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ひとときの安らぎ

 わしの装備は普段の組み合わせに近く、腰にショートソード二本と背にクロスボウ。肩には、索敵と探査を司る銀髪幼児。

 幼児二人は、パチンコとナイフを持たされている。

 主にナナは長弓で遠距離、ポンはバスターソードで近距離を受け持つ。


 実のところ索敵も探査も人任せでなく自分でもスキルを頻繁に発動させ、スキルアップには励んでいる。基本ソロのプレヤーなのでね自力の底上げはやっとかないとな。

 あと物品鑑定も欲しいとこだが、職人ギルドか商人ギルドに所属しないと行けないのが面倒で、あとまわしにしている。


 ポン○とナナ○の情報収集と経験から、薬草などポピュラーな採取は群生をいち早く見つけて、取り尽くさないように、注意して必要数を確保した。

 二つの意味で余裕がありそうなら、追加報酬として採取をつづける。

 ちびっ子たちは、うんこ座りでハンドシャベルを地面に突き立てているが、膂力の低さから掘るという行為にならず土遊びをしている図式だ。


 収納バッグも脹らみ、時間を見て声をかけることにした。

「こちらは、もう収納できませんが、そっちはどおですか」

「まだ少し空いてますが、帰りは徒歩ですから、この辺で終わりますか」

「同意」

「あと討伐も残ってますし、きりのよいとこで移動しましょう」


 わしの意見に素直に手を止めた四人は、次の目的地までのルートを確認しあった。

 帰りの予測時間、狩猟に要す時間などを手短に話し合う。

 距離と時間のロスをおさえつつデンジャラスソーンは避けようぜ、みたいな。

 つまりモンスターが騒がしいとされる場所をゆるく迂回する感じか。


「あっ、あれ」

 肩上の幼女がぺちぺちと頭を叩く。

 頭の上のことはFPSでは視界から外れ見えないが、TPS設定にしている。

 指す方向をみればターゲット発見。


 顔つきと大きさはカピバラで、前足はモグラ、後ろ足は象。

 森に生息し草食、夜行性で昼間はうつろな状態で、肉食獣の下位になる。

 活動域が変化したのか農作物に被害を与えているので、間引きすることになった。


 ミニマップのエリアネームから目撃のあったエリアを含むフィールドに入ったことを確認した。

 予定していた狩り場ではないが、隣接したエリアだ。

 依頼はこのフィールドからの間引きだったので問題ないはずだ。

 幸にもターゲットには、まだ気づかれていない。

 手をひらひらさせて、合図を出すと静かに寄ってくる。


「すこし予定が早まったけど、見つけ次第狩っていきましょう」

 小声で方針を伝えると、ポン○とナナ○が頷いて肯定してくれた。


 打ち合わせ通り、子供達はパチンコを取り出して構えた。

 ターゲットに狙いを定めながら腰を低くし、にじり寄っていく。

 背後では、射程の長いわしとナナ○がターゲットに照準を合わせ、子供達の行動を待つ。


 目測で届くと判断したのか、一人がパチンコを撃つと、間を置かずもう一人も撃った。

 予想通り、二人とも当たりはしなかったが、着弾したところから煙が立ち上る。

 二人が撃ったものは状態異常を起こす煙を田すものだ。

 残念ながら、二人の着弾は、ターゲットには効果のない位置だ。

 まるで届いていない。


 わしとナナ○で射止めると、獲物の上に獲得経験値と討伐残数が表示された。

 経験値はパーティに同じだけ振り分けられる。

 しばらくすると光りの粒になって消えた。

 後にはパーティ数だけのドロップアイテムが残り、各々が一つとる。

 リアル感ば低下するが『剥ぎ取り』の必要ない仕様なので少し助かる。

 ドロップアイテムの他に、今回はわしとナナ○の放った矢が混じっていた。

 まだ使用可能で消耗品とはいえ、ここは回収しておく。


 残数は、あと僅かだ。

 作業ゲーを消化しつつ、予定していた狩り場までやってきた。


「向こうで降ろして」

 銀髪幼児が、一際鬱蒼とした茂み方向を示しぺちぺちと頭を叩く。

 幼児の探索スキルが上がったのか、わしの画面には何も新しいマーカー変化はない。

 肩から下ろし、後続にハンドサインを出す。

 てとてとと先頭を進む幼児が、顔を赤くして振り返った。

「ついてくんな。おしっこ……」

 回れ右をするわし。


 わしらは少し離れて、自然の森を堪能する。

 風で揺れる葉のざわめく音。

 木漏れ日に小鳥(?)のさえずり。

 勢いのよい水音。……もうすぐだな。

 そして、どこか遠くから不規則に響く金属音。


 えっ。

 突然。フードをおろして、方向を決めて銀髪幼児が遠ざかる方向に走り出した。

「「まっ、待つでござるよ」」

「ちゃんと手を洗えーーー!」

 保護者のポン○とナナ○の語尾が戻ったことにツッコミたかったのはやまやまだが、それより気になることをわしも叫んだ。


 しゃがんでいた近くで、忘れてった物を拾い追いかけた。

 普段とは打って変わって、走るのが速い。。

 後ろ姿をとらえ続けるので精一杯だった。


 ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


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