拉致られる
人攫い・奴隷商・権力者がチラホラ。
「成人指定」しなくちゃいけない内容になったので、大幅に書き換えましたが、まだ残滓があったらごめんなさい。
状態異常の気絶マークが表示されている。だがリアル側のわし本体は、意識を失っていない。
あくまでもゲームの仕様に補正されているのだろう。
頭部に袋を被りぐったりとしたわしを大柄な男が担ぎ上げ、そんなに離れていない倉庫に運び込まれた。
ゾロゾロと着いてきたもののうち、5人ほどが中に入って来ただけだった。
運ばれているときに、HMDの透過度を調整して、ショートカットコマンドが使えるワイヤレスコントローラを接続しておいた。
あえて捕まってみた。FPSでなら、対応に時間がかかっていただろう。思いっきり引きアングルでのTPSで、周囲に気を配っていたから、ウィと別れてすぐ目をつけられ、接近されているのまで、手に取るように知っていたのだ。
少し奥まったところの敷物をどけると、床に扉があり、引き上げると下への階段が出てきた。
一人を上に残してわしは広い拷問部屋へ運ばれた。
腰までの高さのないベット大の台の上に布を広げその上に仰向けに寝かされた。
小さな瓶を開け、袋の上から香がされて、アバの身体がビクンと跳ね、状態異常に混乱と睡眠が追加された。
念入りなことだ。こいつら手慣れている。
うつろな意識でも混乱を掛けておけば、細かなことに気づけない。
手と足にはそれぞれ枷で身動きを封じられている。
身長、肩幅、手足の長さなどを測り、何かに記入している。所謂商品カルテといったところか。
服の上から胸を触り、形と大きさ、それに弾力まで調べていく。感触が伝わり、まず恥ずかしい感情がでてきた。
わしでさえまだ触っていないんだぞ。なんか、だんだん腹立ってきた。
薬の効果を確認してから、頭の袋をとり、髪色と瞳の色を商品カルテに記載した。
口に穴の空いた猿ぐつわをはめられた。穴は2センチ以下で1センチ程度だぞ。3センチすらないからな。
大事な点なので、もう一度言っておくが、アレ目的じゃないからな。て、なに必死なんだろ。
また頭にすっぽり袋をかぶせられて、こいつらをそろそろ処分しようかと考え始めた頃、新な3人組が追加された。
身なりの良い連中で、ボス? 客かもしれない。
ひときわ仕立てのいい服を着た中央のがエライ人で、残りの体格がいい二人が護衛か用心棒と言ったところだろう。
まずいなぁ。この二人、わしと同等か強いぞ。
サブクラスのスキルで一対一ならなんとかだが、多勢に無勢で勝算がない。
エライ人の衣装に付いた紋章が気になる。しばらく様子を見よう。
男から商品カルテを受け取り、一読してから「顔を見せろ」と指示をだし、頭から袋が外され、表情筋が弛緩し涙、鼻水、涎を垂れ流しだらしないわしの顔が現れた。
用意しておいたのだろう、蒸しタオルで顔の汚れを拭き取り、客に向けさせられた。
はずいし頸が痛いわ! くそっ、おこるでほんまに。
にやにや笑いながら、客に品評を求める。
「いかがですかね」
「まあまあだな。それに身体に傷はあるのか」
まんざらでもない返事に、更ににたにた笑いながら首を振る。
「まだなんですよ。事故で傷つけちゃうといけないでしょ。ここで剥いて試してみますかい。
そんときゃ、残り物をご相伴させて貰いたいのですがね。
へへへっ。手付けさえいただければ、お持ち帰りも出来ますぜ」
「そうだな」あごに手をやり「持ち帰ろう」
「まいどご贔屓ありがとうございます。印のほうは、入れて帰りますかね」
「なくても困らんがな。身の程を知るいい材料になる。やってくれ」がはははと笑う。
「ではしばしお待ち下さい」
配下に指示を出し部屋を出て行かせた。どこかで何かを用意してくるのだろう。
大抵なら、魔道具の隷属の首輪とかだが、印と言っていたので、タトゥーとかかな。
「ところでだな、半年前の旅の母娘は覚えてるか」
「はい、母親がめっぽう強くてと、どこか毛色の違ってましたな。」
「ああ。ちょうどこんな感じで娘の品定めをしているところに、母親が飛び込んできたな」
「そうでしたな。どこで聞きつけたか、娘を取り返しに来たところを、目の前で娘の片目をつぶしたらおとなしくなりましたな」
「兄者も気に入って、なかなか楽しませてくれたぞ。今はこいつらの玩具になっているがな」
がははとどちらとも無く笑い声を上げた。護衛の二人も覚えがあるのか笑いだした。
こいつらゲスだな。
「素性が分かった」
「ほう?」
「王都の高級官僚の家族だったらしくてな、このあたりで消息が消えたからと親父殿に捜索依頼が廻ってきててな」
「えっ、それは大変では?」
「なあに、証拠になる書類関係は、兄者が処分してくれる」
「母娘は?」
「もう少し楽しませて貰ってから、野党に払い下げて印をつぶさせるさ」
「ほう」
「そこでだ、しばらくは目立つような手当たり次第に調達するのは、やめておけよ」
「へい、そこそこにしときます」
「それでだが、アンナに似た娘は早めてくれ」
ん! 縦ロールのことか?
「その件は継続してよろしいのですな」
「兄者がな、せかしてくるんだ」
「いっそ、ご本人ではどうなんですか。以前、アンナ様は妾の児だから、居なくなって貰ってもかまわないとか、そうなってほしいとか言ってませんでしたかね」
「あの生意気な鼻っ柱をへし折って、ヒイヒイ言わせたい気持ちは変わらんが、あれは特に親父殿のお気に入りでな。事はうまく進んでも、バレたときがなあ」
「やつあたりですな。わはは、広げてやってみましょう」
「親父殿にとって娘というのは、政略に使う駒に変わらないが。まっそういうことでな」
ほぉ、こいつが兄貴になるのか。
わしも生意気な鼻っ柱をへし折るのには、こいつらに参加したくなったが、この状態ではな。それと近々危険が危ない予感がしてきた。
部屋から出て行っていた男が、赤く焼けた図形を先に持つ鉄の棒を2本持って入って来た。
うそだろ。いや予想はしていたが、魔法のある世界なのに、「隷属の○○」とかの腕輪とか首輪じゃなく焼き印かよ。
その先っちょの図形は、生涯奴隷と姦通・娼婦の犯罪奴隷で肉奴隷へ墜ちた印じゃないかっ!
このままお持ち帰りされてから、暴れる予定だったのだが変更しなくちゃなるまい。
熱いのやだよっ。
わしの上体を支えていた男が、わしの胸元に刃物を入れヘソ近くまで引き裂かれた。ねらいは右側の頸の付け根と胸元のようだ。
だからって後ろから手を回して胸をニギニキするのは止めろ。セッタイコロス。
わしにとっては、この世界は現実でなくゲーム世界でしかない。自分に言い聞かす。
コントローラを手元に引き寄せ、状態異常を取っ払うポーションへのショートカットボタンを押した。
ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。
二人目のσ(^^)は、某ヘビさんが大好きです。その前提で、この先は進んでいきます。