怖い物見たさのβ版アプリ,わしってM体質?
「4月になったからアプデがあったんかいな」というのが第一印象だった。
視界に映るのはいつもと違う風景が広がっている。開始位置の変更かな。
ただの仕様変更かもと,近い風景を思い出そうとするが,知っているマップ上にこんな風景はない。
未到達エリアか,知っていても別な角度から見ているだけで,既知かもしれない可能性もある。
先月だったかストアニュースで見つけ,始めたアプリだった。
その後ストアに行くと,標準版とベータ版があり,どっちもインストできた。
開始するとありきたりなチュートリアルとビギナー得点がある。
最初のガチャと数日間の獲得経験値にオマケが追加されるとかだ。
同じサーバにつながり,ゲーム内容自体はそんなに変わんない。
アカウントを別に出来るみたいで最初のうちは,別々にプレイしていた。
ただ表現方法が凝っているベータ版に惹かれるのだよね。
どっちも横置きの3D表示。
テスト版は,交差法とか平行法とか言うのでいいのかな、画面を左右に二分割して視差から立体視出来るようになっている。
平行法と交差法を切り替えるようにはなっているようだ。
操作は,ダイアログの選択とかセミオートがほとんどを占めていて,発展途上のUIだなと。まっ楽でいい。
補助にてBluetoothで,ショートカットの設定をしたミニキーボードを接続している。
またアカウントはデーター損傷を考えてか,既存をそのまま使うか使い捨てにするかが選べる。
一度踏んだ轍を二度目も踏むのかと言われれば,踏みたくなるへそ曲がりだった。
新なキャラを育てるのが面倒なので,新規特典の二重取りはしなかったわけだ。
マップを開き町を探す。近くに利用ギルドの登録した町があれば,ワープが可能なのだ。
知らない土地でも本来ならほぼ白地図の上に,現在地と冒険者ギルドのある集落名がポイント表示される。山川谷森などの詳細は自分で踏破するしかない。少し精度が落ちるが,ギルド発行の地図とか踏破経験者からの情報提供もある。
しかし今回の現在地は,やはり未到達エリアで間違いなかった。正規版では進入不可のエリアにされていたところだろう。
これは同じアカウントでも正規版とベータ版で行動可能エリアを分けているのかなと。
地図の方角を頼りに,小高な丘を上ると見晴らしもよく,集落らしき目的地を見つけた。
未到達なのでよくは分からなかったが,石塀で囲まれた遠目に大きな町だと伺える。
首に提げた二枚のタグプレートと冒険者カードを所持しているか確認する。これは世界共通の身分証明だ。移行バグとかで無くしていなくてほっとする。
タグは,それぞれ個人特定とクラスを表している。カードには,その他の情報も含めて記載されているっう設定だ。
視差から浮き上がったように見えるスタミナバーをチラ見しながら足を速めた。
ジョブは,背中のクロスボウと左右の腰にダガーを提げた,いかにもレンジャー。
スタミナはすこし多めに設定されている。残り僅かのところで,立ち止まり回復を待つ。
使い切っちゃうとペナルティで,ぜーハーと肩で息をして,動けなくなるのだ。そこを襲われたら大変だろ。デスペナルティもやっかいだしな。
あと数回息切れを起こす割合で到着だろうと試算する。
見通しのよいところで盗賊などには襲われないだろうとは思ったが,新しい拠点の開拓に余裕を持ちたくてスタミナバーの半分ぐらいで休息をしてから町の入口に着いた。
着いたはイイが馬車とか警護傭兵とかのグループらしきがいて,いくつかの商隊で長い列を作っている。やれやれだなと。ここまでリアルにやらんでもな。
最後尾につく。疲れる肉体でなくアバターだけど,感じとしてため息をして肩を落とす動作をする。
「もしー。他の町から来た冒険者殿でござらぬか」
思いがけず後ろから声をかけられ,振り向くとリアル世界じゃ見たことのあるような出で立ちの二人組がいた。
「左葉でござるが,そなた・・・・って,そうですが,貴方たちは?」
つい,へんな反応をしてしまった。
大きめのリュック、バンダナにメガネ,チェックのシャツにデニムパンツの男女をしげしげと見る。
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