こんなどエロい目にあいたい2
なろう部
「先輩、もうダウンですか?」
やれやれ、とこちらを見下ろすのは同じ部活に所属し、同じ中学校を卒業して、同じ幼稚園から巣立ち、同じ高校に通う俺の後輩だ。
ニヤニヤと視線を向けてくる後輩は完全に舐めたプレイモード全開である。
俺達は今、近場にあるテニスコートでテニスを楽しんでいる。
「1セット目までは準備運動、だろ?余裕ぶっこいていられるのも今のうちだぜ!」
キッっとした目線付きで二流三流丸出しのセリフを後輩に送る。
それがかれこれ2時間は続いていた。楽しんでいるのは後輩だけである。
「まーた言ってる。ふふっ、早く本気見せてください、よっと」
会話の最中にも関わらずキレッキレのサーブを打ち込んでくる後輩。俺は対応するのに精一杯で、思うがまま翻弄されていた。
だが俺は先輩だ。負けると分かっていても負けられない戦いがここにある。
二律背反の中、少しづつではあるが徐々に俺は相手ペースから自分のペース持ち込んでいった。体力だけは自信がある、ので揺さぶる目的であろう球にも愚直に食らいつく。
せめて1ゲーム、誘った手前勝ち取らないと申し訳が立たない。
「むっ、ようやく調子が出てきたみたいですね。そろそろ私も本気出そうかな?」
咄嗟に頭に浮かぶ小学生並の言葉の数々。
俺は一線で踏みとどまり、クールにキメた。
「ハッ、言ってろこんにゃろう」
まだまだ勝負はこれからだ。
○
これからのはずだったはずが、突然土砂降りの雨が降ってきた。
俺と後輩は木陰に移動して一時休戦、もとい雨宿りをする事にした。
「勝てそうな時に限ってこの雨、先輩ってほんとツイてないですね」
おーよしよしと慰めてくる後輩。俺は天を仰いで神を呪った。
敵の慰めは受けん! 何か一言言ってやろう、そう思い視線を天から後輩に移した。
そこには雨でスケスケになったスケスケウェア(元テニスウェア)を着た後輩の姿があった。
「靴下までびしょびしょですよ。今日はもう出来ませんね」
するすると後輩は靴下を脱いでいった。徐々に綺麗な生足が顕になる。
「せんぱーい、黙ってないで喋ってくださいよ。女の子一人に喋らせるつもりですか?」
脱いだ靴下をぷらぷら揺らしながら不満たらたらの顔で俺の頬をつつく後輩。
不満は顔だけじゃなく足にも出ていた。退屈を誤魔化すように足指をぎゅっと閉じたり、開いたり。
その様子を何を隠そうマスターオブ足フェチ(足裏も指もかかとも全部大好き)な俺は、神が与え、魅せるこの光景を凝視していた。エデンに居た気がするが頬をつつかれたため現実へ舞い戻る。
「んあ?! すまんぼーっとしてた。何かあったか?」
「何かあったかじゃありませんよ、もう。冷えるから上着をかけてくれるー、とか。男らしい行動を期待し
ます!」
ぶー、と頬を膨らませる後輩。
「してやりたいのは山々だけどほら、お互いずぶ濡れだからかけてやる上着が、な?」
そんな事は毛ほども考えていなかった俺は突然降って湧いた言い訳をしつつ苦笑した。
「冷えるならこっちに詰めろよ。なんなら抱きついてきてもいいぞ?昔みたいにな」
厭味ったらしいスマイルと共に後輩の黒歴史をかるーく、突く。
幼小中高同じ学校だった俺達は近所から兄妹みたいだと評判だった。何処へ行くにもお兄ちゃんお兄ちゃん、とヒヨコみたいに後ろについて回ったもんだ、としみじみ思い出す。
テニスも昔は俺の方が上手かったハズが、中学に進学すると共にテニス部に所属した後輩は、メキメキと頭角を現し大会があれば連勝連覇、正に敵なしという言葉がしっくりくるまでに成った。
勿論悔しかったのもあるが、それ以上に誇らしい気持ちが強かった。俺? 大会があれば初戦敗退、善戦をすりゃトップ10には食い込めた。まぁ自分で言うのもなんだが下手な部類か。
いつだったか俺の呼び方が「お兄ちゃん」から「先輩」に変わったときは寂しさと成長を感じたもんだよ、本当。
「それじゃ、遠慮なく。お兄ちゃーん!」
本当に遠慮なく全力で抱きついてくる後輩。
「おいおいおい本気にするなよ!? 馬鹿か!」
こちらも全力で振りほどこうとするも、
「ねえ、先輩。私、エロいですか?」
胸を寄せあげる後輩。普段の俺なら何とも思わなかったが、今は濡れているために形が丸わかりな上、下着までクッキリ見えていた。下手をすると裸より卑猥なのではないか。
じっくり、舐め回すように俺を見る目。その目は俺が一度も見たことがない目だった。蛇に睨まれた蛙の気分を味わいつつも、本能が後輩のなすがままになる事を選び取ったらしい。俺は抵抗をやめた。
後輩は俺の上半身をそのまま押し倒し――
「おい、お前様子が変だぞ。大丈夫――」
言葉は抵抗するが、雰囲気に飲まれつつあり弱々しい。遮るように人差し指を俺の口に押し当てる後輩。
「しーっ。もう、うるさい男は嫌われるよ? ねえ、先輩」
お互い服が濡れて、肌に纏わりついているために感じるダイレクトな体温。
下手をすれば心臓の鼓動が伝わってきそうな距離感に俺は我を忘れそうになる。
「私ね、男子に人気あるの、知ってた?」
馬乗りになり、耳元で囁く。
「そうなのか? へぇ以外だな。趣味わりいんぶっ!?」
口で口を塞ぐ後輩。知識ではこれは接吻、キスだと俺の常識は言っているがこれはそんなお上品なものじゃない。
音を立て、舐るように歯を舐め上げ、舌を絡ませる。
舌の次は手と手を、次は足。
「抵抗しないんだ」
顔を上げ、ふふっと軽く微笑んだ後に俺の胸に顔を置き、人差し指で腹をなぞる。
「このままだと私、先輩以外の人と付き合っちゃうかも」
それが何だ、好きにしたらいいだろう。と突っぱねりゃいい。
多分これはこの場の最適解。突っぱねた後、適当にあしらって解散する流れに持っていく。そうしろ、と俺の理性が告げていた。
だが、喉元まで出かかった言葉は口を通らない。
「まーただんまり。でも、こっちは正直だね。お兄ちゃん」
言われて気がついた。いつも理性と真逆な困ったちゃんはむくむくと無垢に膨らみかけていた。
慌てて隠そうとするも、絡ませていた足を解き、隙きを与えず馬乗りになる後輩。
たまらなく恥ずかしくなり、俺は――
「わかったわかった!降参だ降参。俺の負け、これでいいだろ。これ以上はやめよう、な?」
「こっちは、降参じゃないみたいだね」
まるで形を確かめるように尻をグイグイ押し当てる。
もうだめだ、お婿に行けない。またもたまらなくり俺は顔を手で隠してしまう。
「先輩、顔隠しちゃって女の子みたい。でも、そんないじらしい所も、好きだよ」
強引に手をどけて首元を吸う後輩。
「ふふっ、しょっぱ」
ごちそうさまと言いたいばかりにぺろっと舌を舐めあげた。
「マーキング終わり、っと」
もう何が何やらわからない。
「久しぶりに誘ってくれたんですもん、期待していいですよね?」
ふーっ、ふーっとお互いの吐息が漏れ聞こえる。理性のタガが外れ初めた。
「今、多分誰も見てないですよ」
寧ろ、誰か居たとしても構わない。
欲望を屈服させる力を、今の俺は持ち合わせては居なかった。
「せっかく外に居るんだから、動物さんみたいなえっち、しよ?」
そうして、俺は――
あ