2人の俺で歩むアフターライフ
「異世界転生」
それは、日本に住む男なら必ず一度は憧れる男のロマン。
ここにも異世界転生に憧れる一人の男がいた。
彼の名は虎崎神司 高校一年生だ。
苗字にトラと言う言葉が入ってるのと、名前が神を司ると書いて「神司」
どこからどう見ても厨二くさい名前である。
無論、彼も異世界転生にすごい憧れを抱いていた。
「あーあ 異世界転生したいなぁ〜」
彼の人生は特に何も無かった。
いじめや嫌がらせをうけることも無く、勉強・スポーツ全てこなせた。
一見すると平凡な人生にしか見えないのだが、神司はそれが一番嫌だった。
朝起きて、学校に行き、帰宅する。
ただそれだけの人生なんて絶対送るもんか!と思っていた。
しかしラノベやアニメのように、そう簡単に異世界転生などできるわけがなく、神司はその平凡な人生を歩み続けて行き約70年。
86歳になった神司は今、この平凡な人生に幕を降ろそうとしていた。
高一からずっと異世界転生の夢を抱きつつ、会社に就職し数十年間馬車馬のように働いた。
しかしその無理が祟ったのか、去年末期の癌が見つかった。
神司はもう指一本も動かす元気がない中、高一の頃の夢を思い出していた。
「ああ、俺死ぬんだな。死んだらどうなんのかな。やっぱすんげえ美人の天使様が俺を天国に連れってってくれんのかな。
それとも天国なんてなくて、ただ真っ暗な所でずっと過ごすのかな。ああ、してみたかったなあ、異世界転生。」
そんな事を考えながら、神司の意識は薄れていった…
「システム終了 体験者の取り出しを開始します。」
な、なんだ。これが天使の声なのか…なんかすげえメカニックな声してるなあ
ん?なんだ?だんだん目が見えてきたぞ。
さあ、生まれて初めての天使様とのご対面だ!
真っ白な肌 ぱっちりした目 ピンク色でふっくらした唇
なんだ? 天使様って意外に人間に似てるんだな。
「お疲れさまでした〜 いかがでしたか?ドリームコーポレーションのドリームカプセル。
すごかったでしょう。」
こ、この人が天使様なのか…い、いやでもどっからどうみても人間…だよな
ま、まあ一応聞いてみるか。こっちの世界ではこの人みたいのが天使様って可能性もあるし
「あ、あのう…すいません。」
「はい、何でしょう?」
「うわ…この人笑顔がやばいほど可愛いな…」
じゃなくて‼️
「あなたは、天使様…なんですよね?」
…
「は?」
「え?」
「あ、あのお客様がおっしゃっている天使様とは、死後の世界の天使様ですか?」
ん?
死後の世界?
ここ死後の世界じゃないのか?
「あ、あのここって死後の世界ですよね?」
「ああ、なるほど。ドリームカプセルを使ったから頭が混乱しているのですね。」
な、なんだドリームカプセル?
「わかりました。すべてお教え致しましょう。ここは死後の世界ではありません。」
え?何だって?ここは死後の世界じゃないのか?
だったらここは…
「ここは東京、日本の首都でございます。」
と、東京だって?
ありえない!
だってそれじゃ俺は死んでないことに…
「外をご覧ください」
外?
ああこの紐を引けばブラインドみたいのが上がるのか。
よし。
「シャッ」
「な、なんだここは…」
そう、そこには何十年間も見てきた東京駅があったのだ。