雪が追い求めた先に寄り添うもの
クリスマスなので、優しいモノを投稿してみたいと思って……。
むかし、むかし。
天地創造……神様が世界を創った時。草花達は、形は違いましたが、みんな緑色でした。
そんな自分たちの姿に不満を持った花たちは、神様に言いました。
「私達は、みんな同じ色で悲しいのです。色をください。個性をください」
花たちの願いを聞いた神様は、絵の具で花々に色を付けてあげました。
それを見ていた、色を持たない雪と風は、神様に不平を言いました。
「神様、なぜ花たちだけなのですか?かみさま、わたしたちにも色をください」
しかし、花に色を塗り終わり絵の具が無くなってしまった神様は、雪と風にこう勧めました。
「絵の具がなくなってしまったんだ。済まない。だから、君たちは花たちから色を分けてもらいなさい」
言われた雪と風は、花達がいる野原におもむき、頼みまわります。
「私に色を分けてください」
しかし、花達は誰も「うん」と言ってくれません。
野原の半分ほど廻ったとき、風がいいました。
「私は諦めるよ。もう、色はなくていい。きっと、残りの半分をまわっても、誰もくれないと思うから……」
そう言って風は去っていきました。けれど、雪は諦められず、頼みまわります。
それでもやはり、花たちは誰も色を分けてくれません。
「……風と一緒に諦めておけば良かったな。誰も色をくれないなんて……」
いよいよ野原の片隅まで来たとき、雪はさめざめと泣き出してしまいました。
「あの――私の色でよかったら、色を分けて差し上げましょうか?」
声のしたところに雪が目を向けると、小さい花を俯かせた白いスノードロップがいました。
「え。あっ、ありがとう。喜んで―――」
悲しくて泣いていた雪は、嬉し涙を流しながら、スノードロップの白い色を分けてもらいました。
このことに感謝して、雪はスノードロップと友達となり、スノードロップは雪の降る寒い季節の中で年の最初に咲き、雪と共に寄り添うように成りました。
先日、投稿した冬を題材にした詩。その元ネタをちょっとアレンジしてみました。
『逆境の中の希望』『もしもの時の友』そんな花言葉のスノードロップ。好きですねぇ。
ガイドラインに載っている
・童話、古典文学など著作権の保護期間が終了している作品を原作とした小説
そんな分野なので、一応大丈夫だと思っていますが、問題がある場合はお知らせください。