男を生んだのか!!』

『ロセ、この事を皆に伝えて来なさい。』

『かしこまりました』

ヘレナに命令された事を実行するべくロセは恭しく頭を下げた。

『ギル様ご子息様のお誕生、誠におめでとうございます。』

『ありがとうロセ、迷惑をかけた。』

その言葉を聞くとロセは静かに離れていった。


『おい、もういいだろ早く入れてくれ』

ギルバートは目の前を塞ぐ女性騎士に言い、女性騎士は少し振り返り入れてもいいか確認しゆっくりとドアの前から離れた。

『どうぞ、中でミラ様がお待ちしています。』



____________________________________



スポン


(俺は、俺は遂に勝ったんだ、こんなに嬉しい事はない。ここから俺の最強ハーレム伝説が始まるんだ!)

男は長い戦いに勝ち無事産まれたのだった。


『あら?この子なかなか泣かないわ!大変早く泣かさないと!』


(うん?なんか苦しいような?いや、気のせいじゃなく苦しいぞ!なんで次から次へと苦しい事の連続なんだ!)


『よし!いくわよ?せーの!』


(くるひー、助けて神様仏様ごせん

バシン!


『おぎゃぁおぎゃぁおぎゃぁおぎゃぁ(ケツがぁぁぁぁあああああ)』


『よかった!泣いたわ!これで安心よ』

『おぎゃぁおぎゃぁおぎゃぁ(ケツが爆発したのか!?いや、そうか!産まれた時に泣かなかったからケツを叩いて泣かせたのか!安心したー、ケツが爆発したのかと思ったぜ。

仕方がないとしても許さん!俺が大きくなったら仕返ししてやる!顔覚えるから見せやがれ!)』


『見てくださいミラ様。ほら元気な男の子ですよ。抱いてあげてください。』

そう言い産婆は産まれたばかりの赤ん坊を清潔なタオルで包み手渡した。


『ああ、この子が私の赤ちゃん。なんて可愛いのかしら。』

『おぎゃぁおぎゃぁおぎゃぁおぎゃぁ(てゆうか、あまり目が見えんぼやけて見える、体もよく動かせん。これじゃあケツ叩いた奴に仕返し出来んじゃないか!)』

赤ん坊が無事に産まれ感動に包まれているなか男は命の恩人でもある産婆に筋違いな怒りを抱いていた。


『ミラ!無事か!』


『ええ、私は何ともないです、それよりほら、この子を見てください。まるで天使のように可愛らしい。』

『そうか無事か。よかった。本当によかった。それにお前の言う通りとても愛らしいな。おお!お前によく似た美しい黒い髪だ。しかし瞳の色は私と同じ茶色い瞳だ。

うむ!この子はきっと大物になるぞ!』

『ふふ、この子はまだ赤ん坊ですよ?気が早すぎます。でも、立派な人に育って欲しいですね。』

『おぎゃぁおぎゃぁ(あー、なんか凄く眠くなって来た。早く大きくなってケツ叩いた奴に復讐…して…や………る』


コテン


『あら?うふふ、泣き疲れて寝てしまったのね。そうだ!あなた!この子の名前は?』

『そうだった!この子の名前は…ニートだ!!』

『ニート?何だか不思議な名前ですね。どのような意味でしょうか?』

『ああ古の言葉で自由なもの、縛られぬものらしい。この子には名前の通り自由にそしてのびのびと育って欲しいのでこの名にしたのだ。』

『そのような素晴らしい名をありがとうございます。ニート、ふふ、元気に、そして自由にのびのびと育ってね』

そう言いミラは産まれた赤ん坊、ニートにキスをしたのだった。


こうして現代でニートだった男は異世界でニートと言う名前になり暮らしていくことになったのであった。


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そんな事よりもなんで処女作って言うんですかね?船とかでも処女航海とか言いますし。童貞作、童貞航海とは言いませんよね?不思議ですね。

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