5、魔力
「何食べる?」
「お前は何にするんだ?」
「私は、、、、、あ、このミートパイ一緒に食べない?オススメって書いてあるし。」
「ああ、確かに美味しそうだな。」
「あ!それに、小っちゃいアップルパイかカスタードパイ付いてくるんだって!!」
セイディーの興奮した様子を見ていると、気持ちが穏やかになる。
「そうだな。じゃあそうしよう。あと、飲み物も頼むか?」
「そうだね、、、、、。じゃあ私ミルクティーにしようかな。」
「じゃあ、俺は、、、、果物酒(ブドウなので、ワイン)でも飲んでみようかな。」
「え!?本当に?お酒飲んじゃうの?」
最近成人したばかりだし、ユクリート家はそもそも酒を飲むことが禁止されている。でも、だからこそ酒を飲むということが、忘れさせてくれるのではないかと思ったのだ。
「すいませーん、あの、ミートパイ一つと、おまけはカスタードパイもらえますか?あ、あと、ミルクティーと、、、、果物酒もお願いします。」
「ミートパイはちょっと時間かかるかもしれないが味は保証するぞ。」
「はい。期待してますね。」
十分ぐらい明日の事についてセイディーと話していると料理が運ばれて来た。ひき肉の香ばしいいい香りで気づいてみてみたら想像していたよりも大きいミートパイが運ばれて来た。セイディーは目を輝かせている。
「あと、これはミルクティーと果物酒だ。カスタードパイはもう少ししたら運ぶからな。」
そういうと、忙しそうに台所に戻っていった。今は夕食時なので、かなり混んできているのだ。
「美味しそうだね!じゃあ切るよ!」
「ああ、うん、、、、、、、、、、。」
セイディーのテンションに流されて何とも言えなかったが、匂いが食欲をそそって、とても美味しそうだ。
セイディーがナイフを入れると、サクッと、歯切れのよい音がする。音だけで生地のサクサク感が伝わってくる。セイディーは貴族だったので、家事一般は得意だ。だから、ミートパイも綺麗に八等分に切られていて、中身も飛び出していない。セイディーが一つを自分のお皿に、そして一つを俺のお皿に盛ってくれた。
「ありがとうな。じゃあ、食べるか。」
「うん」
「いただきま、、、、、。」
『いただきまーす!』
え?なんだ、これ?いただきます、って何だっけ?
「どうしたの?食べないの?」
「あ、いや、美味しそうだな。今食べるよ。」
きっとどこかの小説か何かで読んだ言葉だろう。
さっきの事は、一回忘れて、銀色のフォークを手に取る。パイにフォークをさすと、サクっという音がする。フォークでとって食べると、サクサクのパイ生地と、シンプルだが肉のうまみを引き立てる味付けで炒められた挽肉と豆が入っていて、これが合わさると、何とも言えない美味しさだった。
「お、おいしー、、、、、」
セイディーは昔からパイが好きだったからな。
1ピース食べ終わった後、喉が渇いたので、コップを手に取った。コップの中を覗く。予想よりもさらさらして、予想よりも濃い紫色の液が揺れていた。少しだけ口に含む。、、、、、、、、、、、、、、。
喉が焼けるような感覚がする。美味しいとは思わないが、癖になりそうな感じではある。
気づくと、セイディーが俺の方をじーっと見ていた。
「、、、、、このミートパイ旨いな。カスタードパイも美味しかったらいいな。」
「う、うん。そうだね、、、、。」
「なあ、セイディー、俺が酒を飲んでも、俺は俺だ。何も変わらない。」
「わかってるよ。でも、なんか、変わっちゃったような気がして、、、、、、。」
「俺は今も泳ぎが下手くそで、がり勉で、運動神経だってそこそこだよ。」
「、、、、、、うん。アルド、ありがとう。なんか、追いかけてきて本当に良かった。」
「え?何だ?兄ちゃん、振られたのか?」
っと、シリアスな雰囲気になったところで、ちょうどカスタードパイを持ったおじさんが入ってきた。
「ほら、早くミートパイ食べないと冷めちゃうぞ。」
「はい。あ、ありがとうございます。」
俺は礼を言いながらカスタードパイを受け取って、自分の分のミートパイを食べた。
「アルド、、私も、私もいつか、お酒、飲んでみようかな。」
そう言ったセイディーの顔は寂しげだったが、どこか晴れ晴れとしていた。
「セイディー、、、。うん、でもお前はまだ15だから、1年後な。」
「うん!」
そう言ったセイディーの顔にはもう、寂しげな表情は見えなかった。
その日は、酔い潰れて、おじさんに部屋に担ぎ込まれた後からは覚えていなかった。
次の日は二日酔いに襲われた。
二日酔い、思った以上に気持ち悪かった。二回程吐いてセイディーに心配されながらも、お昼まで寝ていたら大分良くなった。
そしてこれまた心配されながらギルドに向かった。
受付のお姉さんはまだ覚えてくれていたみたいで、俺達を見たとたんに手続きの終了、そしてギルドや冒険者の説明も受けた。
まずは冒険者ギルドの仕組み、ルールだ。
*冒険者ギルドは各地にあり、ギルド全体の連携をとっているので、何所の冒険者ギルドに行っても手を認識するだけで情報が分かる。カード(身分証明書)も再度作ってもらえる。
*冒険者ギルドは商業ギルドと繋がっており、手に入れた素材はそこで買い取ってもらえる。
*モンスターを倒し、その証拠を持っていくとモンスターの強さに比例した報酬がもらえる。
*冒険者見習いは、有望だと判断された場合のみ引退した元ベテラン冒険者がレクチャーしてくれる。
*EからSランクまであり、見習いとして一か月ほど活動し、その成果で初期ランクが決まる。それ以降にランクを上げるには、昇格試験を受けなければいけない。ちなみに、Bランクからが一流と言われている。
*ヤバイ魔物が出現した場合、全員強制参加させられる。
*自分のランク外のクエストは受けられない。
*パーティーは人数数は関係なく組むことができる。
*他の冒険者の死亡が確認できた場合には、遺物をギルドに持ってくる。
まあ、大体この位だった。あとは、受付のお姉さんに身分証明書を貰ったので、これを特定の機械にスキャンすると、冒険者としての実績などを見られるということだった。このカードはお金を預けるときにも役立つそうだ。
「これで登録は本当に終わったので~、そちらの部屋に移って、職業などを決めてください~。その際、身分証明書が必要になるので~、お忘れなく~」
「はい。ありがとうございました。」
俺達がそういうと、受付のお姉さんは、カウンターの方に戻っていった。
部屋に入ると、今度はいかにも熟練の冒険者っぽい人がリングに立っていて、俺達の方を見ると、声をかけて来た。
「おう、職業決めるんだろ?」
「そうです。」
「じゃあ、まず説明だが、一度決めた職業は二度と変えられない。分かったか?」
「はい。」
「じゃあ、始めるぞ。まず、そこの嬢ちゃんから身分証明書持ってこい。」
セイディーが椅子に座る。俺も、促されるまま、その横の椅子に座った。
すると、男はカードをスキャンした。
「、、、、、、、!お、お前さん、回復魔法が120で補助魔法が100だと!?な、なんなんだ?!そしてこの経験値!よっぽど裕福な家で生まれても、相当の努力家じゃなきゃこんなことにはなんねーぞ!」
「まあ、色々ありまして、、、、、」
セイディーが照れ笑いしている。昔から負けず嫌いで努力やだったからな、、、、、、。
「そうか、シーアが関わるなと言ってたのはそういうことなのか、、、、、、、。」
シーアというのは俺達を担当していた受付嬢の名前だ。なんか、そんな風に思われていたとは思わなかった。
「ふう、で、やっぱり僧侶になるのか?」
「はい。」
「分かった。じゃあ、お前さんはレクチャー有りにしとくぞ。」
セイディーが安心したような顔でこっちを見てニコッと笑ったので、親指を立てて笑い返した。昔からこれが俺達のあいだの、儀式なのだ。
「さて、次はお前か。身分証明書をくれ。」
俺が身分証明書を渡すと、男はサッと、機械にスキャンした。もしも、セイディーの足を引っ張るような結果、、、、、レクチャー無しとかになっちゃったらどうしよう?という緊張で、気づいたら、今までに無いほど手汗をかいていた。
「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、」
え?何?なんかよくわからないけど頭が真っ白になった。もしかして、なんか大変なことがあるのか?
「お前、、、、、、、、誰だ?」
「は?」
「回復魔法、補助魔法の経験値があの嬢ちゃんの倍、、、、魔力は80だが、、、しかし攻撃魔法も経験値1で魔力170、、、、、、?」
「え?」
ギルドの仕組みとか、忘れてる所あったら感想で教えてください。




